前回まではホビーユースのドローンや、ドローンの資格について論じてきた。今回からはドローン周辺のビジネスをテーマに論を展開していく。

業務用ドローンの価格と機能

まずはビジネスユースに耐えうる業務用ドローンの価格と性能・機能についてみてみる。ドローンの業務用途といえば、真っ先に思い浮かぶのはテレビ番組での空撮動画である。放送レベルのクオリティ(映像、飛行時間、耐久性等)を持つ業務用ドローンは、ホビー用と同様に複数のメーカーから多数の機種が発売されている。一例として、価格的に最高クラスの機体を採り上げてみると、

 

メーカー:TEAD
機種:Silky TRON(フルセット)【映像製作向けドローン】
税込価格:2,159,784円(ビックカメラドットコム 2017年9月8日取扱価格)
ペイロード:5kg(後述※)

 

というような、中古車どころか新車の外車が買えてしまうような価格設定の機体もある。また、詳細はさておくが、価格や大きさとも民生用を超えて、「無人戦闘機」といえるような、飛行目的は爆撃としか思えないようなドローンも存在している。通常の業務用途機体の価格帯としては、数万円~100万円台まで、ホビー用以上に多岐にわたっている。

性能や機能が高度になれば価格が上がるのも当然であるが、それでは業務用ドローンはホビー用と比較して、どのような性能・機能をもっているのだろうか。それらを下記にまとめてみた。

 

積載重量

ホビー用ドローンはそもそも何かを持ち運ぶ設計思想になっておらず、自重を持ち上げるのが精いっぱいで、硬貨一枚を乗せることすらできない機体が大半である。業務用ドローンはプロ用の撮影機材等をセットして飛行するため、それに見合った積載量に耐えうる揚力や飛行能力が必要となる。特にドローンではこの積載量のことをペイロード(※)という。これは「機体の限界最大積載重量」ではなく、「ドローンが安全に飛行できる積載重量」のことである。業務用ドローンではペイロードの順守が求められる。

 

機体制御能力

ホビー用ドローンでは、機体が風にあおられた際に高度を下げるくらいしか対応策がない。業務用の機体では、ジャイロセンサー、加速度センサーなどの制御装置を搭載しており、操縦者の技術が未熟であっても、また不意に機体がバランスを崩した際にも、比較的安定した飛行ができるようになっている。

 

GPS機能

風で機体が流された際にも、GPSの通信によって狙った撮影ポイントにとどまり、限られた飛行時間のなかで安定した撮影を行うことができる。また、機体が(距離や高度の)通信距離を超えてコントロールが不可能になった際などに、GPSを利用した自動帰還システムは業務用ドローンでは必須レベルの機能である。またフライトコースの記録をとることもでき、時間や季節を変えて対象を同じ位置から撮影する等の際に有効である。

 

撮影機能

業務用ドローンで最も大切なのが撮影機能である。ホビー用では据え付けカメラのみであるが、業務用では搭載カメラ自体が高機能であるほか、別途手配の業務用の高性能カメラを汎用的に搭載することができる。また、ドローンでの空撮時には振動やブレがつきものであるが、それを解消するスタビライザー(別名ジンバル:おもりを使ってブレを防止させる装置なので、当然重量がかさむ)の搭載もハイクオリティな映像の撮影には必須である。

 

 

そのほかにも接触障害自動回避のためのセンサーや、ドローンの高度を気圧で感知する気圧センサー(高度センサー)などを搭載している機体もある。高性能になればなるほど搭載機材も多く重くなり、重くなっても問題なく飛ばせるように強力なモーターが使用されることになる。そのモーターを支えるバッテリーの消費は当然多くなるため、激しいバッテリー消費にも対応できる高性能バッテリーが搭載されることになる。

また、特赦な用途に対応する機能として、レーザースキャナーを搭載する機体もある。従来の航空機からのレーザー測量や写真からの測量では困難であった、複雑な地形データを作成することを目的としている。また、建造物の3次元モデルのデータ作成や解析など、空間情報を取得する撮影にも使用される。
そのほか、今後業務用ドローンに期待されている特殊機能として、打音検査機能がある。検査作業が困難な巨大な橋や建物などが老朽化した際、それまで人力でおこなってきた目視検査や打音検査を、ドローンによっておこなうというものである。

 

 

(本稿続く)