職人 技と魂を支える!

日本の「モノ作り」に欠かせないもの、それは、匠と言われる職人の「技」と「心意気(魂)」である。そして、その「技」と「魂」を支えているのが、やはり卓越した日本の道具や工具である。
本項では、無数にある道具や工具のほんの一部ではあるが、矢野経済研究所が算出した、道具や工具の市場を解説する。

 

  1. 特殊鋼切削工具市場
  2. ダイヤモンド工具市場
  3. 空気動工具市場
  4. 電動のこぎり市場
  5. 市場の展望

 

特殊鋼切削工具市場

1位 不二越、2位 三菱重工業、3位MMC
いろんな鋼( はがね )を切り裂く道具 ~市場は880億円!~

まず基礎的な知識を。「鉄」に「炭素」を混ぜると頑丈になる。つまり「鉄」が「鋼」になる。それで、「特殊鋼」とは、通常、「鉄」に「炭素」を混ぜるところ、「炭素以外」のものを混ぜて色々な特性を持たせたものを言う。例えばニッケル、モブリデン、銅・・・等々といった物質を鉄と混ぜると、それぞれ粘性、硬度、耐熱性、耐食性等に特徴が出て、「鋼」と一味違うものになる、つまり「特殊鋼」になる、という寸法。
科学的な記述はここではしないが、「特殊鋼切削工具」とは、その特殊鋼を文字通り切ったり、削ったり、穴をあけたり、加工したりする道具・機械全般を指す。
2016年の特殊鋼切削工具の生産高は前年比3.9%減の880億円となった。
シェアトップの不二越は富山に本社があるマシニング(工具、機械)の有力企業。二位の三菱重工業は、国内外に連結子会社約300社を持つ巨大製造業グループ。3位のMMC(三菱マテリアル)は、同じく三菱グループの金属加工の大手である。

 

<特殊鋼切削工具市場 市場規模 / シェア>

出典:矢野経済研究所「2017年版日本マーケットシェア事典」
http://www.yano.co.jp/market_reports/C59100100

 

ダイヤモンド工具市場

1位 旭ダイヤモンド工業、2位 アライドマテリアル、3位ノリタケカンパニーリミテッド
カタイ、カタイ物質で出来た工具 ~市場は680億円!~

ダイヤモンドはこの世で一番硬い天然物質。宝石でおなじみだが、硬いので、「切る」「削る」そして「磨く」ことに長けている。
「ダイヤモンド工具」とは、その名のとおり、ダイヤモンド入りの工具のこと。ダイヤモンド入りなので、かなり固いものを切ったり、相当、細かい部分をピンポイントで削ったり、磨いたりできる特性がある。スマホのメモリーチップを薄く切ったり、メガネのレンズを磨いたりするのによく使われる。
2016年のダイヤモンド工具の生産高は前年比3.3%減の680億円となった。
シェアトップの旭ダイヤモンド工業は東証一部上場企業で、その名の通りダイヤモンド関連のビジネス(工具製造、研磨、貴金属製品販売、原石輸出入等)に特化しており、ダイヤモンド工具でも2位を大きく引き離してのトップである。2位のアライドマテリアルは、タングステン、モブリデン等の素材製造・加工に強い会社で、ダイヤモンド工具の製造も得意としている。3位は、食器や陶器、セラミック製品製造でもおなじみで、ダイヤモンド工具にも強いノリタケカンパニーリミテドとなっている。

 

<ダイヤモンド工具市場 市場規模 / シェア>

出典:矢野経済研究所「2017年版日本マーケットシェア事典」
http://www.yano.co.jp/market_reports/C59100100

 

空気動工具市場

1位 瓜生製作、2位 日本ニューマチック工業、3位 ロブテックス
別名「エアーツール」 ~市場は260億円!~

空気動工具は、別名「エアーツール」とも言われる。「エアーツール」というと、素人には「エアーギター」のように「ギターを持っているような」、つまり「ツールみたいな(ツールもどき)」と誤解を生みやすいが、実際は圧縮空気を使った各種工具のことである。電気で動くものを電動工具、空気で動くものを空気動工具と考えれば分かりやすい。
よく市場にでているものは、インパクトレンチ(ねじ回し)、スクリュードライバ(カクテルでなはい。ねじ締め)、グラインダ(研磨機)、ドリル(穴あけ)等々。工場や自動車整備場等では欠かせない工具となっている。また、ジャッキ(車を持ち上げる機械)も「エアーツール」の一種である。このあたりの工具は、職人でない人も、触ったことがあるかもしれない。
2016年の空気動工具の生産高は前年比1.2%減の260億円となった。
シェアトップの瓜生製作(ウリュウセイサク)は、大正時代から続く、大阪本社の老舗モノ作り企業。レンチ、グラインダ、ドリル、ハンマ等の製造を得意としている。2位の日本ニューマチック工業も大正時代創業のこれまた大阪のモノ作り企業。油圧ショベルの岩盤を砕くブレーカーの製造を得意としつつ、空気動工具の製造にも注力している。3位のロブテックスもこれまた大阪のモノ作り企業で、東証2部上場、各種作業工具、切削工具等の製造大手である。

 

<空気動工具市場 市場規模 / シェア>

出典:矢野経済研究所「2017年版日本マーケットシェア事典」
http://www.yano.co.jp/market_reports/C59100100

 

電動のこぎり市場

1位 マキタ、2位 日立工機、3位 リョービ
色々と身近な電動の工具 ~市場は82億円~

電動のこぎり、といえば、ある程度年齢を重ねた人には「ジェイソン」(「13日の金曜日」という映画に登場する殺人鬼。厚切り・・・の方ではない。大型の電動のこぎり、いわゆるチェーンソーを振り回して暴れた)をイメージしがちであるが、現在市場に出ている電動のこぎりは、木工作用のマルノコやハンディタイプの小さなものが主体となっている。
木工職人の道具であり、かつ、一般の方のDIY用具としても馴染みのあるものとなっている。
2016年の電動のこぎりの生産高は前年比11.2%増の82億円となった。
シェアトップのマキタは大正時代創業の電動工具、木工機械の最大手。本社は愛知にある。2位は、日立製作所グループでDIY用の工具を中心に製品を製造している日立工機。3位は自動車用の機械・部品(ダイキャスト、パワーツール等)に強い製造業のリョービとなっている。

 

<電気のこぎり市場 市場規模 / シェア>

出典:矢野経済研究所「2017年版日本マーケットシェア事典」
http://www.yano.co.jp/market_reports/C59100100

 

市場の展望

本稿では、無数にある機械工具のジャンルの中から、極々一部の市場のみを取り上げた訳であるが、各市場を支える主要メーカーは、総じて歴史が長く、まさに日本のモノ作りを支えてきた際立った企業群である。(=私共が言うところのeXcellent企業=Xベンダーである!)
工具一つ一つに際立った技術が投影されており、その工具を使って様々な職人・匠達が他国には真似ができないモノを生み出し続けている。
まさに、日本の「Xビジネス」を生み出す市場が日本の機械工具市場である!と言えよう。
工具毎に市場の浮き沈みがあるものの、日本の機械工具は、日本のXビジネスとして、世界トップレベルの評価を受け続けるに違いない!