①知育・乳幼児玩具市場

知育・乳幼児玩具市場の定義

「ブロック、木製トイ、プレスクール、幼児キャラクター、ベビートイ、乗用、玩具楽器、その他」。ただし、幼児向けPC等の幼児向け電子玩具や、哺乳ビンやチャイルドシートのような純粋なベビー用品等は含まない。
なお、少子化による「乳児用玩具」の需要伸び悩みから、従来「乳児用玩具」として扱われていた商品に「知育」の要素を付け加えるケースが増え、「乳児用玩具」と「知育玩具」の境目が極めて曖昧になっている。そのため、本項では「乳児用玩具」と「知育玩具」を分けず、両者を合わせた市場規模のみを算出する。


知育・乳幼児玩具市場の動向

矢野経済研究所推計による2015年度の市場規模は、メーカー出荷ベースで前年度12.2%増の550億円となった。二桁増の要因としては、知育玩具の中で大きなポジションを占めるブロック玩具において大きなシェアを誇るレゴジャパン㈱が、前年比4割増と大きく拡大したことが大きい。2015年度は玩具市場のみならず、インバウンド需要が日本国内の小売市場全体で大きな話題となったが、玩具市場においては「ブロック」の需要が大きく拡大した。レゴブロックのみならず、㈱カワダの「ナノブロック」も人気だった。特に、「東京スカイツリー」等の国内外の名所をモチーフとした「情景コレクションシリーズ」が訪日観光客には人気だったという。

定番商品のアンパンマン関連が強さを発揮している。㈱バンダイの2015年度におけるアンパンマン関連売上高は前年比13億円増の94億円を記録。㈱アガツマの2015年度売上高は前年比16.9%増の81億円。㈱ジョイパレットも同4.0%増の約44億円。㈱セガトイズは売上高を非公開としているものの、アンマンパンに関しては、大きく崩れることはなく同社の大黒柱として確固たる地位を築いている。

木製玩具については、ブリオジャパン㈱の2015年度売上高は、前年同期比19.6%増の4億39百万円と大幅増を記録。従来の木製をベースにプラスティック素材を組み合わせたり、音が鳴ったり、電力で動かしたりする付加機能を組み合わせた商品を投入したことが大幅増に寄与した。

2016年度については、インバウンド需要は落ち着きを示したものの、ブロックの人気は継続。アンパンマンも定番商品として、木製玩具も長期間に渡って人気となっていることなどから拡大が予想されることから、前年比1.8%増の560億円と予測する。

 

知育・乳幼児玩具市場の販売チャネル動向

玩具専門チェーン店(乳幼児製品専門チェーン含む):

知育玩具及び乳幼児玩具の流通チャネルの3~4割を占めると推定され、トイザらス、赤ちゃん本舗、西松屋等が中心的なプレイヤーとなっている。実際に手に取って遊ぶのに十分なスペースを確保しやすいことや、様々な商品をラインナップできるだけの店舗面積があることから、流通チャネル全体において大きな割合を占めているだけでなく、各メーカーの主戦場ともなっている。

特にトイザらスは既存の「トイザらス」店舗を、「ベビーザらス」併設型店舗「サイド バイ サイド ストア」へとリニューアルを進める等ベビー用品の扱いに注力しており、それに伴い、乳幼児向け玩具の取り扱いも増えている。

 

GMS:

各売場面積は小さいものの、ファミリー層、特に就学前の子供を連れた親の来店が多いこともあり、就学前の子供や乳幼児をメインターゲットとした知育玩具の取扱量も比較的多く、流通チャネルの1割強を占めると推定される。有力事業者としては、イオングループ、イトーヨーカドー等が挙げられる。但し、イトーヨーカドーに関しては、乳幼児商品売場に変えて赤ちゃん本舗を入店させるようになっており、大きな変化が出ている。

 

家電量販店:

ヤマダ電機、ヨドバシカメラ、ビックカメラ、上新電機等が有力と見られるが、家電量販店は人気キャラクター商品に注力する傾向が強く、また大人向けの現具などに注力する店舗もあり、知育・乳幼児玩具の取り扱いは相対的に少なく、流通チャネル全体の1割程度と推察される。

 

eコマース:

知育玩具や乳幼児向け玩具は、親が選択権を持つものの、店頭で子供の反応を見て購入することも多いため、他分野の玩具と比較すると、流通チャネル比率は低いと推定される。2016年にはアマゾン・ジャパンが「知育・学習玩具ストア」を開設し、それに伴い同カテゴリーの売上が拡大していることから、当市場においても今後拡大が見込まれる。

