メイド・コスプレ関連サービス市場の定義

店員がメイド・執事等の服装、またはその他のコスチュームを着用して接客・サービスを行う飲食店及びサービス業の売上を市場規模とする。具体的にはメイド喫茶、執事喫茶、メイドリフレクソロジーサロン、メイドハウスクリーニング、メイドデートクラブ、男装デートクラブ、コスプレ/コンセプト飲食店を指す。但し、風俗店(キャバクラ、ピンクサロン等)は除外する。
 

メイド・コスプレ関連サービス市場の客層

2016年9月に矢野経済研究所が実施した消費者アンケートより、「メイド喫茶オタク」(メイド関連サービスや、コスプレ/コンセプト飲食店を愛好する層も含むが、本項では便宜的に「メイド喫茶オタク」と称する)を自認する消費者は日本国内に約39万人と推計。年代は19歳以下:8.9%、20代:31.1%、30代:11.1%、40代:24.4%、50代:8.9%、60代:15.6%と、20代が最も多い。男女比は66.7%:33.3%。「執事喫茶」等の常連となる女性や、観光で秋葉原や日本橋のメイド喫茶へ行ったことがきっかけでファンになる女性も一定数存在すると見られ、男女比は6:4程度と推定される。
業界関係者へのヒアリング等から、メイド喫茶等のコスプレ/コンセプト飲食店の客層は、観光スポットとして訪れる一見(いちげん)客及び観光客と、常連客に大きく分かれ、常連客となる層は20~30代が多いとみられる。近年は一般層をメインターゲットとし、店の世界観(例:夢の国、童話の世界等)を反映したコスチュームを着用した店員が接客を行う店の人気が高まり、「オタク層」以外の利用も増えているとみられる。また、今年度より新たに調査項目として加えたオタク歴については、1年未満が55.6%と過半数を占めた。平均は2.9年であり、測定20ジャンル中最小値を示した。
 
 

メイド・コスプレ関連サービス市場の客単価

「メイド喫茶オタク」を自認する層が「メイド喫茶(メイド関連サービスやコスプレ/コンセプト飲食店含む)」にかける金額は平均で年間37,289円。常連層と、一見客及び観光客では消費行動や客単価が大きく異なり、一見客が1度の来店に使う金額は、入国料(一般のお店でいう、サービス料)が500円+税に加え、飲み物、あるいは飲み物+αであることから、1,000円~3,500円程度と推察される。
一方、常連層は「店を守る・維持する」という意識の強さ(特に、外に看板等を出さず「常連客」のみをターゲットとした店の常連客に顕著に見られる)や、店員とのコミュニケーションの機会を増やしたい等の理由から何度も追加オーダーをしたり、オプションサービス(写真撮影等)を利用することが多く、3,000円を超えることも多い。
 

メイド・コスプレ関連サービス市場の構造

数百円程度のチャージ料を課したり、店員とのゲームや写真撮影等のオプションサービスを有料で提供したり、通常の喫茶店よりも若干割高な価格設定をしている店は存在するが、通常の喫茶店やファミリーレストランより著しく単価を高く設定している店は極めて少ないとみられるが、一見客を狙い高額な価格設定を行う事業者も一部存在する。
通常の飲食店と同様、集客が見込める場所へ出店すると賃料がかさむ。更に、一般の飲食店と異なり、メイド服や店の世界観に即したコスチュームを着用した店員による店の雰囲気作りが必要なため一定数の店員の配置が不可欠であり、一般の飲食店よりも人件費がかかるケースが多い。
上記の理由等から赤字運営となり、物販等付帯サービスや、メイド喫茶等の運営以外の事業で赤字を補填する事業者もあるが、それもままならない事業者は淘汰されている。
店舗の淘汰は2007~2009年頃で一段落しているとみられ、近年は「非日常空間の演出」、「一流シェフ/パティシエのこだわりメニュー」等の付加価値を付けることで客単価を上げている店舗が堅調な推移を示している。
店員1人当たりの人件費は、一部の店を除いて通常の飲食店と変わらないか、研修期間中はそれよりも更に安い時給が適用されるケースが多い模様である。また、アルバイトをする年齢層は10代後半~20代前半までのようで、若い層が次々と入社しては、数年後に辞める(卒業する)というサイクルを繰り返している模様である。
店のコンセプト及び経営戦略は以下2つに大別される。
 
  1. メディア露出を積極的に行い、「観光スポット」となっている店。外装・内装が非常に特徴的(その店のコンセプトを強く打ち出したものとなっている)で、店舗によってはチラシ配り等による集客を行っている
  2. 漫画・アニメ・フィギュア等いわゆる「オタクコンテンツ」愛好者同士の交流の場となっている店。メディア露出は極めて少ないか皆無で、外装も目立たないことが多い。
 
「メイド」や「萌え」がブームとなった頃(2000年代半ば頃)は1.のタイプを模倣した店が目立ったが、1.のタイプの店やそれを模倣した店はブームの終焉に伴い、一部の人気店を除いて縮小・淘汰が進んだ。近年では一般層をメインターゲットとした、あるいは一般層でも入店しやすいコスプレ/コンセプト飲食店が増加しており、ブーム時とは異なる形で人気が再燃している。
一方、2.のタイプの店はブームによる伸びはそれほどなかったが、ブーム終焉の影響も小さかった模様である。固定ファンが売上を下支えしている。
 

メイド・コスプレ関連サービス市場のトレンド、トピックス

●「BAND-MAID」がメジャーデビュー、海外で人気を博す

メイド姿のロックバンド「BAND-MAID(バンドメイド)」が2106年5月にミニアルバム「Brand New MAID」でメジャーデビューした。メイドファッションと高い音楽性のギャップが受け入れられ人気を博している。秋葉原のメイド喫茶で働いていた小鳩ミク(ボーカル)を中心に2013年7月に結成された5人組のロックバンドであり、全員がメイド服を着る。メイドらしく観客のことを「ご主人様・お嬢様」、ライブのことを「お給仕」と呼ぶ。
海外からも声がかかり、2016年3月にはアメリカで3000人を動員。5月にはイギリスでも公演を行った。10月からは、世界8か国9都市をまわるワールドツアー<BAND-MAID 『Brand New MAID』Release Tour World Series>がメキシコを皮切りにスタートしている。

●インバウンドニーズも取り込む

2006年度をピークにメイド喫茶やメイド関連サービス、コスプレ/コンセプト飲食店の市場規模は縮小していたが、2008年4月にメイド喫茶「メイドカフェ&バー めいどりーみん」をオープンしたネオディライトインターナショナルや、「@ほぉ~むcafe」を運営するインフィニア、そして、様々な業態のコンセプトレストランを運営するダイヤモンドダイニング等、訪日客や一般層をメインターゲットとした店を運営する事業者に関しては、事業規模を拡大させている。
 

メイド・コスプレ関連サービス市場規模

2015年度の市場規模は前年度比2.7%増の115億円と算出された。「非オタク層」を主なターゲットとしている「めいどりーみん」(ネオディライトインターナショナル)や、「@ほぉ~むcafe」(インフィニア)等の事業者は堅調に推移している。一方では、1店舗のみの運営事業者や、「オタク層」をメインターゲットとした従来型の店舗を運営する事業者は、閉店している事業者も現れるなど厳しい状況の模様である。
2016年度も同様の傾向だと予測されることから、同1.7%増の117億円と予測する。
 
 
本稿の詳細データについては、下記調査レポートよりご入手いただけます。