ぬいぐるみ市場の定義

本項で述べる「ぬいぐるみ」「人形」は、動物などを模った「布製の商品」、及びそれらを使ったキーホルダーなどの雑貨を指す。電動式の電子ぬいぐるみは「電子玩具」に含めており、またクレーンゲームの景品などに用いられるぬいぐるみは「プライズ商品」の扱いのためここには含めていない。布製でない人形、具体的には着せ替え人形や季節人形、フィギュア、ドールなども除外している。


ぬいぐるみ市場の動向

ぬいぐるみは「ディズニー」「ハローキティ」などをはじめとしたキャラクター系と、動物などをモチーフにしたノンキャラクター系に大別される。

キャラクター系はコアなファン層に支えられ、継続的に人気の高いキャラクターは底堅い需要に下支えされており、メディア露出やイベント開催などにより人気が高まると、ぬいぐるみのみならず周辺雑貨などの販売状況にも好影響をもたらすことが多い。なかでも、ディズニーやサンリオ、スタジオジブリなどをはじめとした安定して人気があるキャラクターの人気は非常に高い。特に、新しい作品が劇場公開されたり、テーマパークなどで新たなアトラクションが誕生したりすると、そのタイミングと連動してぬいぐるみをはじめとしたキャラクターグッズが発売されるため、大きく販売量が伸びる傾向にある。

ノンキャラクター系は、くまやうさぎ、犬や猫といった動物系のぬいぐるみが定番商品であり、キャラクター系と比べると大きな波がなく安定しているのが特徴である。ここ数年は、上記の動物系定番商品の中で「鳥系」ぬいぐるみの人気が高い。2016年度は2017年の干支が「酉」であることから、干支パッケージ仕様のぬいぐるみの出荷が目立っている。

また、ノンキャラクター商品は、動物園や水族館、博物館などの施設でオリジナル商品として開発され、売場を拡充して販売を強化する動きも見られている。これらの施設では、自園で人気の動物や来園者の要望などに沿った新商品を毎年数点開発し、動物のディテールにこだわった商品や、新商品点数を増やし売場での陳列ボリュームを広げ、ぬいぐるみの売上を伸ばしている。2015年度は、多くの施設でこのような提案が行われ、日本人だけでなくインバウンド需要による人気も高まった。

2015年度の当該市場は、2014年にブームとなった「アナと雪の女王」「妖怪ウォッチ」の2大ヒットキャラクター商品の動きが落ち着き、その反動減により市場全体は縮小傾向となった。2014年に誕生40周年を迎えた「モンチッチ」も周年事業による反動減の影響を受けたが、中国を中心とした海外での人気は好調を維持している。

一方、外国人観光客によるインバウンド需要の効果により、「アンパンマン」「ハローキティ」「リラックマ」などのキャラクター商品や「日本製」をアピールした商品が人気となった。さらに、2015年12月に映画公開を予定している「スター・ウォーズ」や「スヌーピー」への注目度の高まりから、関連商品の出荷も目立った。

2016年度は、市場を牽引するようなヒットキャラクターが表れず、インバウンド需要も前年度ほどの動きが見られなかったものの、「モンチッチ」の新シリーズ「プレミアムモンチッチ スタンダード」や「オリジナルベア」(サン・アロー)などの定番キャラクターは堅調な動きを見せている。加えて、「東京ディズニー・シー」と「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン」の2大大型アミューズメント施設が15周年を迎えたことによるディズニー関連商品や「ミニオンズ」「ハリーポッター」をはじめとしたキャラクター商品の話題性も高かった。

タカラトミーアーツが2016年4月に発売した「もっちぃもっちぃ(Mocchi-Mocchi-)」シリーズは、触り心地が人気となり、発売4ヶ月で販売数10万個を超える売上を記録(2016年8月31日時点)。キャラクターにこだわらない新たな付加価値の提案によって市場を活性化させる動きも見られた。

 

 

ぬいぐるみ市場の販売チャネル動向

玩具専門チェーン店:

流通チャネル構成比でトップの約4割を占めるのが同業態となっている。店舗面積が広く販売力もあり、人気キャラクターのイベントやキャンペーンなどが展開できるため、強化チャネルとするメーカーが多い。トイザらス、キデイランド、博品館のほか、地方を中心に展開するチェーン店などが中心的なプレイヤーとして挙げられる。


eコマース:

ネットショッピングの利用者増加に加え、ここ数年の原材料費の高騰に伴い、商品単価が上昇している中で価格志向のユーザーを取り込んでいる。さらに、地方においては「玩具専門店」の減少が顕著となっているため、近隣に販売店がないユーザーの取り込みが増えている。その他、指名買いやコレクターからの購入も一定規模あり、流通構成比は拡大傾向で推移している。

 

GMS:

ファミリーで来店する子供(主に就学前児童)向けアイテムや、女子中高生をメインターゲットとしたキーチェーンやストラップが付いたアクセサリー感覚のぬいぐるみなどを充実させているが、売場フェイスを縮小する事業者が散見され流通チャネル比率は14%程度と推定される。有力事業者は、イオングループ、イトーヨーカ堂、ダイエーなどが挙げられる。

 

家電量販店:

大手家電量販店の店舗出店に伴い、ホビー関連売場へのぬいぐるみの販路も拡大しているが、商品によっては売場スペース必要とする特性から商品アイテムを絞る傾向にあり、流通チャネル構成比は大幅に拡大していない。有力店はヤマダ電機、ヨドバシカメラ、ビックカメラ、上新電機などが挙げられる。

 

雑貨店:

各メーカーがぬいぐるみだけではなく、小物や周辺雑貨といった生活シーン全体を提案する販売方法が進んでいることから、生活雑貨店の東急ハンズやロフト、個性的な売場を展開しているヴィレッジヴァンガードなどの雑貨店が有力事業者として注目されており、取り組みを強化する企業が増えている。

 

玩具専門店:

玩具専門店(チェーン店を除く)の店舗数は全国的に減少傾向にあるため、全体的な売場面積も縮小している。ぬいぐるみ自体がある程度の売場フェイスを必要とするため、取り扱いも定番商品以外を避ける傾向にあるが、周年事業などイベントやキャンペーンを積極的に実施する店舗は売上を伸ばしている。

 

百貨店:

かつては、ウエイトの高かったチャネルで、現在でも国産品等、高価格帯商材の取り扱いにより量販店と差別化を試みるケースもみられる。イベント時に催事場を活用した物販は堅調であるが、通常の玩具売場は縮小傾向とする百貨店が多く、流通チャネル構成比は伸びていない。

 

その他:

上記以外では、土産物店、コンビニエンスストア、100円ショップ、テーマパークや動物園の売店(動物のぬいぐるみ中心)、ファミリーレストラン等が挙げられる。

 

 

本稿の詳細データについては、下記調査レポートよりご入手いただけます。
2017年版 玩具産業白書