 

百貨店:

三越伊勢丹、西武そごう、髙島屋等が代表的な事業者として挙げられる。
百貨店における玩具の取扱量は減少しているが、高級な木製玩具等、クオリティの高さをセールスポイントとした商品がラインナップされることも多く、シックスポケットなどを中心としたギフト等でのニーズも百貨店に集まる傾向があるため、他の玩具に比べウェイトが高いと見られる。

 

雑貨店:

ロフト、東急ハンズ、ヴィレッジヴァンガード等の雑貨店では、大人向けのブロック玩具等が比較的多く取り扱われている。

 

玩具専門店:

玩具専門店(チェーン店を除く)そのものが少なくなっているため、流通チャネル比率も減少傾向にある。

 

ホームセンター:

大人向けブロック玩具等がホビー関連商材として取り扱われることが増えつつある模様である。カーマ、コメリ、島忠等が有力事業者と見られる。

 

書店:

取扱量は少ないが、低単価商材や陳列に場所を要さない小型の知育玩具等は少しずつ取り扱いが増えている。中心事業者として、紀伊国屋書店や丸善等の大型書店が挙げられる。

 

 

②ジグソーパズル市場の動向

ジグソーパズル市場の動向

ジグソーパズルは、幼児期に“ピクチャーパズル”として多くの人が経験しており、非常にポピュラーな玩具である。

子供だけでなく、大人のホビーとしてもメジャーな、当市場は、大きなブームと沈静期を繰り返しながら、徐々にシュリンクする傾向になっている。比較的最近の大きなブームとしては1990年前半だったが、1990年代後半から徐々に縮小を続け、ピーク時の4分の1程度まで縮小した。しかし、2009年度に㈱エンスカイの「ONE PIECE」関連商材の大ヒットや、低単価・小ピースのキャラクター商品人気で約15年ぶりに拡大に転じ、2010年度も引き続き拡大となった。「ONE PIECE」を始めとするキャラクター商材の好調で、子供を含む若年層やエントリーユーザーの取り込みも進んだとされた。

「ONE PIECE」の人気は約2年継続したものの、2010年度の後半頃に関連商材の勢いが一段落。2011年3月に発生した東日本大震災の影響による「イエナカ」、「節電」志向の高まりで、屋内で電気を使わずに楽しめるジグソーパズルの需要が拡大したとされるが、それでも、ONE PIECEブームが去った落ち込みをカバーすることができず、2011年度全体としては若干の縮小。2012年度は、「ONE PIECE」関連商材の落ち込みが更に顕著になったことや、東京スカイツリーなど細かなヒット商品はあったものの、低単価・小ピースのジグソーパズルの台頭による客単価縮小等により、市場規模は前年度比大幅減となった。更に、小型のジグソーが人気となったことでパネル等の周辺商品の売上の減少し市場縮小の要因となっている。2013年度は、富士山、クリスチャン・ラッセン、御木幽石、さらに美少女ものなどのファンタジーアートなどのイラスト、スタジオジブリ(宮崎駿氏の引退発表以降好調)、ハローキティ、ムーミンなどのキャラクター商品、さらに背後から光をあてるとステンドグラスのように見える「ステンドアート」など、細かなヒットがあったが、2年連続で大きな縮小となった。

2014年度の上期は、前年度比15%減ともされる落ち込みで推移。下期に入ると、「妖怪ウォッチ」「アナと雪の女王」効果が当該市場にも波及し、コアユーザーのみならず、新規ユーザーの加入もみられた。社会現象にまで発展した2大コンテンツの出現(玩具業界においても大型のヒットキャラクターが2つ同時に現れることは非常にまれなことだったとされる)によりユーザー層に広がりをみせ、市場を牽引したが、2014年度全体の売上は、弊社の推計では、微減に止まったと見られた。

2015年度は、アナ雪、妖怪ウォッチの人気も凋落し、年間を通じて大きな話題もなく推移しており。かなり大きな落ち込みになった。
さらに、2016年度に関しても、後半に“ポケモンGO”という大きな話題が、ジグソーにも一定程度波及、また“君の名は。”も一定のヒットになったが市場全体の下げトレンドを反転させるまでの勢いはなく、漸減傾向で推移しているとされる。

