本日からは「情報銀行」関連した調査結果を発信していきます。
その前に、情報銀行とは何か?について、ご存じない方のため簡単にご説明しておきます。
情報銀行とはその名の通り、一般的にお金を扱う銀行になぞらえてデータ(個人情報)をお金のように取り扱おうとする新しい事業モデルのようなものです。
近未来の経済、いわゆるデータエコノミーの世界では、個人情報等のデータの価値が高く、これをお金のように流通利用させていくことでよりよい社会にしていこうというものです。
また個人情報というデータは、それぞれの個人に帰属するものです。
したがって、これを利用するならばそれ相当の対価や報酬を与えるべきであるというのが情報銀行のキホンとなります。
情報銀行について、何となくでもイメージできるでしょうか?
とはいえ、個人情報には非常にセンシティブな内容も含まれますし、そうではなくてもプライバシーの侵害や余計なトラブル、事件に巻き込まれれるリスク、あるいは監視社会へとつながる恐れなど、その取扱いには様々な懸念があります。
そこで未来を数字にプロジェクトでは、このような個人情報の流通に対して一般の方、とりわけデジタルネイティブと呼ばれることも多い、これからの社会を担う若者がどのような考えを持っているかを調査、分析しました。
今回の調査では、TwitterやFacebook利用における9つ程度の個人情報について、その流通意向を3つの選択肢の中から1つ選んでもらいました。
そ3つの選択肢とは「いかなる場合もNO」「利用目的により許可」「適正対価により許可」です。
その結果、全体的な傾向として、「いかなる場合もNO」と「利用目的により許可」がそれぞれ30-50%程度、「適正対価により許可」が20%弱となっていました。
いずれの個人情報の項目でも、「適正対価により許可」は大よそ全体の15-20%のレンジであまり違いがなく、「いかなる場合もNO」と「利用目的により許可」は個人情報項目ごとに違いがみられるような結果でした。
やはり、ご自分の個人情報を流通させる(提供する)ことには根強い抵抗が残っています。
その一方で「いかなる場合もNO」が半数以下程度となっており、今後の可能性を示唆しています。
また、個人情報項目別の「いかなる場合もNO」と「利用目的により許可」の違いの傾向を一言でいうなら、個人の特定につながりやすいイメージの項目で抵抗感が強いというものです。
具体的には”位置情報(GPS)”、”プロフィール登録内容”で「いかなる場合もNO」という傾向が強く出ていました。
同時に通販サイト等では既に導入されているリコメンド機能の向上につながるイメージがある項目への抵抗感も強いものがありました。
具体的には、”検索履歴””閲覧履歴”についても「いかなる場合もNO」という方が半数近くに上っていました。
前者については「そうだろうな」と違和感ない結果である一方、後者については「えっ!?そうなのか・・・」という印象です。
なぜなら、既に多くの人が利用している通販サイトは、もはや当たり前のようにリコメンド機能を用いて販促活動を行っているからです。
また検索エンジンについても然りで、ストレスフリーな検索には履歴活用が必須となっているはずです。
そしてこれら情報を流通させることで、身の回りのあらゆるところでリコメンドされる、いわばリコメンド社会へとつながり、自分自身で苦労して何かを探したり選択したりするストレスが軽減されていくことが予想されます。
しかし、このような結果から推察すると、現状、そのような便利さよりも、知らないところから勝手にリコメンドされる”怖さ”や”わずらわしさ”の方が勝っているようです。
皆さんはご自身の個人情報の流通について考えられたことありますでしょうか?
データエコノミーの世界では決して他人事ではなく、みなさん一人一人の問題です。
「そんなこと考えたことないよ~(難しくてわからない)」という方は、これを考えるきっかけとしていただければと思います。
次回は、性別や年齢などの視点からもう少し細かく分析した内容をお伝えしていきます。
(品川 郁夫)
*本調査結果の詳細についてのお問い合わせは、矢野経済研究所 Xビジネス開発室までお願いします。