フィギュア市場の定義

ここでは、体、毛髪、衣服など全てPVC(ポリ塩化ビニル)、レジンキャスト(無発泡ウレタン)、ソフビなどでできており、基本的に14歳以上を対象とした精巧な人形、ミニチュアを指す。
主に、ブリスターパック(透明ケース)などに入れられた状態で販売され(但し、ガレージキットなどはその限りではない)、ユーザーが鑑賞もしくはコレクションアイテムとして楽しむものとする。また、これらを扱った玩具菓子、カプセルトイも含む。
尚、本項の市場規模は国内出荷金額をベースとし、ネットオークションや中古品店などによる二次流通は除外している。またプライズ商品やノベルティグッズも除外対象としている。
 

フィギュア市場の客層

2016年9月に矢野経済研究所が実施した消費者アンケートより、「フィギュアオタク」を自認する消費者は、日本国内に約151万人存在すると推計され、前回調査結果から24万人増加となった。
アンケート結果では、19歳以下(10代):18.6%、20代:36.6%、30代:14.5%、40代:12.8%、50代:10.5%、60代:7.0%となり、10代20代の若年層がともに5ポイント以上上昇する結果となった。男女比は、男性:女性=65.1%:34.9%となった。前回調査〔2015年〕の「男性:女性=67.1%:32.9%」と比べると女性比率が2.0ポイント上昇した。
また、今年度より新たに調査項目として加えたオタク歴については、「1~5年未満」がピークとなり、「1~10年未満」で50.0%を占める結果となった。平均は7.7年となった。
 
 

フィギュア市場の単価

上記消費者アンケートより、「フィギュアオタク」を自認する層がフィギュアにかける年間消費金額は、1人当たり年間平均21,799円(前回調査〔2015年〕25,299円)となり、3,500円減少する結果となった。また、金額別構成では、「1万~5万円未満」が最も多く、次いで「1~5千円未満」「0円」となった。
前ページの「フィギュアオタク」歴の調査結果に表れているように、若年層の構成比が拡大していることから、購入回数の減少や低価格帯商品の購入が増えていることが窺える。メーカー側も若年層を対象とした低価格帯商品のラインナップを増やしており、若年ユーザーの取り込みを図っている。また、女性構成比の拡大に関しても、男性に多いシリーズ商品を揃えた“箱買い”ではなく、女性に多い好きなキャラクターの関連商品のみ購入する“指名買い”の傾向により、購入点数を絞り込む動きも見られており、消費金額減少の一因となっている。
 
 

フィギュア市場の構造

当市場の参入事業者は、㈱グッドスマイルカンパニー、㈱バンダイ、㈱壽屋、㈱メディコム・トイ、㈱ボークス、㈱海洋堂、㈱グリフォンエンタープライズ、㈱メガハウス、㈲マックスファクトリー、㈲アルターなどの大手事業者と、多くの中小事業者あるいは個人事業者に大別される。
フィギュア市場のシェアは、売上高の数値を非公表とするフィギュアメーカーが多く、明確なシェアの算出が困難である。しかし、弊社独自の調査によって推計算出すると、後述する円グラフのように上位6事業者で60%以上のシェアを占める。
以前は、異業種からの新規参入が多く、中小事業者によって大半を占める市場でもあったが、グッドスマイルカンパニーやバンダイ、壽屋といった大手事業者が市場を牽引し続け、シェアを維持・拡大している状況である。
フィギュアをカテゴリー別に分類すると、漫画・アニメ、ゲームなどに登場するキャラクターに由来したものが最も多く、全体の7~8割程度を占めるものと見られる。そのため、特にアニメやゲームの作品及びキャラクターの人気が、そのままフィギュアの人気に直結する傾向が強い。
これらアニメ・漫画・ゲームに登場するキャラクター(大半は人物)を模った商品以外にも、「ガンダム」シリーズや「新世紀エヴァンゲリオン」などに登場するロボットを模ったフィギュアや、「仮面ライダー」「ウルトラマン」「スター・ウォーズ」といった特撮・SF作品に登場するキャラクター、さらには生き物をモチーフにしたフィギュアなど多種多様である。
フィギュアのタイプとしては、基本的には飾って眺める鑑賞用の「スケールフィギュア」(パーツ交換が可能な商品もあり)のほか、手足などのパーツが可動し、衣服や持ち物、頭部などのパーツ交換も可能な「アクションフィギュア」や、キャラクターを2~3頭身にした「デフォルメフィギュア」などがある。
 