一部のジグソーパズルでは、真っ白や真っ黒などがマニアに人気になっているが、大型の商材に関しては、キャラクターが重要な存在になっていて、「妖怪ウォッチ」や「ONE PIECE」のような、爆発的な人気のキャラクターが登場することで大きなブームとなる。しかしながら、その人気は一過性のものがほとんどとされ、半年~2年程度で人気が一巡してしまう。例外的に長期的な人気を保っているとされるのが「ディズニー」と「スタジオジブリ」という分析があり、この2つが生み出している多数のキャラクターの一部は、安定的な人気を保って、ジグソーパズル市場を支えている。キャラクターや風景などの商材は、出来上がってから壁などに飾るためのパネルの需要にもつながりやすいため、市場拡大には、キャラクターの存在が非常に大きな要素になっていて、アナ雪、妖怪ウォッチ以降大きなキャラクターが登場していないことが環境を厳しくしている。

2014年から2015年にかけて、インバウンド消費という新しい需要が生まれ、期待感もあった。サンリオキャラクターなどを購入する外国人観光客の増加によって一部商品には活気が出ているとされていたが、大きなインパクトにはならなかった。通販による海外販売などを含めて考えると、外国人への販売は若干存在しており、今後の注力分野となる可能性はある。

流通チャネルについては、古い時代は当然、個人経営の専門店に負う部分が大半であったが、その後、百貨店・GMSなどさらに、「トイザらス」等の玩具チェーン店へと広がってきた。近年は家電量販店やホームセンター、さらに急速に拡大を遂げるアマゾンを中心としたネット通販といった新たなチャネルが拡大傾向にある。

最も大きな変化は、個人経営の玩具店やパズル専門店の大量閉店で、品ぞろえが豊富、或いは独特の品ぞろえをしていた、“専門店”の占めるウェイトが下がることによって、定番品ばかりが店頭に目立つようになり、新機軸の商品などがヒットしにくい環境になっているとされる。さらに、比較的豊富な品揃えを行ってきた、トイザらス、東急ハンズ、ロフト、ヴィレッジヴァンガードといった店舗が、ジグソーパズルに関して元気をなくしていることから、益々定番品重視の体制となり、販売量も落ちる結果になっている。

一方で、ドン・キホーテ(の一部大型店)ではジグソーパズルのコーナー展開を2013年から始めていて、同社では、3,000点以上のジグソーパズルが並ぶパズル館が19店舗(2014年末時点)になるなど、ジグソーパズルを重視する姿勢が続いている。
また、ビッグカメラやヨドバシカメラなど家電量販店の中でも比較的ジグソーパズルを重視している店もあるが、全体としては家電での流通も減少傾向とされる。

その他の流通チャネルとしては、書店や文房具店、カタログ通販等が挙げられる。
ジグソーパズルメーカーは、ジグソー愛好者人口を増やすという共通目的があるため、事業者間の連携が極めて強い。主要メーカー6社(やのまんが脱退したため1社減)で構成される「ジグソーパズルメーカー会」を結成して、ジグソーパズルの市場の研究や、合同チラシの作成などを行い、販売店に販促ツールとして斡旋したり、新聞折込として配布したりしている。また、マーケティングのための購入者アンケートも実施している。ジグソーパズルの愛好者層は、7対3程度で女性が多く。一時期増加傾向となっていたシルバー層の参加者が、スマホやパソコンなどに移行してしまったために伸び悩んでいるなどの傾向があるとされる。

ジグソーパズルの生産は、極めて高い技術が必要なことや、紛失したピースの提供等アフターサービスの必要性から、他の玩具とは異なりほとんど日本国内で行われている。紛失したピースの提供という課題があるため、海外販売に積極的になれず、市場の拡大を阻害しているとも言われるが、これはユーザーへのサービスとして今後も堅持していく方向である。

矢野経済研究所調査による2015年度のジグソーパズル市場は、通年であまり大きな話題がなく、大きく落ち込みメーカー出荷額ベースで(8.4%減)の49.0億円程度で着地したと推計された。

2016年度は、一部エンスカイの「君の名は。」がヒットしているものの、そのほかに大型のヒット商品が存在せず、前年度比6.3%減の46億円程度となる見込みである。

 

ジグソーパズル市場の販売チャネル動向

玩具専門チェーン店:

かつての中心的な存在であるが、年々比率が下がっている。ジグソーパズルの流通チャネルの3割弱を占めると推定され、「トイザらス」、「おもちゃのペリカン」、「キデイランド」等が中心的なプレイヤーとして挙げられる。

