パン製造小売業[京都府]
食パン製造の集約・ライン化、冷凍パン生地の導入により製造効率を向上
従業者の状況
生産関連の状況
[メンテを含む]
担当者
整備選任
担当:
!生産性向上におけるPoint
- 食パン製造を一店舗に集約・ライン化し、製造効率の改善と従業員の負担軽減を実現
- 冷凍パン生地の製造設備を導入し、従来品同様の品質を維持しつつ製造効率の向上に寄与
食パン製造を集約・ライン化。製造の効率化と負荷軽減、品質面の差別化を実現。
食パンは同社の主力製品であり、同社のパン売上高の約20%を占める。しかし、①従来の固定窯では10本の焼成に1時間かかり製造効率の改善が必要、②各店舗での製造体制では従業員の負担が大きい、③他品目との並行作業が煩雑という課題を抱えていた。
作業が煩雑なサンドイッチ系製品を一店舗でまとめて製造していた経験を活かし、2015~2016年にかけて食パンの製造拠点を一店舗に集約した。専用のミキサー、生地の自動分割機、コンベクションオーブンとそれに併設するショックフリーザー(急速冷凍機、各4台)を導入し、バッチ式の生産ラインを構築し、製造された食パンは各店舗に配送している。この取組により製造効率が向上し、従業員の負荷も大幅に軽減するとともに、他のパンを製造する時間も増えた。焼成後の食パンを瞬間冷却することで余熱による過剰な水分蒸発を防止できるようになり、品質面での差別化にもつながった。
冷凍パン生地を各店舗へ配送、店舗で製品化。製造能力向上と品質維持を両立
同社はコロナ禍後、以前から構想していた冷凍パン生地の導入を本格的に検討している。これは、経営効率化の観点から省力化の必要性を認識し品質維持との両立を模索するようになったこと、多店舗展開する上で従来の考え方からの転換が必要になったことが背景にある。
2021~2022年にかけて、1店舗に冷凍パン生地の製造設備とプレハブ式冷凍庫を導入した。同店舗で製造した冷凍パン生地を各店舗へ配送し、店舗で食事パンや菓子パンなどに製品化する体制を構築(全製品に使用するものではない)することで、製造能力が大幅に向上した。当初は品質面に課題があったものの、最終的には従来の品質水準を満たす製品の開発に成功した(フランスパンなどの一部製品は除く)。
今後は製造量増加と販路拡大に取り組み、人材不足と原材料価格高騰への対応も模索
主力製品の製造工程における省力化は一定の成果を上げているが、現状はあくまで特定店舗での集中加工にとどまり、本格的な工場製造体制への移行には至っていない。ただ、当面は新たな設備投資は行わず、これまでに拡大した製造キャパシティを活かし、製造量の増加と販路拡大により事業拡大を目指す。
同社では現在、人材不足と原材料価格の高騰が重要な課題となっている。両課題に対して包括的な対策を講じると同時に、他社や異業種との連携を通じてより効果的な解決策を模索するとともに、業界内の情報収集・分析体制を強化し、他社の取組や成功事例を参考にしながら、経営戦略に活用する考えだ。