カプセル入り玩具市場の動向

カプセル玩具市場の主要メーカーは、バンダイとタカラトミーアーツであり、この2社で約8割のシェアを占める。商品の価格帯は100円~400円で構成される。販売価格における構成比は200円が最も多く約6割を占め、次いで100円が約2割、残りが300円と400円となっているものと推察される。

 

カプセル入り玩具は商品単価が安く、大手企業でも広告宣伝費をあまりかけられないことから、インターネット上で話題になりやすい商品を発売し、画像や動画などの投稿後のクチコミ効果によって拡販を狙う動きが顕著になっている。とくに近年では、奇譚クラブの「土下座ストラップ」や「コップのフチ子」シリーズのヒットを契機に、各社から大人向けのユニークな商品が相次いで投入されており、話題喚起となっている。

バンダイからはシニア層に向けた「歌舞伎ハンカチーフ」や、20代~30代女性に向けた「美少女戦士セーラームーン」商品等の大人向け商品のヒットを多数創出。加えて、2015年4月には訪日外国人観光客に向けた「武将コレクションシリーズ 天下統一」シリーズを武将にゆかりの深い各城近郊の土産売場などで販売。さらに「オトナ女子」市場に向けたカプセル販売コーナー「Brilliant Capsule」を展開し、大人層の取り込みに成功している。
タカラトミーアーツでは「パンダの穴」シリーズ(2013年9月から発売)が発売されており、累計1,000万個出荷するほどの人気を博している(2016年11月末日現在)。

このようにメインターゲットの子供に加え、大人、シニア、訪日外国人観光客をターゲットにした商品開発が見られ、商品の多様化が進んでいる。

カプセル玩具販売機の設置場所についても、従来のメインの設置場所である玩具店や大型商業施設(GMS、ショッピングセンター等)、アミューズメント施設のほか、家電量販店、外食チェーン店、書店、駅、美術館など、非常に多岐にわたっている。とくに、駅構内での売上は好調であり、事業者サイドからは常設を望む声も聞かれる。また、電気が不要なことから、電源のない屋外のイベント会場など様々なロケーションで、常設或いは仮設で展開されており、年々露出度が高まりをみせている。

こうした商品バリエーションの拡張と販売チャネルの多様化によって、ユーザーの求める商品の売り場(カプセル玩具販売機の設置場所)に関する情報提供に対するニーズが高まり、バンダイではソーシャルメディアで販売機の設置場所に関する情報を提供するサイト「ガシャどこ?」を、タカラトミーアーツではキャラクター名や地域、発売年月から販売機の設置場所と販売されている商品が検索できるWebサイト「おしえて! ガチャ検索」をそれぞれ開始しており、ユーザーの購入機会ロスを低減し、更なる拡販を目指している。

業界全体の課題としては、近年の円安進行、原材料価格の高止まり、生産拠点が集中している中国における人件費の上昇、消費税増税の影響などによって、仕入れ・生産コストが上昇している中、利益確保が喫緊の課題となっている。

2015年度の当該市場では、「パンダの穴」シリーズ(タカラトミーアーツ)や「コップのフチ子」シリーズ(奇譚クラブ)が出荷数を伸ばしたものの、「妖怪ウォッチ」ブームの終焉などから、市場規模は前年度比2.3%減の209億円と推計される。

2016年度は、大人向け・特定ジャンルのマニア向けが好調に推移していることに加え、継続的な販売チャネル拡大が続くものの、際立ったキャラクターが不在であることから、当該市場は同1.0%増の211億円と予測される。

 

カプセル入り玩具市場の販売チャネル動向

本項では、カプセルベンダーの設置場所について言及している。近年は、カプセル玩具販売機の設置場所の多様化も市場拡大に寄与しているとみられる。

 

GMS:

カプセル玩具の多くは子供をメインターゲットとするため、カプセル自販機は大型商業施設内の玩具売場やゲームコーナー、室内遊園地等に設置される場合が多く、中には1ヶ所に数十台設置されているロケーションもある。また、商業施設内の通路等の空きスペースを活用した設置事例もある。ファミリーや子供連れの母親などが多く訪れるGMSはカプセル自販機の最有力チャネルとみられる。同ロケーションでの主な有力事業者は「イオンファンタジー」、「ファンフィールド」等である。

 

アミューズメント施設:

いわゆる“ゲームセンター”であるが、成人をメインターゲットとしていた十数年前とは異なり、子供から大人まで幅広い年齢層を取り込んだ施設が増え、販売チャネルとしては比較的規模が大きい。「セガ」、「ナムコ」、「タイトー」、「アドアーズ」等が有力事業者として挙げられる。

 

玩具専門チェーン店:

「トイザらス」などの総合的な玩具店においても、子供向け商材を中心としたベンダーが設置されていることが多い。

 

家電量販店:

ファミリー層の来店を促すため、子供向け商材を多く扱っているが、店舗の立地によってはフィギュア等大人向け商材の比率が高い。「ビックカメラ」、「ヨドバシカメラ」、「エディオン」、「ケーズホールディングス」(「ケーズデンキ」運営)、等が有力事業者として挙げられる。

 

駅:

近年、いわゆる“エキナカ”やキヨスク等駅売店の付近、改札付近等、駅にベンダーが設置されるケースが増えている。スペースの都合上1ロケーションにおける設置台数は少ないが、ターミナル駅を中心に期間限定でのイベント開催もみられる。

 

コンビニエンスストア:

店舗の出入口付近にカプセルベンダーが設置されているケースが多い。

 

外食チェーン店:

ファミリー層の来店が多いため、近年、カプセル玩具メーカーからの注目度が高まっているチャネルである。「すかいらーくグループ」、「シダックス」、「あきんどスシロー」、「くらコーポレーション」(「くら寿司」運営)等が有力とみられる。

 

ホビーショップ:

「ホビーショップコトブキヤ」(運営「㈱壽屋」)、「コミックとらのあな」(運営「㈱虎の穴」)、「海洋堂ホビーロビー」(運営「㈱海洋堂」)等、いわゆる“マニア”“オタク”が顧客の中心となっている。同ショップでは、ミニフィギュアや中高生以上に人気のあるキャラクター商品を中心としたベンダーが設置されているケースが多い。

 

その他:

雑貨店、書店、美術館、博物館、美術用品店等、様々な場所にベンダーが設置されるケースが増えている。美術館や博物館等であれば施設や展示物に因んだもの、美術用品店では彫刻のミニチュア等、取り扱う商品も設置場所に応じたものとなっている。
また、アーティスト等のイベントの際に関連グッズの自動販売機が臨時で設置される場合もみられる。こうしたイベントの場合、アーティストのファンが多く集まるため1日当りの売上規模が大きい。

 

 

本稿の詳細データについては、下記調査レポートよりご入手いただけます。
2017年版 玩具産業白書