令和元年(2019年)朝日新聞デジタル12月31日と、令和二年(2020年)1月1日の朝日新聞に、Xビジネス開発室研究員の談話が掲載されました。

年越し前に寝てしまう両親、誰かと過ごしたくて古民家へ

お正月と言えば、家族や親族が一堂に会し、テレビや料理を囲む光景が当たり前でした。しかし、核家族化や高齢化などが進み、だんらんの形にも変化が訪れています。

かつては養蚕農家だった古民家は天井が高く、底冷えする元日の朝は室内でも吐く息が白い。いろりの残り火が暖かい部屋に、寝床からはんてんを羽織った人が次々に集まり、「明けましておめでとう」とあいさつを交わす。

山梨県韮崎市にあるゲストハウス「空穂宿(くぼしゅく)」。県内の福祉職の女性(40)は、ここ数年、このいろり端で新しい年を迎えている。

子どもの頃のお正月は、祖父母の家に親戚が集まった。だが祖父が亡くなり、祖母は高齢者施設に入った。しばらくは家族旅行に出かけたが、9年前に妹が結婚してからは難しい。一緒に暮らす70代の両親は、最近は紅白歌合戦を最後まで見ることもなく寝てしまう。

日頃は仕事で帰宅が遅く、一緒に食卓を囲むことはほとんどない。個人の部屋にテレビもエアコンもあり、それぞれが自由に過ごす。ただ、にぎやかな思い出が残る年越しの時期だけは、だれかと楽しく過ごしたいと思う。女性にとって、この宿での年越しは、欠かせないものになりつつある。

空穂宿は、窪田隼也さん(40…

https://www.asahi.com/articles/ASMDC5FV0MDCUTFL00D.html

(朝日新聞デジタル2019年12月31日13時30分より引用)

(令和二年(2020年1月1日)朝日新聞35頁より引用)

一人で過ごせる場 増えた

矢野経済研究所の片岡一豊研究員の話
「おひとりさま」が最初にブームになったのは2004~05年ごろ。女性が社会進出し、高級ランチやエステなど自分へのごほうびとして1人で行動することを楽しむ姿を表したもので、2005年には流行語大賞の候補にもなった。しかし、当時はまだ1人で行動することへの抵抗感が強く、「人目が気になる」「少数派」という感覚があった。
その後、2010年の国勢調査で、単独世帯が最も多い「家族類型」に。家族のかたちの変化にともない単身者が増え、社会の見方は大きく変わった。
1人向けサービスのニーズは以前から潜在的にあったとは思うが、最近は企業も注目し、一つのビジネスと捉えるようになった。単身であっても自分に合った過ごし方ができる社会に変わりつつあるということだろう。
たとえば、個人で申し込んだ人同士が集まってチーム分けし、その場限りでゲーム形式のフットサルを楽しむ「個人参加型フットサル」の市場規模はこの数年、110%を超える伸びを見せている。また、数人のグループでホールを回るのが一般的なゴルフも、個人で参加できるサービスが増えている。1人で豊かな時間を過ごすだけでなく、1人であっても仲間を見つけて楽しく過ごせるサービスが増えている。