葉っぱビジネス-。紅葉の観光ビジネス?キャンプ地で焚き火の燃料として枯葉でも販売しているのか?と思えるようなこれ、じつはれっきとした食品関連の「商品」なのである。

 

  1. 拾った葉っぱを売りに出す。どんなビジネス?
  2. 葉っぱで町に新しい産業を築き、高齢者に生きがいを
  3. その会社、「株式会社いろどり」
  4. いろどり、「ザ・ビジョナリー」に出てます

 

1. 拾った葉っぱを売りに出す。どんなビジネス?

「葉っぱビジネス」とは、いわゆる料理の“つまもの”を提供するビジネスのことである。拾った葉っぱを燃やすための燃料にしているのではなく、日本料理を美しく彩る季節の葉や花、山菜などを、栽培し、全国に出荷・販売しているのだ。この葉っぱビジネスのポイントは、商品が重量物でなく葉っぱであることから、女性や高齢者でも簡単に取り組めることにある。葉っぱを売って小遣い稼ぎ程度、日本料理にどれだけ葉っぱを使うの?と思われるかもしれないが、じつはこのビジネスの年商は2億6000万円なのである。作業をするおばあちゃんの中には、なんと年収1000万円プレイヤーもいるのだ。
ただ葉っぱを拾ってやみくもに売っているのではない。このビジネスを支えているのは、あくまでマーケティングなのである。じつは、葉っぱを集めているおばあちゃんたちは、パソコンやタブレット端末で全国の市場情報を分析して、自らマーケティングを行い、栽培した葉っぱを全国に出荷しているのだ。まさに「コンピューターおばあちゃん」である。

 

 


2. 葉っぱで町に新しい産業を築き、高齢者に生きがいを

現在の日本の高齢者は、そのほとんどが年金生活を送っている。だが、年金だけでは生活するのがやっとであるのが多くの年金成果者の事情で、さらに生活保護受給者も年々増えてきている。葉っぱビジネスを行う高齢者たちの多くも年金受給者だが、年金に加えてこの葉っぱ年収があり、多い人は、月100万円も稼いでいる人もいるのだ。年間売上高を平均すると一軒あたり約125万円になるという。年金に加えてこれだけの年収を稼ぎ出しているのだ。
こうして高齢者が年金暮らしから働き手へと変わっていくことは、産業福祉社会に大きな良い実例を提示している。十分に暮らしていける年金の受給が、高齢者にとってよい福祉であるとは限らない。一日中何もすることがなく、「社交場である病院に姿を見せないから病気なんじゃない?」というような社会福祉はけっして求められてはいない。葉っぱビジネスのおばあちゃんたちの口癖は「元気なうちは働いて稼ぐこと。『なんにもせんでええけんじっとしておれ』と言われる事が一番辛い」だそうである。高齢者に役割ができて精神的に元気になるだけではなく、葉っぱビジネスにかかわることは、脳を使い認知症の予防にもつながる。畑での葉っぱ採取作業によって、足腰が鍛えられて寝たきりの予防にもなるのだ。

 

画像は「いろどり」ホームページから引用

 

実際、「葉っぱビジネス」の町では、高齢者の医療費が県内でもっとも少なく、生活保護世帯も少ないという。町の経済にもひと役買っているのだ。


3. その会社、「株式会社いろどり」

徳島県の山間部にある上勝町(人口約1600人の、いわば過疎地)に、葉っぱビジネスの「株式会社いろどり」が存在している。ここで160軒以上の農家が「葉っぱビジネス」に取り組んでいるのだ。もともと林業とミカンが主な産業であったが、安価な外国産木材や異常寒波の影響でミカンの木が壊滅してしまった経緯がある。それらの代わりになる産業を模索しているとき、大阪の料亭で、料理にそえる「つまもの」の需要があることを知ったのが最初であった。そうして葉っぱビジネスを1986年に立ち上げ、2年後にJAの内部に生産者組織を作った。これが、いわゆる第三セクター方式の「株式会社いろどり」となったのである。生産者である高齢自身がパソコンを駆使して相場を分析し、電話で注文を受けるスタイルである。
現在ではモミジやイチョウなど、年間で300種類以上の生産物を扱っている。取引先は全国に約100社を持っている。
葉っぱビジネスは2012年に映画『人生、いろどり』にもなっており、全国から来町者の数や販売数も伸びた。現在、「いろどり」では、上勝町から委託を受けて上勝町の移住・交流人口の増加、町のファンづくりを目的としたインターンシップ事業も行っている。毎年多くの若者が町を訪れており、現在までに数百名を受け入れ、20名ほどが上勝町に移住した。
2018年からは農業の後継者を育成するために研修場の整備や農業体験も始めている。

 

画像は「いろどり」ホームページから引用

 

パソコンやタブレット端末で見る「上勝情報ネットワーク」というシステムが存在し、おばあちゃん達はパソコンやタブレット端末を駆使して、このシステムに入る全国の市場情報を分析して自らマーケティングを行い、栽培した葉っぱを全国に出荷している。「いろどり」は上勝情報ネットワークを通じて、各農家に自身が何番目の売上を上げているかなど、農家への情報発信を行っているのである。

 


4. いろどり、「ザ・ビジョナリー」に出てます

このおばあちゃんたちの「葉っぱビジネス」について、テレビ番組「ザ・ビジョナリー ~異才の花押~」で紹介している。放送日は11月6日火曜日、東京MXTVで19:58~20:27の時間帯である。番組放送後にWeb上での視聴も順次可能となる。番組中の「Xビジネスコーナー」で、Xビジネス的な視点から考察・紹介しているので、ぜひ本稿と合わせて視聴してもらいたい。

 

ザ・ビジョナリー~異才の花押~
http://the-visionary-project.com/ 

「Xビジネスコーナー」動画アーカイブ
https://xbusiness.jp/xbusiness/visionary

株式会社いろどり
https://www.irodori.co.jp/

 

関連資料:

2019年版 シニア関連市場マーケティング年鑑
https://www.yano.co.jp/market_reports/C60121200

2016年版 市場を創れ! -新市場を生み出すユニークビジネスー
https://www.yano.co.jp/market_reports/C57123100