「他社留学」研修サービスである「ナナサン」。 7割自社で働いて、3割ヨソの会社で働くというのだ。まず単純に、「何するの?」「何のメリットがあるの?」と思うだろう。目的は?給与は?機密保持契約は?パッと聞きには疑問だらけである。「他社留学」研修サービス「ナナサン」とは、いったい何なのか。働き方改革の一端なのか、これは悪魔か救世主か。Xビジネスでは、この謎のサービスを解明してみることにした。
1.他社に留学?
2.その企業、エッセンス。
3.ハタラクミライ
4.「ナナサン」、「ザ・ビジョナリー」に出てます
1.他社に留学?
留学とは、一般的には自国以外の国に在留して学術・技芸を学ぶことをいう。自国内の遠隔地に生活拠点を移して学術や技芸を学ぶことを指す場合もある。語学を中心とした学習のために、海外に行って学ぶことを指すことも多い。
「ナナサン」が提供しているのは、ひとこと(いやふた言か)でいうと「7割の時間を自社で働き、3割の時間を他社で働く」という内容である。
・・・これだけではなんのことかわからないので、もう少し具体的に掘り下げる。改めて「ナナサン」とは、「現在の業務を 7 割に圧縮し、同時に 3 割の時間を他社留学する」というコンセプトのもとに名付けられたサービスである。現職の業務を続けながら他社に週 1回程度出向き、他社のリアルなビジネスミッションに向き合うという、新しい形のキャリア開発研修なのだ。
結論から先にいうと、このサービスは「第6回日本HRチャレンジ大賞奨励賞」を受賞している。この表彰は「日本HRチャレンジ大賞実行委員会」によるものであり、その組織の後援は、厚生労働省、東洋経済新報社、ビジネスパブリッシング、ProFutureなど官民を挙げての表彰となっている。“人材領域の果敢なチャレンジが日本社会を元気にする”をキャッチフレーズに、人材領域で優れた新しい取り組みを積極的に行っている企業を表彰するものであり、経営層や人事部門等が人材領域で積極的にチャレンジする企業を表彰することで、日本社会の活性化促進を目的としているのである。
画像は「ナナサン」サイトより引用
具体的にはどのような意義が認められているのだろう。それは、
・次世代リーダー候補に必要とされる様々な修羅場経験
・変化を厭わない志向性等多様な育成ニーズを満たす
・送り出し企業と受け手企業のシナジーのあるマッチング効果
・座学ではなく本気の学びを通じた幹部育成
・大企業の幹部候補と中小企業の人的交流が深まり、新しいビジネスドメインを生み出す可能性
ということになる。導入事例としては、東京電力の経営企画部からベンチャー企業、酒類小売のカクヤスからITベンチャー、上場企業のエスプールから同じく上場企業のAKIBAホールディングスへ、という事例をはじめとして、着実にその実績を積み重ねている。
2.その企業、エッセンス。
この「ナナサン」を事業展開しているのは、人材紹介・研修事業を主業種としているエッセンス株式会社である。同社は2009 年の創業以来、働き方の選択肢を増やす3つの事業を行っている。人材紹介・ヘッドハンティングを行う「リクルーティング事業」、経営課題を解決するプロフェッショナル人材の紹介サービスである、「プロパートナーズ事業」「そして大手企業向けベンチャー留学研修サービスである「ナナサン事業」である。
これらのサービスを通して、社内人材の採用・活性化、社外人材の活用といった社内外の人材の最適な活用を提案している。
画像はエッセンス株式会社サイトより引用
また、広島銀行との業務提携契約を締結し、共同で地方創生を推進もしている。この提携は、広島銀行の顧客に対して、エッセンスの「プロパートナーズ」サービスに登録している人材を紹介し、その知見を活用することで経営・事業支援を行うものである。「ナナサン」を含めた様々なサービスの開発を通じて、個人と企業に新たな関係性を提供し、少子高齢化社会における労働生産性向上と働き方改革の一助となるような価値を提供していくという。
3.ハタラクミライ
「ナナサン」は、いわば「選ばれたひと握りの企業エリート」を対象としているともいえる。この研修は希望して受けられるというものでもないであろう。その反動か、エッセンス社は別事業で、対象となる裾野の広い、100人100通りの働き方を応援するメディア「ハタラクミライ」(URL:http://www.essence.ne.jp/hatarakumirai)をリリースしている。
人生100年時代においては、働き手ひとりひとりが自分の生き方に合わせて仕事や働き方を選ぶことが重要になる。自分の人生と「働く」ことへの関わり方を見つめ直したい人は数多くいることであろう。そのような環境のなかで「ハタラクミライ」は、働く個人の方に対して、キャリア形成やスキル向上、複業(副業)・兼業、フリーランス、パラレルキャリアなどの新しい働き方についての情報発信を行うことで、ひとりひとりがキャリアに対して向き合う機会を提供すべく立ち上げられたのである。
画像は「ハタラクミライ」サイトより引用
また同社では、個人だけでなく、企業側にもキャリア構築や新しい働き方について、先進的な事例を発信することで理解を深めてもらい、働く個人が新しい働き方を選択しやすくなるよう啓蒙活動を継続している。当然ながらそこには有用な人材の存在が前提となる。そのような人材を同社では「プロ人材」として定義している。特定の専門分野の領域で培ってきた実務経験や実績を、今後は世の中の様々な会社のために発揮しようとする、高い志を持った人材を斡旋しているのである。
その雇用形態は特定の会社に所属したり常駐したりするスタイルではない。マッチングによって、A社に毎週月曜と金曜に出社して年間400万円、B社に火曜、木曜に出社して年間400万円、もっといえば定期出社でなく案件発生ごとにC社で200万円というようにゴルゴ13や味沢匠のような収入を得ていくということが実現するというのである。
4.ナナサン、「ザ・ビジョナリー」に出てます
さて、すっかりことがあと先になったが、エッセンス株式会社は我がXビジネスのテレビ番組(一部語弊)である「ザ・ビジョナリー ~異才の花押~」に登場しているのである。放送予定日は7月24日火曜日、東京MXTVで19:58~20:27の時間帯だ。番組中の「Xビジネスコーナー」への登場となる。テレビを見てこのページにやってきた人は、ついでに当Webサイトを隅からスミまでじっくりと読み込んで帰ってほしい。
ザ・ビジョナリー~異才の花押~
http://the-visionary-project.com/ http://the-visionary-project.com/
関連サイト:
2017年版 人材ビジネスの現状と展望
https://www.yano.co.jp/market_reports/C59111100
(依藤 慎司)