市場の定義

ここでは、日本国内における外国語習得のための民間および公的機関による教室・スクール・市民講座等を「外国語教室」とする。地方自治体による生涯学習講座も当市場に含める。大学による正規授業は含めないが、大学が実施する公開講座は当市場に含める。また、各教室で利用する教材の売上高も当市場に含めるものとする。個人による外国語指導は除外する。
タイトルにある通り、敢えてここでは「英語教室」の市場は除外する。

英語以外の外国語教室市場の構造

●中国語教室市場が最大(英語以外では)

日本で英語の次に学ばれている語学は何か?尖閣諸島問題等、色々、国民感情がぶつかることもあるが、なんといっても経済規模では日本を凌ぎ、世界最大の人口を抱えるお隣中国の中国語である。
大手の中国語教室では、英会話の大手のイーオンの子会社であるハオ中国語アカデミーを始め、日中学院、中華語文研習所等がある。勿論、世界的な外国語教室であるベルリッツや同じく国内大手のNOVA等でも中国語教室がそれなりの生徒を集めている。
矢野経済研究所の算出では、2016年度の中国語教室市場の市場規模は41.5億円となっている。過去4年間、毎年1億円近くずつ縮小している。

●意外に大きいハングル教室市場

韓流ブームが終わり、これまた、色々と国民感情がぶつかりがちな、お隣り韓国のハングル語であるが、矢野経済研究所の算出では、フランス語教室、ドイツ語教室を上回り、中国語教室に次ぐ市場規模となっている。
フランス語、ドイツ語は大学の正規授業として履修している学生が多い反面、民間の教室で学ぶ人は少数である。その逆に、ハングル語を大学で学ぶ学生が少ない反面、相対的に民間の教室で学ぶ人が一定数いる、という構図となっている。
NHK文化センター、朝日カルチャーセンター等のいわゆる大手カルチャースクールの他、駐日韓国文化院、在日本大韓民国民団がハングル教室を運営している。また、韓国籍の人や韓国からの留学生が集める地域には、中小規模のハングル教室が多く設立されている。
矢野経済研究所の算出では、2016年度のハングル教室市場の市場規模は25.5億円となっている。

●フランス語 > ドイツ語

過去には、文系の教養言語はフランス語(文学、芸術大国だからか?)、理系はドイツ語(医学、化学等の先進国だから?)と相場が決まっていたが、文化、芸術を学ぶのはむしろ日本やアメリカの方がメジャーで、医学でもドイツ語が必須でなくなってきていることから、フランス語、ドイツ語ともに、積極的に学ぼうという人は少なくなってきている。増してや、大学での学習とは無関係に、自分の興味だけで、フランス語教室、ドイツ語教室に通う人は、余程、教養好きか、その国に滞在した経験または滞在予定、の人に限定される。
現状では、フランス語教室の市場が僅かながらドイツ語教室を上回っている。フランス語は料理、お菓子作りという、日本の若者に人気のコンテンツを有しており、ドイツ語の音楽を上回っていることが背景にあるのではないか。
フランス語教室大手では、アテネ・フランセ、アンスティテュ・フランセ(旧:日仏学院)、ドイツ語教室ではゲーテ・インスティテュート、ハイデルベルグ等がある。また、「公文式」の公文教育研究会も一部の教室でフランス語、ドイツ語を教えている。
矢野経済研究所の算出では、2016年度のフランス語教室市場の市場規模は17億円、ドイツ語教室は15億円となっている。

●それ以外の言語は足してもドイツ語教室以下

中国語→ハングル語→フランス語→ドイツ語、と来て、次に来るのはスペイン語である。次いでイタリア語、ロシア語、アラビア語・・・となるが、スペイン語以下全てを足し上げても、ドイツ語市場に及ばない規模となっている。
このあたりの言語になると、相当の都心部にある外国語教室(ベルリッツ)や、各国の大使館が主催する教室、多言語教育で差別化しているDILA程度しか教室が無く、大学以外では学びたくても学べない言語となっている。

外国語教室市場(英語以外)の市場規模推移

矢野経済研究所推計

※本稿に関連したデータについては、2017語学ビジネス徹底調査レポートより入手可能

市場の展望

昨今、AI技術の飛躍的発展により、スマホアプリ等を介して、様々な言語の翻訳・通訳が相当な精度で実現している。
普段使わない言語を相当に苦労して学ぶよりも、様々な国の人と、AI技術を介して、ストレスなく言葉を交わす・・、学ばなくても話せる・・・といった環境がまさに現実のものとなりつつある。
そんな中、将来、英語以外の外国語教室が消滅してゆくか、といえばそれは否であろう。市場は縮小してゆくだろうが、一緒に学ぶ仲間と先生がいる「場」で、刺激し合うことを求める人は一定数残ってゆくであろうし、「英語以外の言語ができる」ようになることは、社会でどう評価されようとも、当人にとっては勲章である。
鉄道ファンが、誰から何を言われようとも鉄道が好きでたまらない、のと同様に、ロシア語が好きな人、アラビア語が好きな人は、誰が何を言おうとも、その言語を好きで学ぶに違いない。
一方、仕事上、その言語を仕方なく使う人は、AIにより依存してゆき、時間をかけて学ぶことをしなくなるだろう。
近未来の外国語教室(英語以外)は、AI技術の進展によって、ビジネス目的で学ぶ人がいなくなり、何かを極めたい、○○語オタク、というような属性の人が熱狂的に学ぶ場になってゆくだろう。
なので、英語以外の外国語教室は、まさに我々が言うところの「Xビジネス」となってゆくものと見られる。
楽しみである!