セブンイレブン、今後5年で1000店増加へ

セブン&アイ、2025年8月6日に経営戦略を発表

2025年8月6日、セブン&アイ・ホールディングスが今後の経営戦略を発表しました。その中で注目されたのが、「今後約5年間で、国内のセブンイレブンを1000店舗増やす」という計画です。

最近は、コンビニ全体の店舗数が横ばいで、少子高齢化による人口減少も進んでいる中で、「今さら1000店も?」と思う方も多いはず。しかし、筆者としては「まだまだ出店の余地はある」と考えています。

その理由を、順を追ってご紹介しましょう。

 

非24時間営業の“新しいコンビニ”が増えている

皆さん、最近「24時間営業ではないコンビニ」が増えているのをご存じですか?これは、病院、介護施設、大学、スポーツジム、オフィス、工場などにあった、いわゆる「売店」や「購買」が、どんどんコンビニに置き換わっているためです。

学生時代の学校の購買、思い出してみてください…「おいしくないパン」や「誰も買わないお菓子」を買った記憶、ありませんか?それもそのはず。購買にはPOS(販売管理)システムが無いため、「何が売れているか」のデータが把握できません。結果、利用者のニーズと品揃えがズレてしまい、「おいしくないけど、他に選択肢がないから仕方なく買う」という状況が生まれてしまうのです。

 

郊外の大学・病院・工場は“購買一択”の地獄

都市部なら近くにコンビニや飲食店があるので、購買を使わなくてもなんとかなります。でも、郊外にある大学や、地方の大病院・工場などでは話が別。周囲にお店がなく、「購買しか選択肢がない」というケースも多いのです。そんな不便な状況に置かれた利用者からは当然、「施設内にコンビニを入れてほしい!」という声が上がります。

 

コンビニ側にもメリット大! 採算もOK

一方で、コンビニ運営側から見ても、大きな施設は出店のチャンス。病院や学校には安定した客数が見込めるうえ、

・駐車場が不要

・深夜営業の必要がない

・狭いスペースでもOK

など、コスト面でもメリットが大きいのです。このように、施設内への出店は、ユーザー・運営双方にとって“Win-Win”なのです。

 

24時間営業はもう当たり前じゃない

こうした背景から、コンビニ業界では24時間営業の割合がどんどん減少しています。2025年4月時点では、セブンイレブン・ファミリーマート・ローソンの3社ともに、24時間営業店舗の割合は90%前後にまで下がっています(矢野経済研究所調べ)。かつては「24時間営業だからこそコンビニ」と言われていましたが、今はその常識も変わりつつあるのです。

 

セブンイレブンが1000店増やすのは現実的

このように、“元・購買”の施設内コンビニ化が進んでいる現在、セブンイレブンが「1000店舗を新規出店する」という計画も、決して無謀なものではありません。むしろ、今後さらに購買が姿を消し、施設内のミニ店舗型コンビニが当たり前になるとすれば、セブンの戦略は極めて現実的と言えるでしょう。今後5年の間に、24時間営業の店舗比率はさらに低下し、全体の80%以下になる可能性も十分ありえます。「施設内型」「非24時間営業」のコンビニが増え、新しい形のライフラインとして、ますます身近になっていきそうです。

 

PS:

株式会社矢野経済研究所では、24時間営業の実態を解説した、「ナイトタイムエコノミー市場 徹底研究」という書籍を発刊しております!ご関心がある方は是非~。

 

 

関連資料:

2025 ナイトタイムエコノミー市場 徹底研究
https://www.yano.co.jp/market_reports/C67106500

関連リンク:

スナックヤノケイ
https://www.yano.co.jp/xbusiness/sunatama/