菓子製造業[岐阜県 ]
積極的なIT・DX活用による効率化と品質向上、M&Aにより業容拡大
従業者の状況
生産関連の状況
[メンテを含む]
担当者
整備選任
担当:
!生産性向上におけるPoint
- 製造工程や管理部門でIT・DXを積極的に活用。導入に社内の若手社員を登用するなど、社員の参画意識を高め、組織全体にデジタル化を浸透。さらに成功事例を複数の工場、グループ全体に波及
- 積極的なM&A戦略を展開。買収会社の製造方法を尊重しつつ、品質管理体制の強化を支援。地方特産菓子の品質向上を実現し、グループシナジーで販路を拡大
製造工程・管理部門でIT・DXを積極的に活用。若手社員を登用し、成功事例をグループ全体に波及
新社長のもと、アミューズメント施設向けの菓子卸売事業の積極展開、新ブランドの立上げ、OEM事業、オンラインショップの開設、海外拠点の設立、積極的なM&Aなどを進めている。2023年にホールディングカンパニー制に移行し、製造事業部や海外事業などの機能会社を傘下に持つ。
同社は、製造工程・管理部門においてIT・DXを積極的に活用することで、業務の効率化と品質向上を目指している。具体的には、2020年頃から順次システムを導入し、業務のデジタル化を進めている。具体的には、紙媒体で管理していた温度管理をスマートフォン、製造工程の監視をカメラで行うことでデジタル記録へと移行し、必要な記録情報を迅速に確認できるようになった。さらに、筆記用具や紙の使用が工場現場での異物混入リスクとなっていたが、デジタルツールへの移行によりリスクを大幅に軽減した。
同社のデジタル化は、本社併設の工場を皮切りに段階的に実施した。システムコンサルティング会社の支援を得てIT化の基盤を構築した後、隣県の工場に展開した。この際、22歳の若手社員がデジタル技術について理解度が高く、導入支援の中核的な役割を担った。さらに若手社員の知識と年配社員の実務経験を融合させることで、社内におけるデジタル化を円滑に進めることに成功した。
2024年10月現在、この若手社員はグループ会社へのシステム導入を支援しており、グループ全体への展開に向けた取組が着実に進んでいる。また、同社はデジタル化やシステム導入にあたり、社員からの提案を重視している。積極的に提案を募り、責任者が検討の上で導入を決定している。社員の参画意識を高めることで、組織全体のデジタル化への理解と適応が進んでいる。
グループ会社での導入が完了した後は、他のグループ会社へも同様の取組を展開し、グループ全体のデジタル化を加速させることとしている。
さらに同社では、AIシステム導入など、幅広い分野でDXを推進している。また、業務のシステム化や効率化のアプリが作成可能なクラウドサービスの導入についても検討を進めている。デジタル化を推進する上で、システム会社の提案を待つのではなく、自社から積極的に情報収集を行い、新たな技術やツールを導入していく姿勢が重要と考えている。
地方中小菓子メーカーを積極的にM&A。独自性を尊重しつつ品質向上に取り組み、販路を拡大
同社は積極的にM&A戦略を展開しているが、多くは相手企業からのアプローチである。数多くのM&A提案を受ける中で、グループ全体のシナジー効果を最大限に引き出せるかを最重要の評価基準として、慎重に検討を進めている。買収によって、既存事業との間に新たな価値を生み出し、相乗効果を高めることを目指している。
地方の中小菓子メーカーは、他社との競合により不利な立場に立たされており、事業の存続が危ぶまれる状況で、状況を打破するためには新製品の開発や新たな販路の開拓が不可欠である。複数の企業が連携して、それぞれの強みを活かすことで、より大きなシナジー効果を生み出し、厳しい経営環境を乗り越えていく必要がある。一方、消費者の選択肢を制限し、市場全体の活性化を阻害しないよう、多様な企業の共存による市場の多様性維持も重要である。
同社がM&Aを実施した菓子メーカーは、基本的にはこれまでの製造方法を尊重しつつ、品質管理体制の強化を支援している。同社による支援を通じて、これらの課題を解決することで、地方特産菓子の品質向上を実現し、同社の販路網を活用して、首都圏など広域への展開を図っている。