恋愛関連はビジネスの対象である

過去現在未来、永遠にひとの心を悩ますもののひとつが、恋愛である。誰しも生きている限り未来永劫付きまとうこの悩みは、大きな喜びであると同時に苦しみでもある。そして恋愛感情は人間のすべての基本部分、行動の原動力である。(どうした筆者大丈夫か)

なればこそ、恋愛はビジネスの対象にもなる。というか既になっている。例えば古今東西、商業唱歌の歌詞はほとんどすべて恋愛がテーマではないか(ペンとリンゴとパイナップルを持ってるだけで大ヒットした曲もあるが…まいっか)。

2004年に出版されたホリエモンの「稼ぐが勝ち ゼロから100億、ボクのやり方」という書籍には、「人の心は金で買える」「女はお金についてきます」「人間を動かすのはお金です」というような至言(暴言?)が綴られている。このあたりのテーマをネットで漁ると「たいていの愛は金で買える / 金で買えない愛もある」というような議論を見つけることができる。

この世に正しい恋愛というものは存在しないが、恋愛をビジネスとして扱うことはできる。それは前述した、恋愛そのものを「お金で買える / 買えない」ではなく「恋愛成就を助成するためにサービスを提供する / お金を使う」ということである。以降、Xビジネスの視点で、この恋愛関連ビジネスを論じていきたい。

 

男女関係の事象は何でも恋愛関連ビジネス! なのだが…

恋愛に関係するビジネスをざっと思いつくままに挙げてみると、

  • 出会い系
  • 婚活系、結婚相談所
  • お見合いパーティー、合コンのマッチング
  • 恋愛サイト
  • 風俗店(愛欲ということで)
  • アダルト映像、グッズ情報販売サイト

このように、男女関係の事象を扱えばなんでも恋愛関連ビジネスになってしまう。さらには、

  • メイド喫茶(疑似恋愛)
  • 神社の恋愛成就お守り
  • メールや電話相談(開業免許などいらない)

など、裾野は果てしなく広がってしまう。

あまりに裾野が広すぎるので、具体的な業界事例と市場規模の紹介は、弊社の既刊コンテンツ「2016 アダルト向け市場徹底研究」に譲ることにする。(魅惑の業界と市場規模が掲載されているのでぜひご参照を)

さて、一般論として、ビジネスとは「利益を出す仕組み」であり、顧客さえ増えれば「利益右肩上がり」が基本である。恋愛関連ビジネスにおいて、その原則は当てはまるのであろうか。ビジネスと謳うからには、シミュレーション的には利益は顧客数増大に比例していくように思えるのだが、実際の恋愛関連ビジネスでは必ずしも全てがそうはならない。なぜなら、前述したように「本当に正しい恋愛というものは誰にも定義できず、また存在もしない」、つまり解決策は一律ではないからである。つまりはビジネスというシステムに放り込みさえすれば、単純に利益が出るというものではないということである。

 

占いという恋愛関連ビジネスの実態

恋愛関連ビジネスの王道として(恋愛)占いがある。老若男女問わず、誰もが一度は試してみた覚えがあるだろう。

恋愛占いの場合、極論すれば「恋愛に飢えている、問題を抱えた、不安定な」相手にビジネスをするわけである。トラブルは他のビジネスモデル以上に予想される。千差万別な相手に対して何かしらの項目を「当てて」みせなければならない。サラリーマン的業務で一日に数件のアポイントでも疲労がたまるのに、占い師の精神的な疲労は想像以上のものであろう。「一人一万円で一日に100人視たら日収100万円!」という訳にはいかないのである。同時に、相談者の来訪は「制御不可能変数」であり、収入は不安定である。また人気商売の宿命で、良くも悪くも口コミによって仕事量も収入も左右されてしまう。

ここでふたつの事例を紹介する。まずは占星術を生業にしている某占い師。大地震の的中などで有名な彼は、Webページや携帯の占いサイトを運営し複数の雑誌に連載を持つ、いわゆる売れっ子の占い師である。60分一万円での恋愛を含めた運勢鑑定を行っており、遠方の相談者のために電話での鑑定も実施している。

ある電話鑑定でのこと。時間を大幅にオーバーしたうえ、翌日以降も「まだ誰とも出会えません、これって運勢が~」「家の中で転びました。これって運勢が~」と、連日メールや電話、しかも昼夜問わず何回も連絡が来て応対に振り回されてしまっていた。断ろうとすると自殺をほのめかすなど、ほとほとその対応に疲れ果ててしまった、と。このような相談者は珍しいことではなく、リピーターとして何回も何回も鑑定依頼に来る(電話を掛けてくる)人も多いのだそうだ。

彼曰く「自分たち占い師はサンドバッグのようなもの。星やカードがそう言ってる、ではなくて、核心は相談者のなかにある。それをうまく引き出してあげるんだよ。だから、占い師は実はカウンセラーでもあるんだよね」と。
もうひとつの事例は、あるパフォーマー兼タロット占い師である。テレビなどのメディアへの露出もあり、女性を中心に固定ファン多数のこれまた売れっ子である。彼は定期的に滝行を行っている。

タロットカードのリーディングを通じて、ひとの人生をときに深すぎるところまで視るそれは、大量の念のようなものが自分に憑いて疲弊してしまうとのこと。ひと月に200人近くを鑑定するなか、どれだけの人の念を背負い込むことだろうか。それらを滝行で洗い流し浄化しているのだ。

 

恋愛関連ビジネスを「みんな幸せ」なXビジネスに!

ビジネスとは「仕組み」であり、顧客さえ増えれば「利益右肩上がり」が基本である。恋愛系ビジネスにおいても、コンテンツの切り売りやグッズ販売など「これ以上は接さない」という線引き(それは価格においても)をすれば、それはとりあえずビジネスとして成り立っていくのだろう。

筆者の経験談でいえば、昔参加したカップリンクパーティがひどかった。男性出席者ばかりに種々の負担が大きく、料理も少なく不味く、最後に女性参加者が車座に座ったままで、男性参加者がその周辺に立ったまま1分間で自己アピールをぐるぐると繰り返していくというものだった。決して安くはない会費でこの扱いかと、精肉工場に入る前のベルトコンベアーのブロイラーになった気分であった。この「数だけ稼ぐ」システムは女性参加者も含めて全員に不評で、参加者はみな微妙な面持ちで帰途に着いたことを覚えている。

ひとの心を掴めるのは、結局ひとの心だけである。恋愛関連ビジネスがひとの心を扱う以上、その悩みを解決するためには、どのようなビジネスモデルでも、前述の占い師ふたりの例までいかなくとも「数多(あまた)のひとの人生の、ほんとうの喜怒哀楽に触れる」ことが肝要ではないだろうか。少なくとも一人1分のブロイラー扱いをすることではない(←まだ言ってる)。

消費者・ユーザーのために真剣に取り組めば取り組むほど「儲け」の意味からは遠ざかってしまいがちな恋愛関連ビジネス市場。Xビジネスに昇華することで、ベンター、サプライヤー、消費者とも「みんな幸せ」な関係を創りあげたいものである。