漬物製造業[長野県 ]

システム導入により受注状況をリアルタイムで把握することで、製造量の予測と実績のギャップ低減などに効果

業種・食品種類
農産加工
効率化工程
受注・生産, 生産工程, 事務管理
効率化事例
前工程, DX・IoT
売上規模
10億円未満

従業者の状況

従業者数
正社員・契約社員
パート・アルバイト
37名
56名
従業者の部門別構成比
製造部門
間接部門
その他
74.0%
26.0%
-%

生産関連の状況

 
生産量 / 稼働時間
生産量
10,500枚/日
工場稼働時間
7.5時間/日
 
コスト構造 構成比
原材料費
49.9%
人件費
27.8%
減価償却費
3.0%
その他
19.3%
 
製造工程における設備・機械対応比率
製造工程[原材料投入から製品完成まで]
24工程
うち、設備・機械対応
8工程
設備・機械対応比率
33.3%
設備・機械担当人数
 
現状
5年前
設備・機械担当者計
[メンテを含む]
13人
12人
設備・機械メンテ
担当者
12人
11人
機械・設備導入・
整備選任
1人
1人
その他
担当:
-
-
!生産性向上におけるPoint
  • 原材料の安定調達という経営課題に対して、短期的な対応が可能で、自社での取組が可能な受注・生産フローの効率化から着手
  • 基幹システムの更新やタブレット導入により、受注状況のリアルタイム把握を実現。業務効率化や製造量の予測値と実績値のギャップ低減、フードロス削減に効果
原材料の安定調達という経営課題に対して、短期的な対応として、自社での取組が可能なシステム化から着手

野沢菜漬メーカーである同社では、最大の経営課題が原材料調達の安定化だが、原材料の量や品質は天候に左右され、特に最近では天候不順の影響が深刻化している。一方、生産者の高齢化が進み、離農も増えていることから契約生産者の新規開拓が急務となっているものの、産地間での品質格差が大きく、対応できていない。

また、原材料の仕入から加工まで倉庫で貯蔵できるのは最大5日程度で、仕入状況と受注状況に応じた生産の精度向上が必要となっていた。このため、短期的な対応として、自社での取組が可能なシステム活用による受注・生産フローの効率化に着手した。

基幹システム更新やタブレット導入などにより、受注・生産フローの効率化を実現

同社は、顧客の発注に対し当日中に発送するため製造を行っている。製造部門は過去の受注実績や当日の天候などを踏まえて予測受注数量の7~8割を朝から製造している。営業部門は11時の締切までに(大口顧客の受注締切は13時半)、受注を基幹システムに入力していた。これまで締切時間直後に営業部門が工場スタッフに電話で受注状況を連絡していたが、工場にタブレット端末を導入したことで、締切時刻前でも受注状況をリアルタイムで把握でき、受注状況に応じた製造ラインの稼働が実現した。

また、漬物工場は高湿度かつ高塩分濃度となることから、防水防塵タイプのタブレットを採用するとともに、基幹システムの更新、EC向け販売管理システムの新規導入を行った。

一連の取組により、受注入力から製造着手に要する時間が従来比で約20~30%短縮され、製造量の予測値と実績値のギャップ低減に想定通りの効果が得られ、フードロス削減にも貢献している。

今後の課題は受注業務のデジタル化で、電話やFAXなどによる受注を一括自動処理できるシステムを模索

受注・製造フローの効率化は、現時点で計画比50~60%の進捗で、今後の課題である受注業務のデジタル化に対応するため、電話やFAX、eメール、ホームページからの受注を一括で自動処理できるシステムの導入を模索している。特に小売店からはFAXでの注文が多く、基幹システムに手入力しており、効率化に向けた方策を模索しており、受注状況のペーパーレス化も今後の課題としている。

原材料の安定調達による生産性向上に向け、生産者との連携強化が必要

受注・製造フローの効率化については成果を上げているが、生産者など外部と連携した生産性向上の取組は今後の課題となっている。原材料の安定的な調達により、製造ラインの稼働状況や製造時間が安定化し、生産性向上に寄与することから、今後、契約生産者との連携強化が必要と考えている。