フィギュア市場のトレンド、トピックス

●コンテンツの多様化、ファン層の拡大により需要が分散化

当該市場は、アニメや漫画、ゲーム、映画などに登場するキャラクター人気が需要動向を大きく左右するが、現在、多種多様なコンテンツが相次いで投入されており、好み(ニーズ)の多様化が進行している。2015年から2016年にかけては、根強い人気のバーチャルアイドル「初音ミク」をはじめ、「艦隊これくしょん-艦これ-」「ガールズ&パンツァー」「ラブライヴ!」「刀剣乱舞」「進撃の巨人」「ハイキュー!!」「スター・ウォーズ」「ソードアート・オンライン」「おそ松さん」などの人気漫画・アニメ、ゲーム作品に登場するキャラクターが人気となっているが、ここ数年は人気が継続しているコンテンツは多いものの、大ヒットにより市場を押し上げるようなコンテンツは表れていない。これらの人気コンテンツに加え、新しいコンテンツが加わるかたちで売れ筋ラインナップが拡充している。
また、「刀剣乱舞」「ハイキュー!!」「ラブライブ!」「Free!」などは、「美男子フィギュア」が女性のファン層を獲得し、女性ファン層の拡大に寄与している。従来のフィギュアの中心顧客層である30~40代男性は、お気に入りのシリーズ商品を揃えた“箱買い”するコアなファンが多い傾向にあるが、ここ数年拡大している性のファン層はジャンルやシリーズにそれほど拘りはなく、低価格品を中心に、お気に入りのキャラクターのみを購入する“指名買い”の傾向が強く、フィギュアの購入点数は少ない。一方で、キーホルダーや缶バッチ、ラバーストラップなど、関連する周辺アイテムを購入するという特徴も見られる。メーカー側も、このような女性特有の購買行動を意識した商品展開により、女性ファン層の需要喚起を図り、ライトユーザーからコアユーザーへ昇華させていくことに取り組んでいる。

●海外需要は引き続き拡大傾向

依然として海外における日本のアニメや漫画人気は高く、日本メーカーのフィギュア人気も高い。進出エリアも中国・台湾、東南アジア、北米、欧州などを世界各国に広がっており、特に中国は市場の成熟に伴い、安定して成長している。また、北米はゲームコンテンツを中心に好調を維持している。
加えて、現在は多くの作品がサイマル配信されているため、海外のファンは目に触れるコンテンツが日本とほぼ同じ状況になっており、日本とほぼ同じタイミングで需要とトレンドが発生しているため、国内の販売戦略を海外に水平展開できるケースも増えている。グッドスマイルカンパニーが関連会社を通じて日本のアニメ情報を海外へ配信するような動きも本格化しており、今後も海外のトレンドや需要動向を的確にキャッチアップし、海外のエリアごとに根ざしたカルチャーに応じて、計画的に商品を提供していけるかが重要視されている。
 

フィギュア市場規模

矢野経済研究所では、2015年度の日本国内におけるフィギュアの市場規模は、前年度比101.3%の320億円と推計する。
2015年度は、生産コストや原材料費の上昇による商品価格の上昇、ライトユーザーや女性ファン層の拡大、インバウンド需要の継続などにより市場成長を果たしたものの、ファン層の拡大による低価格商品の拡充や購入点数・頻度の低下などのマイナス面も顕著となっている。また、人気が継続しているコンテンツに加え、次々と新たなコンテンツがフィギュア化されているものの、市場を押し上げるような大ヒットコンテンツが生まれていないことから、国内の市場成長率は鈍化傾向である。
2016年度は、2015年度と同様の状況に加え、インバウンド需要が落ち着きを見せているため、前年度から横ばいの320億円と予測する。
 
 
本稿の詳細データについては、下記調査レポートよりご入手いただけます。