「トイザらス」はベビーザらスとの併設が進んでいることなどから、ヘビーユーザーや中高年層が好む商材中心だった品揃えが若干変化し、商品数も減少傾向、「キデイランド」はディズニー・キャラクターや「ハローキティ」等のキャラクターパズルに注力している模様である。

 

家電量販店:

ジグソーパネル流通チャネルの1割強を占めるとされ、新興のチャネルとしては重要なポジションを占める。都心部にも店舗があることから、郊外型の多いトイザらスなどとは異なった客層が訪れる。ヤマダ電機、ヨドバシカメラ、ビックカメラがジグソーに強いとされていたが、ヤマダ電機が若干品ぞろえを減少させている気配である。他に上新電機等にも、ジグソーパズル専用コーナーが設けられていることも多い。

 

玩具専門店:

店舗数自体の減少が課題となっているチャネルである。一般の玩具は価格面や品揃えでeコマースに押され気味だが、ジグソーパズルは中高年ユーザーが多いこともあり、新聞の折込広告等を見て来店し、実店舗で実物を確認してから購入するケースが多いとされる。流通チャネルの1割近くを占めると見られる。ジグソーパズルの有力店が閉店する等、店舗数そのものが減少傾向で、特に比較的高齢のヘビーユーザーの主力ルートだっただけに、ジグソーパズル業界全体として問題になっている。

 

GMS:

ファミリー層の来店を想定し、玩具を取り扱うことが多いが、全体売上高に占める玩具関連の売上比率は極めて低いとも言われる。ジグソーパズルに関しては、単価の低い、子供向けでは比較的健闘しているものの、高単価の大人向けは売上が小さい。流通チャネル全体の10%弱と推定される。有力事業者としては、イオングループ、イトーヨーカ堂、ダイエー等が挙げられるが、減少傾向である。

 

ホームセンター:

徐々に拡大してきた流通チャネルであり、ジグソーパズル流通チャネル全体の10%近くと推定される。ホビー関連商材や雑貨としてジグソーパズルが取り扱われることも増えている模様である。特に「ドン・キホーテ」では、かなり大型のパズルコーナーを設ける店舗が増加傾向で、明らかにジグソーパズルの売上を増やしている。明確な統計はないが、ドン・キホーテの場合、夜中などにも購入できることが売り上げ拡大につながっているのではないかと推測される。また近年、「ホーマック」では一部店舗でジグソーパズルフェアを開催したり、「ジョイフル本田」でも、大型のコーナーを作るなどの動きがあり、品揃えも充実させている。その他、「オリンピック」、「カーマ」、「コメリ」、「島忠」等が有力と見られるが、全ての店舗で扱っているわけではなく、一定の売上に止まっている。

 

雑貨店:

「ONE PIECE」を中心としたキャラクター商材の人気で「ロフト」、「東急ハンズ」、「ヴィレッジヴァンガード」等、雑貨店のシェアが拡大したが、キャラクター商材人気の一段落と同時に縮小しており、流通チャネル別比率は5%強と推定される。今後、何らかのキャラクター商品のヒットによって、再浮上が望まれる。

 

書店:

小型・低価格商材の増加に伴い、「紀伊国屋書店」や「丸善」等の大型書店の一部で、ジグソーパズルの取り扱いが増えているものの、販売数はそれほど伸びていない模様である。
流通チャネル別比率は3%強と推定される。

 

eコマース:

eコマースの比率が増加傾向にある。ジグソーパズルメーカーは、実店舗では売場面積や売場の効率性という観点から、販売が期待できる単品(ディズニーのみやキャラクターのみ等)での販売手法となる傾向が強く、売場面積を気にせず、全商品を展開可能という点において、ネット通販の重要性は増している模様である。流通別チャネル別比率は20%程度と推定される。
但し、アマゾンだけが伸びているという観測がされていて、独り勝ち状態と見られている。

 

文房具店:

文房具店で雑貨を扱うケースが増えており、その一環としてジグソーパズルも陳列されるようになっている。小型で低価格の商材が取り扱われる傾向が強いと見られる。

 

百貨店:

百貨店における玩具の取扱量減少に伴い、ジグソーパズルの取り扱いも減少している模様である。三越、伊勢丹、西武、そごう、髙島屋等が代表的な事業者として挙げられる。

 

その他:

既存ユーザー(アンケートハガキを返送したユーザー等)を対象に各メーカーが行っているカタログ通販や、㈱ベルーナ等の通信販売事業者による販売が「その他」流通チャネルとして挙げられる。

 

 

本稿の詳細データについては、下記調査レポートよりご入手いただけます。
2017年版 玩具産業白書