麺類製造業[秋田県 ]
生産年齢人口の減少を見据え、人手に頼っていたうどん製造工程の機械化を検討。省力化と増産に期待
従業者の状況
生産関連の状況
[メンテを含む]
担当者
整備選任
担当:
!生産性向上におけるPoint
- 生産年齢人口の減少を見据え、手作業に頼っていたうどん製造工程の機械化を検討。まずは従業員の負担が重い、麺をローラーで延ばす工程の機械化に向けてテストを実施し、省力化と増産を見込む
- 手作業にこだわらず、機械を用いた製造方法を柔軟に取り入れていく方針
- 今後はパッケージ工程の機械化による省力化や、製造から出荷まで一気通貫で行えるシステムの構築も目指す
少子高齢化が進む中、経営規模の維持が課題。機械導入による省力化へ検討を開始
同社は稲庭うどん(乾麺)の製造販売を事業とする。本社を置く秋田県は全国と比較しても少子高齢化が進行しており、10年後には生産年齢人口が大幅に減少する見込みである。
同社は「手延べ」を強みとし、全行程を手作業で行っているが、人手に頼るものであることから弱みにもなりつつある。少子高齢化が進む中、現在の経営規模や利益水準をいかに維持していくかが経営課題であり、機械設備の導入による省力化の必要性を強く認識するようになった。同社は品質の担保を大前提として、慎重に機械化の検討・推進に取り組んでいる。
2019年、複数個所にあった小規模工場を一か所に集約した。これは、HACCPに沿った衛生管理の制度化を受け、今後の安心・安全を考えた際に工場の集約が最善と判断したためである。人員の集約により、労務管理が効率的になるという利点もあった。
新工場への集約を機に、今後の生産性向上に向けた検討を開始した。主にパッケージ工程以降の省力化を検討したが、工程間の移動にコンベアを導入したり、製造工程においても手作業に代わる方法を模索したりと、多様な角度から検討を進めている。本格的な機械化に着手するには5年程度を要する見通しだが、部分的には前倒しで機械化を進めていく考えだ。
負担が重い「つぶし」工程の機械化を検討し、省力化と増産に期待
生産性向上に向けて、製造工程の見直しを検討している。うどんの製造工程の一つに、麺の生地を平たく延ばす「つぶし」がある。作業に用いるローラーが重く、長時間の作業が困難なことから、他の工程に先んじて機械化の検討を開始した。現在は試作機を用いたテストを行っている。従来の「つぶし」工程には1ライン当たり8人が従事していたが、機械化後は4人で運用可能になる。残り4人を「手綯(てない)」(紐状に伸ばした生地に両手でよりを入れながら、2本の棒の間に交差させて巻きつけていく工程)など他の工程に回すことで、1日当たり100㎏以上の増産が可能になると見込む。
今後はパッケージ工程も機械化し、製造~出荷の一気通貫システムを構築へ
パッケージの工程も、今後比較的早い段階で機械化することを検討している。パッケージから出荷までの工程は現時点で23~25人が担当しているが、機械化を進めることにより5人を削減できる見込みだ。さらに、製造から出荷まで一気通貫で行えるシステムを構築していきたいと考えている。
伝統は大切だが、進化も必要。柔軟に製法の検討を進める
同社は、「手綯」など複雑な工程は機械化しにくいが「つぶし」など比較的簡易な工程は機械化しやすいと考えている。社長は「これまでの伝統は大切である一方で、進化していくことも必要だ」とする。伝統製法を守ることも重要だが、消費者に美味しいうどんを届けるという使命を実現し、さらに進化させていくためには、手延べに固執せず柔軟に検討していく方針である。