大田区で創業70年以上の実績と技術力を誇る電化皮膜工業の廣門専務にお話を伺った。表面加工処理(めっき)を得意とする下町ボブスレープロジェクトにも参加されている大田区を、いや日本を代表する「ものづくり企業」だ。東京都大田区や東大阪、諏訪湖周辺、浜松を始めとする日本の産業集積地域から多くの中小零細企業が姿を消しつつある今日、一言に「技術力を誇る」と言って、70年以上も「生き残る」ましてや「進化を続ける」ことは並大抵のことではない。廣門専務との話を伺っていくうちに、電化皮膜工業の「強み=X」は、技術力ではなく、人材力だと気づく。職人の誉れとなる黄綬褒章や現代の名工、マイスター等が沢山いても、後に続く若手を育てて、どの従業員でも確実にできるようにしてこその「技術力」である。技術を磨き、伝え、受け継ぐ職人が誇りを持って働く「場」を丁寧に丁寧に作ってきたことが電化皮膜工業、最大の強みである。技術の研磨に拘泥しつつ、常に高みを目指し、明るい未来を展望し続ける企業の魅力=「磁場」に人材は魅了され、育成され、事業拡張可能な「技術の伝承」が起こり、やがて誰も真似のできない企業としての実績と歴史が残る。同時に廣門専務は、外部とのネットワーク作りに余念がない。下請け(下流)事業から、より上流でのパートナーとの共同研究開発、新たな商流から生まれる、ダイナミックな事業機会を自らが創造しようとする貪欲さである。まさにX(パートナリング)によってこそX(技術価値の乗数効果)の生まれるX(秀でた技術)をXプロジェクトも微力ながら応援したい。