ミルメーク。この言葉を聞いて「あぁ。。」と思う人は、年バレすることと思うかもしれないがちょっと安心してよい。

知ってる人はとことん知ってるが、知らないひとはまったく知らないミルメーク。今回その謎にXビジネス的に迫ってみたい。

1.知る人ぞ知る「ミルメーク」
2.ミルメークの背負った日本の戦後史
3.ミルメークのビジネスモデル、ココがX(エックス)!

1.知る人ぞ知る「ミルメーク」

ミルメーク。名前のとおり化粧品である。名前にヒントがあるがわかりにくい。「ミルク」に関係のある商品である。間単にいうと牛乳に入れる調味粉末である。特に、給食の牛乳に付いてくることが多かった。その味の種類によって、ただの牛乳がコーヒー牛乳、イチゴ牛乳などに化けるのである。当然全国のお子様にウケて大ヒット商品となった。

これがミルメークの概要である。「全国のお子様にウケて」と書いたが、じつはその地域と年代に特徴があるのだ。

2.ミルメークの背負った日本の戦後史

牛乳に混ぜるだけの粉末に(失礼!)大層な見出しをつけたが、実は全くこの通りなのである。

終戦直後、日本の敗戦により国内の食糧事情は一気に悪化した。学校給食もまた然りである。この時代に幼少期を過ごした人なら覚えていることと思うが、この時代の給食に出てきた牛乳、脱脂粉乳は、マズいのである。それでも戦後の混乱期、劣悪な食糧事情のなか、「ミルク」の栄養価に頼るしかなかったのである。

それでもマズいものはマズい。それをなんとかしようと生まれたのが「ミルメーク」なのである。実際大ヒット、いや、これで多くの子供たちが栄養不足から救われたのであった。そして現在に至り、一部の子供たちに引き続き好評を得ている「給食のおとも」となっているのだ。

このような戦後食糧史を背負って現在まで続いているにもかかわらず、ミルメークは「知ってる人はとことん知ってるが、知らないひとはまったく知らない」存在なのである。じつはミルメークはメーカー直販ではなく、製造元の大島食品工業からいったん、全国の「学校給食会」に納入されているのである。つまり、各地域の学校給食会がミルメークを採用しなければ。その地域の子供たちはミルメークの存在をまったく知らないということになる。こうして、戦後を過ぎたあとりから、年代というより地域により、その存在を知らない、ミルメーク入りのミルクを飲んだことのない子供たちも存在してくるようになったのである。(実際、筆者もこの記事を書くまでその存在を知らなかった)

3.ミルメークのビジネスモデル、ココがX(エックス)!

ミルメークの流通は、前項で述べたとおり、各地の学校給食会を通じて全国の学校に収められている。これはミルメークが特別な扱いを受けているのではない。学校給食には、栄養価や安全面などの基準が設けられており、食品メーカーが各学校と直接取引をするのではなく、都道府県ごとの「公益法人学校給食会」にその取引が一元化されているのだ。

そのため、ミルメークは都道府県ごとの学校給食会の採用がなければその地域に流通することはなく、給食で水戸ことも飲んだこともない子供たちが現れてくることもあるのだ。

ここまで読んで「飲んでみたい!でも給食じゃ先生になるしかない!」と思った方に朗報を。ミルメークは、製造元の大島食品工業の通販サイトや、生協などからも購入することができるのだ。

子供たちの栄養のための給食という特殊なチャネルのなか、そのブランドパワーが脈々と続き、昔の給食をなつかしむファンにも愛されている。明らかにニッチな、それでも熱いという点にXビジネスを見出すことができる商品なのである。

(依藤 慎司)


関連リンク:

大島食品工業株式会社

2020年版 給食市場の展望と戦略