不定期連載エッセイ:
 

9月も半ばになると一気に涼しくなった気がする。あの夏はどこいったかと思うくらいだ。そして今年のプロレス業界の夏も熱かった。新日本プロレスでは、一年で最も過酷なシリーズ「G1(ジーワン)クライマックス」というのがある。これは何?と言うと、選び抜かれた実力者20数名が、2つのブロックに分かれて総当たり戦を行い、各ブロックの1位同士が戦い、真夏の真のチャンピオンを決めるという1カ月以上にわたって行われる長いシリーズのことである。この出場する選手の層の厚さが、新日本プロレスしかできない芸当の1つでもある。現時点において、他団体では絶対に真似できない。だからかもしれないが、団体の垣根を超え、フリーの選手も含め、このシリーズに参加したいと名乗りを上げる選手が多い。

このシリーズ中は連日どこの会場も超満員で、今年の最終戦は3日連続で日本武道館で開催というもの凄さである。何がもの凄いのかというと、「日本武道館」の開催を3日連続で行ったことである。これはどの団体でも真似できない。

かつて、全日本プロレスは毎シリーズで武道館での開催を行ってきたが、それは御大・馬場や鶴田、ブッチャー、ファンクス、ハンセン、ブロディ、ゴディ、ウイリアムス、四天王(三沢・川田・小橋・田上)らが活躍していた時代の話であり、今では正直、開催自体が周年記念などよほどの大きなイベントを絡ませないと出来ないくらいのキャパなのである。

 

その武道館開催を3日連続も開催するということは、本当にもの凄いことなのだ!!

 

今回のタイトルに「恐ろしさ」と付けたのは、他団体から見た業界関係者(ファンも含む)の本音を、勝手に予想(代弁)してみた。きっと「すげえなぁ」って思っているに違いない。それくらい、G1クライマックスの盛り上がり、人気、刺激は、嫉妬すら覚えるはずだ。でも過去には「G1」でさえも辛い時期があったと想像する。プロレスファンの減少とともに、会場に空席が目立つこともあった暗黒の時代があったはずだ。その中において、新日本プロレスがやったことの1つにプロモーションの改善がある。どうやって一般層に「見せるか」をじっくり考え抜いた。もちろん、「G1」のブランドを維持してきた選手たちの努力もあるのだが、あらゆる発信の効果が、今日の人気につながっていったと言っても過言ではない。数年前から山手線を使った全面広告や中吊り広告はもう定番であるが、選手たち個々のメディア露出も、非常に大きな影響を与えたに違いない。ほかにも、陽の目を見ない地道な活動もきっとたくさんあったと思うが、そういったひとつひとつが、このように多くのファンや、この「G1」からファンになっていった人が生まれたのだろう。改めて、ここ近年の盛り上がりを見ると、本当に長い地道な活動が実ったんだなぁーという感じがしてならない(あくまで空席が目立っていた時代を知る側から見た個人的、親的な感想です!)。

G1クライマックスでの様々な戦いは毎回見ごたえあるが、そこから派生するストーリーが、次のシリーズで活かされるということも実に巧いやり方である。「G1」をフックに、次の展開につなげることが、やはりさらにその先、来年の「イッテンヨン(毎年1月4日に行われる東京ドーム大会)」までつながっていくのである。G1クライマックスを超えるシリーズ作りが新日本プロレスの課題でもあるが、さらに「G1」を良くするための改良も忘れてはならない。他団体にしてみたら、G1クライマックス並のリーグ戦を作りたいと思うが、「G1」に出場するにはどうしたらいいか、純粋に考えてみてもいいと思う。そして、出した答えを、まず自分の団体に置き換える必要がある。そこで生じる違和感は何か。新日本プロレスにあって、自分の団体に無いものはなんだ。そこから掴むヒントが、実はゴロゴロ転がっているような気もする。・・・って、誰に向かって発信してるんだこのエッセイは(笑)。

 

G1の「G」は、後藤のG!! 

 

(加藤 学)

 

関連資料:

XビジネスショートレポートVol.3 プロレス市場
https://www.yano.co.jp/market_reports/R60201101

2018 クールジャパンマーケット/オタク市場の徹底研究
https://www.yano.co.jp/market_reports/C60109800

 

関連リンク:

新日本プロレス
https://www.njpw.co.jp/

全日本プロレス
http://www.all-japan.co.jp/

プロレスリング・ノア
https://www.noah.co.jp/

アイスリボン
http://iceribbon.com/

スターダム
https://wwr-stardom.com/

WAVE
https://pro-w-wave.com/

サムライTV
https://www.samurai-tv.com/