ハードは前年上回るも2015年のソフト出荷額はさらに縮小

2015年度のテレビゲームソフトの国内出荷額は、前年度比13.3%減の1,500億円となった。2016年度も、同3.3%減の1,450億円とさらなる縮小が見込まれ、下げ止まりの気配を見せない状況である。

2015年度は、「プレイステーション4用ソフト」、「プレイステーション ヴィータ用ソフト」が健闘したが、前年に市場を牽引した「Wii U用ソフト」、「ニンテンドー3DS用ソフト」に思ったほどの伸びが見られないこと、スマートフォンの台頭によりゲーム専用機以外のプラットフォームが一層増勢していることなどで、減少を余儀なくされた。

 

 

2015年国内ソフト市場規模は前年比2割減

2015年の各社の国内出荷本数は前年比19.9%減の3,626万本、国内販売本数が同20.7%減の3,529万本、国内販売額が同17.3%減の360億39百万円と、スマートフォン向けアプリとの競合などにより、2割前後の減少を余儀なくされた。(CESA「2016CESAゲーム白書」参照)

企業別に見ると、任天堂が約723万本(前期比17%増)、バンダイナムコゲームスが約335万本(同1%減)、カプコンが約352万本(同15%増)、スクウェア・エニックスが約235万本(同13%増)、コーエーテクモゲームスが約53万本(同45%減)、コナミデジタルエンタテインメントが約103万本(同19%減)、セガが約64万本(同38%減)、ソニー・インタラクティブエンタテインメント(旧ソニー・コンピュータエンタテインメント)が約113万本(同11%減)となっている。

2015年のミリオンセラータイトルでは、「モンスターハンタークロス」(カプコン、約244万本)、「妖怪ウォッチバスターズ 赤猫団 / 白犬隊」(レベルファイブ、約196万本)、「どうぶつの森 ハッピーホームデザイナー」(任天堂、約128万本)、「スプラトゥーン」(任天堂、約106万本)などが挙げられる。 (以上、「ファミ通」ランキングを参照し幣社推定)

 

ユーザーとのコミュニケーション戦略模索

上述のとおり、家庭用の市場縮小が続くなか、メーカー各社は新しいコミュニケーション戦略を模索している。

コーエーテクモゲームスでは、「my GAMECITY」をオープンプラットフォーム化し、サードパーティのゲームを提供している。PC向けブラウザゲーム「楽園生活 ひつじ村」を端緒として、「メガミエンゲイジ!」、「アルフヘイムの魔物使い」、「英雄クロニクル」、「戦国IXA」、「ブラウザ三国志」など矢継ぎ早に多くのタイトルを導入した。2016年3月末時点で、タイトル数34本、会員数87万人となっている。

バンダイナムコエンターテインメントでは、UCG(User Generated Contents:ユーザー制作コンテンツ)を活用し、ユーザーと一緒に新規オリジナルIPを創出し、育てていく参加型プロジェクト「Project LayereD」をスタートさせた。2016年9月16日より、第1弾として「キャラクターデザイナー」を募集している。本作向けに制作した3Dモデルやイラストをオープンソースとして公開、積極的に二次創作を促すことで、当IPユーザーと一緒に育成していこうと考えている。

セガグループでは、2016年11に、セガグループとしては初となる共同イベント「セガフェス」を、東京・ベルサール秋葉原で開催した。「セガフェス」は、セガグループ各社の主要コンテンツが集結したイベントであり、各コンテンツの最旬情報を伝えるステージや生配信企画、最新タイトルの試遊体験のほか、オリジナルグッズの販売やノベルティ配布など、さまざまな企画が実施された。

また、任天堂では、ユニバーサル・パークス&リゾーツとのパートナーシップにより、任天堂ゲームの世界観を再現し、来場者がゲーム世界を実体験できるテーマパークを大阪、米国オーランド、ハリウッドの3か所において展開することを明らかにした。両社は、今までにない革新的な手法を用い、ゲーム画面で体験していた冒険や、他にはない斬新さをファンに提供すべく開発を進めている。

 

各社ともIPを活用した取り組み進む

各社とも、家庭用ゲーム機で育てたキャラクターなどのIP(知的財産)を、他分野へ活用する取り組みを拡大させている。

任天堂では、ゲームと連動する新カテゴリーの商品として同社のキャラクターをフィギュア化・カード化した「amiibo」を展開するほか、ゲームの枠を超え、テーマパークでキャラクターを使ったアトラクションの提供や、映像コンテンツやマーチャンダイジングを通じたキャラクターの露出など、日常的な生活空間の中においても、任天堂IPに触れる人口を最大化する仕組みを構築している。

スクウェア・エニックスは、全体戦略として、ビッグフランチャイズへの継続的な投資を行い、それを収益化しつつ、さらに新規IP の創出にも取り組んで収益化につなげていくという循環を形成していこうと考えている。

カプコンは、引き続き「ワンコンテンツ・マルチユース戦略」を推進している。「バイオハザード」や「モンスターハンター」、「ストリートファイター」などの70作品を超えるミリオンタイトルを背景に、認知度の高いゲームキャラクターを活用して「メイド・イン・カプコン」を強くアピールするなど、カプコンブランドの浸透に努めている。また、人気コンテンツとのシナジー効果を創出するため、映画、アニメ、出版、演劇、玩具および飲食品等の各方面でグローバルな版権ビジネスによる「ワンコンテンツ・マルチユース展開」を推し進めることにより、バリューチェーン(価値の連鎖)を築いていこうと考えている。

