eスポーツ。近年になって知られてきた言葉であるが、これはつまり「ゲーム」のことである。いろいろなジャンルのゲームのなかで、主にはスポーツ・運動系を中心に、さらにそれらのうえで対戦型であるものを主に指す。
本稿では、急速に注目を集めているこの市場について考察していく。

 

  1. そもそもeスポーツって何?
  2. eスポーツの歴史を紐解いてみると・・・
  3. eスポーツの市場に迫ってみると、実は・・・
  4. 世界と日本のeスポーツ市場の違いとは(次稿)
  5. eスポーツがオリンピックの種目になる?(次稿)
  6. eスポーツ普及の課題とは(次稿)

 

1. そもそもeスポーツって何?

「eスポーツ:良いスポーツのこと。日本の関西地区ではaスポーツとも呼ばれる(引用元:Xビジネス大辞典2036年版)」
一般的には言葉のアタマに「e」が付くと「電子の、インターネットの」という意味になる。アップルのiMacのせいで情報機器になんでも「i」をつけるのが流行ったように、「e」もまた情報機器やネットサービスの名称で多用されている。つまりeスポーツは直訳すれば「電子スポーツ」「インターネットスポーツ」となる。単なるネット対戦ゲームではなく、もう少し概念や周辺的プレイ環境が異なる。改めて定義すると、「スポーツの試合を観戦するように」「賞金を前提とした」「プロのゲームプレイヤー同士の」対戦競技のことである。さらに踏み込んで書くと、プロのゲームプレイヤー等の出場者によって競われる大会を、主催者やスポンサーのプロモーションの場として提供・収益化を図る「ビジネスモデル」なのである。
このように、単なるゲームプレイではなく、「ゲームをとりまく環境」と共に語られるのがeスポーツである。ここがeスポーツを語る第一のポイントとなる。
近年では以下のようなゲームがeスポーツとして普及している。

 

  • 格闘ゲーム
  • レーシングゲーム
  • FPS(ファーストパーソンシューティング、一人称でシューティングを行う)
  • オンラインストラテジー(戦略)ゲーム
  • パズルゲーム

 

 

ここで注目したい傾向は、肉体や反射神経だけではなく、頭脳を使った対戦ゲームもe「スポーツ」として捉えられている点である。(詳細を次稿で解説する)

 

2.eスポーツの歴史を紐解いてみると・・・

現在eスポーツと呼ばれている事象は、1970年代のコンピューターゲームに端を発している。それまでマイコン(当時のパソコンの呼称)でプレイされていたゲームは複雑な要素はなく、対戦ものであっても交互にプレイするスタイルであり、見知らぬ相手と対戦するという概念すらなかった。また、コンピューター自体が数十万円の時代であったことから、ゲーム自体の普及も進んでいなかった。
そこに1972年にアメリカのマグナボックス社から世界初の家庭用ゲーム機「オデッセイ」が発売されたことが、一般家庭へのゲーム機普及の市場の萌芽となったのである。ちなみに価格は100ドル、1972年当時の平均レートが1ドル=約300円の時代であった。
遅れること3年、1975年にエポック社から日本初の家庭用テレビゲーム機「テレビテニス」が発売されることとなった。当時の価格は1万9500円(ちなみに1975年の大卒平均初任給が89,300円である)。ゲーム内容は、モノクロ画面に表示される左右に飛びかうボールを、二人のプレイヤーが同時にコントローラーを使って互いに打ち合うというもの。ここで「同時プレイでの対戦」環境の普及が始まったのである。
そして、1980年代から近年に至るまでの様々なゲーム機とゲームが発売されるとともに、ゲームを使用した大小のイベントが開催されるようになった。そして2007年に初のプロイベントとしての競技会が開催されたことで、大会の規模や賞金の増額とともに競技と普及していったのである。この頃から、ゲーム大会ではなくeスポーツという呼称が使われ始めた。

 

 

日本では2000年頃からこの潮流が起こり、2007年に「日本eスポーツ協会設立準備委員会」が発足した。2010年には日本初のプロゲーマーが誕生し、日本のeスポーツ業界は、一度は発展に向かったのであった。そして実は、この準備委員会は一度解散している。理由は日本でのeスポーツが普及しなかったことにある。その後、日本でのeスポーツの再度の隆盛をみて、2015年に後続団体となる「一般社団法人 日本eスポーツ協会」が設立されている。
一方、eスポーツ先進国のアメリカでは、eスポーツは通常のスポーツとして受け入れられ、合衆国はプロゲーマーがスポーツ選手であることを認めている。プロゲーマーにはスポーツ選手用のビザが発給される程である。ここが第二のポイントである。ヨーロッパや中国・韓国でもeスポーツが発展しており、大会の優勝賞金も1億円超であったり観客数も数万人と、日本とは異なる発展を見せている。

 

3. eスポーツの市場に迫ってみると、実は・・・

まずはeスポーツの世界市場から考察してみる。2016年のゴールドマンサックスの評価によると、eスポーツ市場規模は約5億ドル(556億円)となっている。そして同市場は毎年22%成長の成長を続けて、その後3年間で約10億ドル以上(約1,132億円)になる見込みだとしている。

 

引用元:ゴールドマンサックス eスポーツ市場分析

 

考察がいったん直接のeスポーツから離れるのだが、日本のeスポーツ市場を語るために、国別のゲーム市場全体について数字を追ってみる。

 

国別市場規模と1ゲーム人口あたり売上高

引用元:Newzoo「GLOBAL GAMES MARKET 2017」

 

世界の(eスポーツを含む)ゲーム市場は、中国とアメリカの二か国で大部分を占めている。市場は拡大傾向にあるのだが、その要因は携帯端末などのモバイルゲーム市場の急拡大に依るものである。なかでも中国はその膨大な人口数を背景に、世界で最も大きな市場となっている。
こうしてゲーム全体で市場を捉えると、eスポーツのベースとなるゲーム市場においての日本市場の立ち位置は、ぱっと見に世界第三位の有望市場と思える。だが実は、日本におけるeスポーツの正確な市場規模の数値は存在していない。概して言うなら、明らかに他の国々よりも低い規模なのである。ここが三つ目のポイントである。
正確な市場規模が不明ななかで低い規模と言い切れる、それは何故なのか。次項で詳しく論じていく。

(この稿続く)