本稿は2018年6月よりスタートした「Xビジネス ショートレポート」の一部を抜粋した記事となる。

フルサイズのレポートについては、こちらより閲覧が可能であるため、主力企業の動向などに興味がある読者は、ぜひアクセスしてみてほしい。

また、客層・客単価などについては、「鉄道模型市場の実態と展望」に詳しいので、合わせてご確認いただければ幸いである。


2017年度 鉄道模型市場規模

2017 年度における鉄道模型市場の市場規模(国内出荷額ベース、車両のほかジオラマ・レール・動力ユニット等周辺商品を含む)は、前期比7.6%増の113億円になると算出された。車両模型のみの市場規模においては、同10.1%増の87億円になると推計され、車両模型の構成比は鉄道模型全体の約77%と前期から2ポイント上昇した。
当該市場は「TOMIX」ブランドを展開するトミーテックと「KATO」ブランドを展開する関水金属が2大メーカーとなっており、2017年度で約8割を占める。
2017年度は、トミックスの新制御システム「TNOS(ティーノス)」や関水金属の特別企画製品「E001形〈TRAIN SUITE 四季島〉」などの目玉製品が販売をリードし、ここ数年には見られなかった市場拡大につながった。
2018年度においては、関水金属の「四季島」ほど市場を大きく押し上げる新製品は予定されていないものの、各社ユーザーニーズに応えた定番品を投入していくとともに幅広い遊び方の提案につながる下回り品の提案も積極的に行っていることから、大幅な反動減は見られないものと思われる。そのような背景から2018年度の市場規模は、前期比1.8%減の111億円にて推移するものと予測する。

鉄道模型ブランドの比較 by Xビジネスエンジン


鉄道模型ブランドを弊社の解析手法「Xビジネスエンジン」を用いて分析したところ、以下のようになった。

全体的に鉄道模型のユーザーは年齢層が高く、アニメやゲーム、フィギュアなど他のオタク分野に比べてインターネットやSNSによる情報収集や情報拡散をする傾向が低いことが表れる結果となった。
各ブランドを分析すると、ユーザーが主体的にブランドを支持し、且つブランドが浸透している状況である「理想ZONE」に位置するブランドは、トミーテックの「ジオラマコレクション」のみが当てはまった。
2大ブランドであるトミーテックの「TOMIX」と関水金属の「KATO」を見ると、「TOMIX」は「魅力度」(=メディアに左右されず自主的に反響しているユーザーの度合い)は高いものの、「温度」(=情報の拡散度合い)が低く、いわゆる「冷めた魅力」に位置する状態となっている。
一方、「KATO」は自主的に情報を発信しているユーザーの比率が低く、且つ情報自体が拡散していない状況にあり、魅力度、温度ともに低い「課題ZONE」に位置している。

同集計期間には、車両ではKATO の「四季島」、下回り品ではTOMIX の「TNOS(ティーノス)」といった話題性が高い商品が市場の主役となっていたが、メディアを通じた情報の拡散具合は高くない状況であった。言い換えれば、市場の底上げに貢献している製品を提供してはいるが、ユーザーが主に実店舗で情報収集などをしている傾向が高いか、人気が高いが決して一過性の製品ではないという見方もできる。

その他のブランドでは、バンダイスピリッツの「Bトレインショーティー」がジオラマコレクションと同じくらい「魅力度」が高い状況となり、反響数も上記2 大ブランドに次ぐ多さであった。これは、2018年4月に「Bトレインショーティー」が㈱バンダイから新たに設立された㈱バンダイスピリッツに事業譲渡されたことによる影響が考えられる。
また、「PLATZ」は「温度」が他ブランドと比べて圧倒的に高く、一定期間に同ブランド商品の情報が広く拡散されたようである。


より詳細な情報は「Xビジネス ショートレポート Vol.1 」よりご確認いただけます。