ハイターゲットトイ市場の定義

大人が自身で楽しむために購入している玩具の売上高を、各社への調査を基に推計したものを市場規模としており、テレビゲームは除外している。
対象年齢を「15歳以上」としている玩具が主であるが、対象年齢が15歳以下であっても成人ユーザーが多いと見られる玩具も「ハイターゲットトイ」としている。

尚、本書の区分である玩具主要8品目(電子玩具、模型・ホビー、男児キャラクター・男児玩具、女児キャラクター・女児玩具、ゲーム類、ぬいぐるみ、基礎玩具、季節物・雑玩具)に含まれていない、フィギュア、玩具菓子、カプセル入り玩具といった商品も対象としている。


ハイターゲットトイ市場の動向

玩具産業を取り巻く環境として、日本国内においては少子化が大きな課題として挙げられ、子供だけをターゲットとした一般玩具の商品開発と販売だけでは、構造的に玩具市場がシュリンクしてゆくことは避けることが出来ない。主要玩具メーカーは親子2世代で遊べる商品、さらには15歳以上をターゲットとした高付加価値商品の打ち出しに注力する動きがみられる。

各種模型、フィギュア等のコレクタブルな商品、ジグゾーパズル、一部の玩具菓子やカプセル玩具は、大人のホビーとしてのニーズに対応した商品となっており、それらは「ハイターゲットトイ」と呼ばれるようになっている。

大人向けの模型・ホビー商品は、ホビーショップのみならず、家電量販店、GMS等のマニア・オタク層以外が立ち寄る売場でも販路が拡大しており、加えてeコマースの発達により、様々な細かいニーズに対応した小ロットの商品流通が促進されたことも当該市場を後押ししている。

ハイターゲットトイの中核を占める模型ホビー関連商材については、プラモデル市場の存在が大きい。プラモデルのうちキャラクターモデルは、2015年に35周年を迎えたバンダイの「ガンプラ」(機動戦士ガンダムのプラモデル)の好調が依然として続いている。

一方、スケールモデルに関しては、「艦隊これくしょん」や「ガールズ&パンツァー」等の人気もあって、戦艦や戦闘機、戦車のファンが増えたが、2014年度をピークに2015年度以降は落ち着きをみせ、代替する人気コンテンツも出現していない状況である。

ホビーラジコンについては、一時の厳しい状況からは脱しているものとみられ、緩やかではあるものの回復基調となっている。2015年度はドローンの話題性が高まったことによりドローンやマルチコプターに関心を持つ層が増え人気となったが、GW以降は、ドローンに関する事件や、法規制などが影響し鈍化した。

トイラジコンについては、2015年度は機能性を追及した遊びの幅を広げる商品の人気が継続したことに加え、「ドローン」の話題性の高まりによりドローン関連のラインナップ拡充および新規投入などの動きが見られた。しかしドローンなどのRCフライトトイについては航空法改正の影響で店頭陳列が絞られたこともあり後半失速した。RCカーの需要が引き続き旺盛であった事から、市場全体では拡大している。
2016年度に入ってからは、RCフライトトイの動きが戻りつつあり、下期の動き次第ではあるが前期比プラスも視野に入ってきている状況である。RCカーは高性能化が進みつつあり、遊びの幅も広がっている事から、引き続き活況で推移する見通しである。

フィギュアについては、「15歳以上」向けの商品が多く「ハイターゲット市場」においても大きな構成要素となっている。アニメや漫画、ゲーム、映画などに登場するキャラクター人気が需要動向を大きく左右するが、多種多様なコンテンツが相次いで投入されており、ニーズの多様化が進行している。

2015年から2016年にかけては、根強い人気のバーチャルアイドル「初音ミク」をはじめ、「艦隊これくしょん-艦これ-」「ガールズ&パンツァー」「ラブライヴ!」「刀剣乱舞」「進撃の巨人」「ハイキュー!!」「スター・ウォーズ」「ソードアート・オンライン」「おそ松さん」などの人気漫画・アニメ、ゲーム作品に登場するキャラクターが人気となっているが、ここ数年は人気が継続しているコンテンツは多いものの、大ヒットにより市場を押し上げるようなコンテンツは表れていない。これらの人気コンテンツに加え、新しいコンテンツが加わるかたちで売れ筋ラインナップが拡充している。

「刀剣乱舞」「ハイキュー!!」「ラブライブ!」「Free!」などは、「美男子フィギュア」が女性のファン層を獲得し、女性ファン層の拡大に寄与している。従来のフィギュアの中心顧客層である30~40代男性は、お気に入りのシリーズ商品を揃えた“箱買い”するコアなファンが多い傾向にあるが、ここ数年拡大している性のファン層はジャンルやシリーズにそれほど拘りはなく、低価格品を中心に、お気に入りのキャラクターのみを購入する“指名買い”の傾向が強く、フィギュアの購入点数は少ない。一方で、キーホルダーや缶バッチ、ラバーストラップなど、関連する周辺アイテムを購入するという特徴も見られる。メーカー側も、このような女性特有の購買行動を意識した商品展開により、女性ファン層の需要喚起を図り、ライトユーザーからコアユーザーへ昇華させていくことに取り組んでいる。

玩具菓子やカプセル入り玩具は子供向け商材が大半であったが、ここ数年は大人をターゲットとした商品も多数発売されてきており、年々その数は増加傾向にある。

玩具菓子について、フルタ製菓が映画「スター・ウォーズ」の公開に合わせ「チョコエッグ」を2015年10月に発売したところ、大人による“まとめ買い”が発生し、同社の想定以上の売れ行きを示した。

カプセル入り玩具においては、奇譚クラブの「コップのフチ子」が派生商品を含めると2016年9月末時点でシリーズ累計出荷個数は約1,500万個にも上るヒット商品となり、タカラトミーアーツの「パンダの穴」シリーズが2016年11月末日時点で累計出荷数1,000万個突破している。バンダイも2013年よりシニア層をターゲットとした「歌舞伎ハンカチーフ」、20代~30代女性を対象とした「美少女戦士セーラームーン」等の大人向け商品を投入している。2015年には、インバウンド需要を見込み「武将コレクション 天下統一」を武将にゆかりの深い各城近郊の土産売場などで販売を開始させた。「オトナ女子」をターゲットとしたカプセルコーナー「Brilliant Capsule」を展開し、ハイターゲット層に対する取り組みに注力している。

電子玩具のジャンルで、大人のインテリア・ホビーに近い商品としてセガトイズの家庭用プラネタリウム「ホームスター」、タカラトミーアーツの「ビールアワーシリーズ」等が定番商品として挙げられる。タカラトミーから発売されている「オムニボット」シリーズに関しても、2015年度はインバウンド需要を取り込み好調であった。

以上より、2015年度のハイターゲットトイの市場規模は、ジグゾーパズル以外は、順調な推移を示していることから、矢野経済研究所の推計で、前年度比3.5%増の974億3,000万円と算出された。2016年度に関しては、同0.5%増の978億7,000万円と横ばい程度での推移と予測する。

日本国内の少子化が着実に進行している環境下では、大手2大メーカーであるバンダイとタカラトミーグループでもハイターゲット層に向けた商品を積極的に投入しており、当該市場は拡大してゆくものと予測される。

 

 

本稿の詳細データについては、下記調査レポートよりご入手いただけます。
2017年版 玩具産業白書