パン・菓子製造業[北海道 ]

生産品目の絞り込み、生産工程での機械導入により生産性向上を実現

業種・食品種類
パン・菓子
効率化工程
生産工程
効率化事例
機械・ロボット
売上規模
30~50億円未満

従業者の状況

従業者数
正社員・契約社員
パート・アルバイト
150名
200名
従業者の部門別構成比
製造部門
間接部門
その他
50.0%
20.0%
30.0%

生産関連の状況

 
生産量 / 稼働時間
生産量
非公表
工場稼働時間
24時間/日
 
コスト構造 構成比
原材料費
60.0%
人件費
20.0%
減価償却費
3.0%
その他
17.0%
 
製造工程における設備・機械対応比率
製造工程[原材料投入から製品完成まで]
5工程
うち、設備・機械対応
1工程
設備・機械対応比率
20.0%
設備・機械担当人数
 
現状
5年前
設備・機械担当者計
[メンテを含む]
2人
2人
設備・機械メンテ
担当者
2人
2人
機械・設備導入・
整備選任
2人
2人
その他
担当:
-
-
!生産性向上におけるPoint
  • 多品種生産の中で、アイテム数の絞り込みを実施。作業者の残業時間の減少、製品の品質向上に効果
  • サンドイッチの生産工程に食パンのスライサーを導入し、作業者の負担軽減と生産性の向上を実現
生産品目を絞り込み、生産性向上と品質向上を実現

パン・洋菓子・調理パン等を製造する同社では、一日100品を超える多品種の製品を製造する中で、機械の切替時間が長くなることが生産のボトルネックとなっていた。また、2019年4月より36(サブロク)協定で定める時間外労働に罰則付きの上限が設けられ、残業時間を月45時間以上に延長できるのが年6回までという規定を順守するのが困難になってきた。この問題を解決するため、取扱アイテム数を集約し、機械の切替回数を減らすことで、生産効率の向上を目指した。

その結果、ピーク時の120品から100品程度にアイテム数を絞り込むことで、従業者の作業時間が低減し、残業時間が全体で平均10~20時間/月が減少したほか、絞り込みから2か月後には作業時間が安定し、製造ラインの稼働率が向上した。さらに、製品の出荷時間が遅延することによって発生する追加輸送コストを削減した。生産スケジュールに余裕ができたことで、作業者が各工程を丁寧に実施できるようになり、製品品質の向上につながったほか、空いた時間を活用して作業場の清掃を徹底することで、衛生的な環境を保っている。

サンドイッチ生産工程に食パンのスライサーを導入し、作業時間を短縮

製パン業界では、食パンの製造ラインは比較的機械化が進んでいる。しかし、菓子パンや調理パンなど、形状や具材が複雑な製品については、技術的な問題により機械化が困難なケースが多いほか、同社では工場スペースの問題もあり対応が難しい部分が多い。さらに、同社では食パン以外の製品の割合が高く、100を超える数の商品を製造するため、機械の場合、生産品目の切換に時間がかかる。この点で手作業のほうが効率的な部分があり、手作業による工程が多く残されていた。そこで、調理パンの中でもすでに機械化していたサンドイッチ用の食パンをスライスする工程に、品質向上を最優先としつつ、作業効率性においても従来より優位性のあるスライサーの導入を決めた。

スライサー導入により、特に形状がシンプルな食パンのスライス作業において、1日あたり約1時間の作業時間短縮を実現した。これにより、作業者の負担軽減と生産性の向上につながった。一方で、導入したスライサーは、山型食パンなど、形状が複雑な製品に対応できないという課題が明らかになった。これは、導入前にメーカーから提示されていた情報と実際の運用状況に差異があったためである。現在、この課題を解決するために、スライサーの調整を行っている。

製パンでの成功事例を洋菓子製造にも広げ、さらなる作業時間の低減を目指す

同社では、調理パンのほか、洋菓子の製造も行っている。洋菓子についても従業員の作業時間削減が課題であり、上記の成功事例を取り入れることを検討している。

製パン業界は多品種少量製造の傾向があり、機械化しにくいという背景があるが、大手製パン企業において、焼成後のパンをコンベアに載せる作業の自動化は進んでいる。同社としても今後、工夫により導入の余地があると見ている。製パンの生産工程は概ね各社同様であり、機械のカスタマイズは必要なく、製造ラインにおけるスペースの問題が大きい。同社の場合、スペースの確保には工場の増築や改築が必要であり、機械の導入コストと併せて検討する必要がある。