ドール市場の定義

基本的に14歳以上を対象とし、布でできた服を着用し植毛されている人形及びそのパーツや衣装の売上を市場規模とする。
子供のユーザーが圧倒的に多いと見られる着せ替え人形(いわゆる「お世話人形」。例:パイロットインキ㈱「メルちゃん」、ピープル㈱「ぽぽちゃん」等)は除外している。
但し、「リカちゃん」、「バービー」等は子供をメインターゲットにしているものの、大人のコレクターも相当数存在すると見られるため、当市場に含めている。
また、自作の衣装にかかる材料費や、ドールの修理・メンテナンス等の費用は当市場には含めていない。
 

ドール市場の客層

2016年9月に矢野経済研究所が実施した消費者アンケートより、「ドールオタク」を自認する消費者は日本国内に約44万人と推計。年代は19歳以下:9.8%、20代:23.5%、30代:15.7%、40代:19.6%、50代:13.7%、60代:17.6%。どの年代もほぼ均等に分布しており、ファン層の年齢が幅広いことが窺える。男女比は54.9%:45.1%。
全体の男女比はこの通りであるが、コンテンツによってユーザーの男女比が大きく異なる。㈱ボークス「スーパードルフィー」、㈱タカラトミー「リカちゃん」等は女性ファンが大半を占めるが、ボークス「ドルフィードリーム」や㈱アゾンインターナショナル「えっくす☆きゅーと」等、アニメキャラクターのような「萌え系」の顔立ちのドールや漫画・アニメ等のキャラクターをドール化した商品は男性ファンが多い。オリエント工業等が製造・販売している、いわゆる「ラブドール」の購入者はほぼ男性と推察される。また、今年度より新たに調査項目として加えたオタク歴については1年未満が56.9%と圧倒的に多い。平均は4.5年。
 

ドール市場の客単価

「ドールオタク」を自認する層が「ドール」にかける金額は平均で年間17,373円。0円と回答した層が68.6%と圧倒的に多かった。0円を母数から除いた平均は55,375円であった。「リカちゃん」等、1体1,000円強から入手可能な商品もあるが、「スーパードルフィー」等のように1体5万円を超えるものも多く存在していることから、年間購入額が10万円以上となるユーザーも5.9%存在する。
 

ドール市場の構造

本市場の主要事業者としては、㈱ボークス、㈱タカラトミー、アゾンインターナショナル㈱、マテル・インターナショナル㈱、㈱グルーヴ、㈱オビツ製作所、㈱セキグチが挙げられる。この7事業者でシェアの80%弱占めると推計される。
ドールをサイズ別に大きく分けると、「リカちゃん」、「ブライス」(タカラトミー)、「プーリップ」(グルーヴ)、「momoko DOLL」(セキグチ)、「サアラシリーズ」(アゾンインターナショナル)等1/6サイズ(身長30cm弱)ドール、「スーパードルフィー」(ボークス)等60cmドールが市場において大きなプレゼンスを占めている。これらの他、身長11.2cmの「プチブライス」(タカラトミー)、身長9cmの「豆momoko」(セキグチ)等、より小型のものも存在する。
「ラブドール」については、扱いやすさから身長140~150cm程度と、日本人女性の平均身長に比べるとやや小さなものが主流となっているが、ユーザーの好みに応じて160cmを超えるものも製造されている。
特に、60cmドールを多く取り扱うボークスが市場において大きなシェアを有し、他社でも60cmドールに対応した衣装やアクセサリーの取り扱いを増やす傾向が強まっていることから、本市場では60cmドールが主流となりつつある。
ドールは、「希少性」が大きな購買動機となることもあり、概して多品種少量生産傾向にあり、一定の期間あるいは特定のイベント限定での販売や、生産数量が限定されている商品が多い。また、ドールを自分の分身や家族・友達等と見做し、強い愛着を持つユーザーが多いため、修理等アフターケアの需要も大きい商材となっている。
 

ドール市場のトレンド、トピックス

●ボークス、元「アイボ」開発者らと人形型ロボ「ドルフィー ハニー」開発

2015年12月、ボークスは元ソニー技術者が立ち上げたロボット開発ベンチャーのスピーシーズと、人形型ロボ「ドルフィー ハニー」を開発。発売時期や価格は未定だが、両社で商品化を進めている。
全身に張り巡らせた細いワイヤを小型モーターで動かす仕様で、人形の手足首の細さを維持しつつ、人間らしい滑らかな動きを再現している。同製品は身長60㎝で腰や足、腕、頭部など28カ所の関節が動き、腰を左右に動かしたり、肩や手足首を回したりもできる。
スピーシーズは、元ソニー技術者でイヌ型ロボット「AIBO」の開発メンバーだった春日知昭が立ち上げた企業で、前年に試作品を完成させ、製品化に向けて協業する玩具メーカーを探していた。新製品はインターネットで公開されているCG制作ソフトを使うことで、連動して様々な踊りや動作ができるという。従来型のロボットは可動部に小型モーターをつけるため、本体が重く、大きくなりがちだったが、スピーシーズの技術は細いワイヤで人形の関節を動かす仕組みで、ロボと駆動部を別々に分けて、人形を軽く細くできる。同社は、「動くドール」という新たな分野で市場を開拓していきたいとしている。
 

ドール市場規模

矢野経済研究所推計による2015年度の市場規模(国内出荷額ベース)は、前年度比0.7%増の135億円と算出された。固定ファンに支えられている反面、大幅なユーザー層の拡大はないとみられるが、2015年6月にタカラトミーがリカちゃんの大人ブランド「LiccA」をリリースしたことや、アゾンインターナショナル㈱も新シリーズを投入していること等からプラス成長を果たした。
2015年度の市場規模(国内出荷額ベース)は、前年度比0.7%増の136億円と予測する。矢野経済研究所が実施した消費者アンケート結果では、2012年度の推定人数は約44万人、2014年度は約43万人、2015年度は約42万人と減少傾向での推移となっていたが、2016年度は約44万人と増加転じたことから、市場規模も引き続き拡大してゆくものと予測される。
 
 

本稿の詳細データについては、下記調査レポートよりご入手いただけます。