不定期連載エッセイ:

『幼稚園』10月号(2019)に日産フェアレディZホワイトトミカが付録されたことは、驚きであった。トミカそのものが雑誌の付録となることは、前例があったものの、カスタム(色塗り)を前提としたトミカはこれが初めてではないか。ボディとホイールの色がマット・ホワイトで統一されており、ペンで色を付けしやすくしてある。日産のエンブレムはきちんと印刷されている凝りようで、書店でも品切れているところが多かった。

 

タカラトミーはミニカーの改造に対し、否定的な対応をとっている(「トミカ 二次加工品に関するご注意とお願い」)。そもそも監修されたものを製造・販売するのであるから、監修されたデザインなどきちんと管理しなければならない。そして検品を通しているのだから、二次加工品は危険である。そういうことが、企業として問われるわけである。

 

カスタムを楽しむ人のなかにはカシメ(と呼ばれる、シャシーとボディを繋ぐ部分)を外し、タイヤを変えたり、シャコタンにしたりする人もいる。あるいはボディの塗装を剥離剤で剥がして再塗装する人までいる。デカールを貼る人もいる。今回の付録は、解体や剥離まで容認するものではないけれど、塗る程度ならいいですよ、ということである。

 

 

カスタムに対し厳しい姿勢をとっていたタカラトミーが、まずは塗装(色塗り)をこの付録に限って解禁したことに驚きの念を抱いた人は少なくあるまい。
例えば服は見込み需要の計算をしやすいほうだと思うが、ミニカーだとそれほど容易に計算できるものではないだろう。
見込み生産をするということはある程度の不良在庫も発生することを前提としている。その対策として、ボディをつくるなど極端なマスカスタマイゼーションは難しいとは思うが、デザイン面をマスカスタマイゼーション化していけば、不良在庫も少なくなるのではないか。不良在庫は東南アジアにも流れているようなんですが、売れないオモチャはどこいっても売れないと思うのだ。
しかし不良在庫をどうするかという問題よりも、カスタムをマス化するとどんなことができるかという面白そうな方向に、ミニカー好きとしては妄想がいってしまうわけである。

『ミニカーマガジン』2019年9月号(ミニカーショップ・イケダ刊)の300号記念に掲載された森永卓郎氏のコラムで、氏はミニカーのマスカスタマイゼーション化についてふれている。氏の発想は組み合わせによるパターンオーダー的なものだが(「トミカ組み立て工場」をマス化するイメージといえば、おわかりいただけるだろうか)、ECを強化すれば、もっと踏み込んだことができるはずだ。たとえばスマホのアプリでボディの色やタイヤ企業のロゴなどのスタンプをおしてデザインする。それを発注すると、工場にデータが届き製造が始まる。そうしたことがコスト的に可能になれば、面白くなるような気がする。売り場には出ないので価格もコントロールしやすいだろう。納期が1週間以内なら、結構な注文数がくるのではないか。問題は製造コストであるが、どれくらい跳ね上がってしまうのだろう。私には見当もつかないが、そこがブレイクスルー・ポイントなのだろうか。それとも印刷がブレイクスルー・ポイントなのか。

妄想には制約をかけたくないものだ。もしカスタムミニカーのメーカーに対する注文が可能になれば、是非ともウェザリングしたミニカーを発注してみたい。特に、2019年10月に発売されるVWビートル・タイプ1(トミカプレミアム)の、錆のはいったバージョンを是非とも拝んでみたい。というのも、錆のウェザリング苦手なので……。

(大山 アラン)

 

関連資料:

2019年版 玩具産業白書
https://www.yano.co.jp/market_reports/C60117900