パン製造業[宮城県 ]
発注システムとPOSデータを連携させた独自システムを開発。データ分析により労働時間短縮とロス削減に効果
従業者の状況
生産関連の状況
[メンテを含む]
担当者
整備選任
担当:
!生産性向上におけるPoint
- 発注システムとPOSデータを連携させた独自システムを開発。販売状況と原材料使用量のデータを分析し、ロス削減や労働時間短縮に効果
- 今後は勤怠システムも連携し、労働時間の短縮を図る計画
原材料使用量・販売状況のデータ分析における課題を、独自システムの開発により解決
同社はパン製造・小売業(リテールベーカリー)で、小売店を12店舗展開している。
パン製造業においては、製造工程における原料ロスに加え、店舗の売れ残りによるロス発生も多いため、原材料の使用状況や販売状況の的確な分析が必要だが、同社はデータ分析に課題を抱えていた。このため、独自開発システムを導入して、スピーディーかつ高精度な分析が可能となった。
自社のニーズに合わせた独自システムを開発。労働時間短縮と原料ロス削減に効果
従来は原材料の発注システムとPOSシステム双方からExcelデータを出力して、多大な時間をかけて手作業で加工・分析を行っていた。このため、販売状況に見合う製造量の事前予測が困難だったこともあり、独自システムの開発を検討するに至った。
同社のニーズに対応可能なシステムの柔軟性やExcelデータの加工・分析が可能な点を総合的に評価し、都内のITベンダーに開発を委託した。検討には管理本部長1名と経営企画室のメンバー1名に加え、店舗のスーパーバイザー2名も参加した。特に、管理本部長が前職で関わったシステム導入の経験やスーパーバイザーによる現場の知見がシステム構築に貢献した。
独自システムは、自動的にデータ加工が可能で分析テンプレートも内蔵されており、あらかじめ分析フォーマットを指定するだけで、POSデータで販売状況を把握しつつ原材料を随時発注できる。システムを活用し、原材料使用量と販売状況の分析を進めた結果、分析精度が向上し、労働時間の短縮(1人当たり20~30時間/月)と原料ロス削減により利益率が1%向上した。
独自システムの導入により原材料のロス(廃棄)量は削減できたものの、廃棄量1%という目標は未達である。パン製造工程では原材料である小麦粉の重量に対し、仕込みから焼成の各工程で重量が変化していくため、今後、原材料と各工程におけるロスの把握を定量的に一致させるシステムが必要である。
今後、発注システムとPOSデータを勤怠管理システムに連携させ、さらに労働時間の短縮を目指す
今後、発注システムとPOSデータを勤怠管理システムに連携させて、労働時間をさらに短縮したいと考えているが、デジタル人材が特に重要となる。このため、従業員のITリテラシー向上のための教育を進めつつ、ITベンダーの従業員が期間限定で同社に常駐するなど、外部の専門家のサポートを受ける必要があると考えている。