コーエーテクモゲームスは、ブランドとIPを経営の主軸に据え、その価値を最大化しグループ全体の企業価値を一層高めるため、2016年4月1日付でソフトウェア事業部、ネットワーク事業部、メディア事業部を統合してエンタテインメント事業部とし、5ブランド(「シブサワ・コウ」、「ω-Force」、「Team NINJA」、「ガスト」、「ルビーパーティー」)を設置した。エンタテインメント事業では、各ブランドにおいてスマートフォン向けゲームの成功を目指すとともに、デジタル分野や新型デバイス、新型ゲーム機への対応を拡充し、「IPの創造と展開」に取り組んでいくとしている。

ゲーム各社がIPの活用を積極的に進めるのは、家庭用ゲーム機向けソフトの開発費が高騰しているという背景がある。ゲーム機の高精細化などに伴い開発に関わる手間が増え、1本あたり数十億円が必要とも言われている。一方でスマートフォンゲームの普及に伴い、家庭用ゲーム機の市場は縮小傾向が続き、売り上げを確保しにくくなっていることから、開発費回収のためにも、重層的に稼ぐ仕組みが必要になっているのである。

IPの活用を積極的に進めるもう1つの理由が客層の拡大である。アニメやテーマパークのアトラクションに採用されれば、それまでゲームに関心のなかった客層もキャラクターや世界観に触れることができ、関心を持ってもらうことができる。

他方、IPの活用は、強いブランド力があってこそのビジネスであり、ゲーム各社が一斉にIPの活用に動き出した昨今では、アニメ制作会社やテーマパークなどからの選別眼も厳しくなっている。しかし、有力ハードの需要一巡に加え、携帯電話やスマートフォン等ゲームのプラットフォームが多様化している状況下において、ゲームのコンテンツを各種メディアによって継続的に提供し、コンテンツを育てることで裾野を広げ、息長く収益を確保していくというビジネススタイルへの転換は収益確保のためには通らねばならぬ道となっている。今後も、映画やテレビ、ネットを活用したゲームのプロモーションに注力する事業者が増えていくものと推察される。

 

テレビゲームソフト市場の販売チャネル動向

eコマース:

アマゾン・ジャパンや楽天などが当チャネルの有力事業者である。その比率は年々増加しており、2015年は前年より2ポイント増の30%になるものと推定した。ゲームソフトに限らず価格を比較しながら購入するスタイルが定着しており、また、買いたいゲームのタイトルが既に決まっているユーザーが多いと見られることから、eコマースが用いられるケースが増えていると推察される。また、割引率の高さもeコマースのメリットとなっており、流通チャネルとしては、最も構成比が大きくなっている。

 

家電量販店:

ビックカメラ、ヤマダ電機、ヨドバシカメラ等の家電量販店では、集客力のある商材の1つとしてテレビゲーム機の品揃えに注力している。ユーザーサイドから見ても、家電量販店の品ぞろえに魅力を感じる声も多い。加えて、各量販店ではネット通販も行っており、リアル店舗と通販の両チャネルを生かせる環境にもある。流通チャネル比率としては、前年と同じ26%と推定した。玩具チェーン店、eコマースと並び、一定の販売量を保持している。

 

玩具専門チェーン店:

従来、ゲームソフトは玩具専門チェーン店が最も大きな流通チャネルと見られていたが、近年のeコマース台頭等から、シェアを奪われつつある。2015年は前年より1ポイント減の20%と推定した。特に、国内最大手の玩具専門チェーン店である日本トイザらスがその中で大きなシェアを占めているものと推察される。

 

GMS:

ファミリー層を集客するため、テレビゲーム関連の商材を取り扱っている。しかしながら、価格面からボリューム的には家電量販店やeコマース等には及ばず、流通チャネル比率は安定的に11%で推移しているものと推定した。イオングループやイトーヨーカ堂、ダイエー等が有力事業者である。

 

ゲーム専門店:

テレビゲーム専門店そのものが減っていることや、中古商品(本項では市場規模に含めていない)の取り扱いを中心としている店が多いこと等から、流通チャネルに占める比率は前年より1ポイント減の3%と推計した。
事業者は、価格や品揃えの面で量販店との差別化が困難になってきていることから、テレビゲーム販売以外の事業に事業領域をシフトさせている事業者が多いと見られる。

 

コンビニエンスストア:

任天堂のダウンロードカードをセブンイレブンで販売するなどの動きが見られている。近年、テレビゲームを扱うコンビニエンスストアが増えており、流通チャネルとして少しずつではあるがプレゼンスを増している。但し、取扱商材は人気ソフトに限られていることもあり、流通チャネルに占める比率は5%程度で推移しているものと推定した。
有力事業者としては、㈱セブン-イレブン・ジャパン、㈱サークルKサンクス、㈱ローソン、㈱ファミリーマート等が挙げられる。

 

 

本稿の詳細データについては、下記調査レポートよりご入手いただけます。

2017年版 玩具産業白書