アダルトゲーム市場の定義

18歳未満(もしくは15歳未満)のプレイ・購入が禁止され、性的好奇心を満足させることを主目的としたコンピュータゲームを対象とする。パッケージとして販売されているゲームソフトのほか、インターネットを通じたダウンロード販売や、携帯コンテンツ配信も含める。尚、同人ソフトは市場規模に含めていない。
 

アダルトゲーム市場の客層

2016年9月に矢野経済研究所が実施した消費者アンケートより、「アダルトゲームオタク」を自認する消費者は日本国内に約76万人と推計。年代は19歳以下:8.0%、20代:41.4%、30代:21.8%、40代:14.9%、50代:5.7%、60代:8.0%と、20~30代が市場を牽引。男女比は85.1%:14.9%。ユーザーの大半は男性であるが、美青年同士の恋愛をテーマにした「BLゲーム」等、女性をターゲットにしたコンテンツが1990年代後半頃から登場していること等から、女性ユーザーも一定数存在するとみられる。また、今年度より新たに調査項目として加えたオタク歴については1年未満が27.6%とピークであり年数が経つに連れて徐々に少なくなってゆく。
 
 

アダルトゲーム市場の客単価

「アダルトゲームオタク」を自認する層がアダルトゲームにかける金額は平均で年間27,471円。業界関係者へのヒアリングによると、年間に多数のソフトウェアを購入するヘビーユーザーと、ファイル共有ソフトや不正コピーの利用等によってソフトウェアを購入せずに遊ぶユーザーに二極化しているとされる。不正利用をせず正規にゲームを購入しているユーザーに限っては、ユーザー単価はほぼ不変の模様である。人気タイトルが発売されると安定した販売本数を維持しているという。一方、ライト~中堅ユーザーの客単価は、余暇時間の使い方の多様化や不正利用の増加等により縮小している模様である。
 
 

アダルトゲーム市場の構造

同人事業者を除き、市場に流通しているソフトウェア事業者の9割程度は一般社団法人コンピュータソフトウェア倫理機構(以下:ソフ倫)に加盟している。2016年10月1日現在の加盟事業者数は(正会員、賛助会員の合計)191社となっているため、アダルトゲーム製作事業者の全数は、220社弱程度と推定されるものの、実際に活動している事業者約100社程度と推察される。ソフ倫加盟事業者数(正会員+賛助会員)を経年でみると、2014年221社、2015年210社、2016年191社と減少傾向が続いている。また、アダルトゲーム雑誌に取り上げられる事業者が減っていることから、参入事業者は減少している、若しくは、より規制が緩やかで表現の自由度の高い同人ソフト制作に移行していると推察されることから、新規参入事業者も少ない。
事業者の規模としては、年商1億円未満、従業員数名~十数名程度の事業者が大多数を占め、大手事業者でも年商10数億円、従業員数は数十名程度の模様である。
業界の課題としては、アダルトゲームならではの「萌え」等の要素がアニメやコンシューマーゲーム等他のコンテンツにも浸透していることや余暇時間の使い方の多様化、不正利用の増加等から、2002年度をピークにソフトの売れ行きは減少し続けている。そのため取扱店が減り、新規ユーザーの取り込みが困難になるという悪循環が生じている。
販売店舗の減少という観点では、秋葉原周辺の店舗が特に減少しているとみている。駅周辺の再開発に伴い、PCパーツ店等の小規模店舗が無くなり、アダルトゲームの取り扱いも減少している。
加えて、徐々に購買層の年齢が上がっており、可処分所得に余裕のある30代~40代の層が市場を支える一方、20代以下の層は無料コンテンツを探す傾向が強く、課金するユーザー数が減少している。
他にも、ソフトの販売延期を頻繁に行う事業者が一定数存在していることが挙げられる。以前よりは減少しているとみられるものの依然として、延期する事業者がおり、販売機会をロスしているとみられる。また、中古ソフトの流通も市場縮小の一因となっている。
 

アダルトゲーム市場のトレンド、トピックス

●メーカーの販売手法に変化が

パッケージ販売の特色として、布製品(タペストリーや抱き枕カバーなど)を個別に販売することが増えている。この傾向は2016年に入ってから顕著である。これまでは無料で「おまけ」としていたものの、店舗ごとのオリジナル商品として展開することで客単価の向上を図っている模様である。店舗からは新たな収益源として歓迎されるとともに、また、ユーザー側も特典物を目当てにソフトを重複して買う必要がなくなり好評だという。
 

アダルトゲーム市場規模

2015年度の市場規模(国内出荷金額ベース)は、前年度比3.2%減の185億円と算出された。スマートフォンの普及に伴い、ダウンロード販売実績は前年比8万本増の108万本とここ数年堅調な伸びを示しているものの、パッケージ販売が依然と厳しく前年度比減となった。
2016年度も傾向として大きく変わらないが、パッケージ販売の減少に歯止めがかかっている模様であることから市場規模は、同2.7%増の190億円と予測する。従来「おまけ」を目的に同タイトルを複数本購入するユーザーが、その費用を他のタイトル購入する費用に代替するケースがみられることから、市場は拡大するものと予測される。
 
 

本稿の詳細データについては、下記調査レポートよりご入手いただけます。