オンラインマッチングサービス市場の定義

本項では、「オンラインマッチングサービス」を「合法的に恋活・婚活をネット上で支援するサービス」と定義する。

いわゆる、援助交際、不倫、性的関係等を主目的とした非合法のサービスは含まないものとする。

また、法人が組織として運営しているもののみを範疇とし、個人運営のものは除外している。

 

オンラインマッチングサービス市場の概況

SNS時代を背景に市場が形成:

オンラインマッチングサービスの日本国内の先駆者は米国に本社を持つマッチ・ドットコム・ジャパン株式会社であり、2002年11月には早くもサービスの提供を開始している。

その後、2006年7月には、ヤフー株式会社が前身の友達検索サービス「Yahoo!パーソナルズ」を恋人・結婚相手に特化した「Yahoo!パートナー」をリリースしている。

2000年代の市場が伸び悩んだのは、スマートフォンがまだ浸透しておらず、FacebookやTwitter等がまだサービスインしていない状況で、PCのブラウザ上で検索するサービスであったことから、手軽ではなかったことと、無数の出会い系サイトの存在により、セキュリティー上の不安を感じるユーザーが多かったことが大きな要因となっていた。

その後、スマートフォンの爆発的普及、それに伴うSNS利用者の急速な増加、更には検索アルゴリズム(最適な条件のパートナーを見つけ出すシステム)の進化によって、マッチングサービスの利用環境が整備されてゆき、2012年には、株式会社ネットマーケティング「Omiai」、マッチアラーム株式会社「マッチアラーム」、株式会社エウレカ「Pairs」等のサービスが開始され、更に2014年には株式会社DMM.com「DMM恋活」、株式会社マッチングエージェント「タップル誕生」、株式会社リクルートマーケティングパートナーズ「ゼクシィー恋結び」「ゼクシィー縁結び」等、大手企業の参入が相次いだ。

昨今では、スケールメリットを狙って事業統合も目立ってきており、株式会社ダイバーズ「youbride」が2013年に株式会社ミクシィの傘下企業に、2015年5月には株式会社エウレカ「Pairs」が米国IACグループの傘下企業となっている。

また、市場の拡大を尻目に、撤退する企業も相次いでおり、2016年3月には株式会社DMM.com「DMM婚活」、同10月には株式会社マイナビ「マイナビ婚活」、2017年3月にはヤフー株式会社「Yahoo!お見合い」がサービスを中止している。

資本力のある企業には参入しやすい市場ではあるが、セキュリティーの維持や、顧客満足度の維持に割く負荷もそれなりにあることから、中止という判断に至ったのであろう。

 

オンラインマッチングサービスの市場規模推移

矢野経済研究所推計

 

2012年度に13億円であった市場は、年々、大幅な成長を繰り返し、矢野経済研究所の推計で、2016年度は182億円(前年比48.0%増)となっている。更に、2017年度は249億円(前年比36.8%増)にまで成長するものと予測されている。

オンラインマッチングサービス市場の成長の背景には、セキュリティー技術の進化によるグレイゾーン・サービスとの差別化が進んでいることと、大資本企業による参入や、婚姻成立の実績を多く積んだ事業者がネット上でユーザーから高い評価を得ていることで、「新規ユーザーが信頼を置いて利用できる」という技術的、ブランド的な信頼が形成されたことが大きい。

現状、いわゆるサクラや、婚活以外の目的で会員となる不正会員を完全には払拭できないが、本人認証システムの進化、有人監視による不正会員の退会システムの整備により、ユーザーにとっては益々使いやすいサービスになっており、複数のマッチングサービスを同時に使うユーザーも珍しくなくなっている。

当面、この市場は成長を続けてゆくものと見られる。

 

市場の課題/Xビジネス ポイント

ネット上では非合法の出会い系サイトが無数に跋扈しており、かつ、そのような非合法サイトを進んで利用するユーザーも無数に存在する。

合法的なマッチングサービスにも、出会い系サイトと同様のアプローチで流入する不正会員が極一部とは言え存在することと、恋愛・結婚という、人間の感情の機微に絡むサービスだけに、正会員であっても、感情的なやり取り、ストーカー行為等が発生しうることが、参入事業者にとってのリスクとなる。

如何に信頼できる顧客を増やしながらリスクのある人物を排除するか(=セキュリティーの確保)が当該ビジネスの最大のポイントである。

また、マッチングサービス市場では、プロモーション手段が限定されていることがネックになっている。多くのインターネットサービス(情報サービス、ゲームアプリ等)は、TVCMを含めたマス媒体に露出できるが、合法的なマッチングサービスであっても、2017年8月現在、TVCMは解禁されておらず、プロモーションはインターネット、SNSに限定される。よって、信頼できるサービスであること(=セキュリティーがしっかりしていること、カップリングの成果がしっかりとあること)が、SNS上の口コミで普及・浸透してゆくことが、最大のプロモーション要素となっている。

今後はAI(人工知能)技術の進化に伴い、恋活・婚活する人の行動分析や、マッチング診断は急速に精度をあげてゆくことになるだろう。

今後、主要事業者が当該市場で成長してゆくためには、セキュリティー技術の向上とともに、マッチングの精度をあげるための技術を向上させられるかが鍵となってゆくことであろう。

オンラインマッチングサービスは、「サービス」というよりも、「技術開発」が注目される市場になってゆく