「単純反復で丸暗記してしまう」オタク!

 私の夜の習慣、それは、本(主に漫画)を読むか、ゲームをすること。 大抵、漫画やゲームが好きな人は、新作や話題作があればそちらの作品にもそこそこ触れつつ、自分の好きな作品については、くり返し深く楽しむ・・・ということをしているのでは?
 私は、その点、偏っている。漫画は、年間3作品程度しか読まない。3作品を、毎日、寝る前に少しずつ読む。
 例えば、「鬼滅の刃」なら、1~23巻の一部を、15~20分、毎日、毎日、毎日・・・・・読む。そうしていると、1か月経過する頃には、少なくとも4ローテーション(=1~23巻の読破 X 4回)する。それを半年、1年くり返してゆくうちに、いつしか、50回読破してしまうのであった。
 さすがに50回も読んで飽きないのか?という質問もあろうが、50回も読むころには「歯磨き」と同じになる。「飽きる」を通り越して、習慣になるので、何の感想も抱かなくなる。(「歯磨き」に「飽きた」とか無いでしょ?)

 そうすると、意識して暗記している訳では無いが、各キャラクターのセリフ、背景が全部頭に入ってしまい、ふと、メシ食っている時とかに、どこかの「コマ(描写)」が頭に浮かび、例えば炭治郎が鬼化してヨダレ流しているところとか、思い浮かべて、その情景を噛みしめながら、モグモグしているのである。
 同じ日高屋のラーメンでも、記憶に染み付いた漫画の画面を思い浮かべながら食べると、若干味が変わることがある・・。不思議なものですな・・「鬼滅の刃」が1年を掛けて、自分の心象風景の一部となって溶け込み、自分と一体化し、味覚まで変わってしまうのであるから・・。
 一方、ゲームも毎日コツコツ、(たまにRPG等は一気にやることもあるが)、既に全クリ(最後までクリア)しているタイトルを、1日15~20分、何かの隙間時間にずっとやる。例えば、「メトロイド」(しかもスーパーファミコン時代のソフト)を、コツコツやる。毎日やっていると、まあ、1か月に2~3回程度、全クリしてしまう。(毎日、終わったところまでセーブ→次の日はその続き・・・・・→全クリ→そしたらまた最初から→毎日終わったところまでセーブ→ また全クリ・・のローテーション)
 ゲームの場合、漫画と違って、スキルがどんどん上がってゆくので、全クリを繰り返すうち、恐ろしくクリアするスピードが速くなる。3か月後には、全クリ回数が、1か月に4~5回程度にアップする。で、なんだかんだ、1年経過する頃には、全隠しアイテムを収集しつつ、色々な技(微妙な回転ジャンプとかあるんす)を出しながら、トータルで50回程全クリしてしまう。そうすると、「メトロイド」が「歯磨き」化してしまう。
 んで、会社で、仕事の合間にコーヒー飲んでいる時に、「メトロイド」の画面が視界に現れ、軽くクリアしている情景が浮かび、コーヒーの味に深みが出ることがある・・。不思議なものですな・・。「ゲーム画面」が自分と一体化し、味覚が変化するのであるから・・。

 自分に聞くのも変な話だが、私は、漫画、ゲームが好きなのであろうか?または、漫画、ゲームの「オタク」なのだろうか?答えは微妙だ。私は、読んでいない漫画、知らないゲームが多すぎる。「キングダム」とか読んだこと無いし、ゲームなら「ファイナルファンタジー」をよく知らない。それで「オタク」は勤まらないだろう。その一方で、作品の数は少ないものの「漫画」「ゲーム」が圧倒的に、私の精神世界のシェアの大半を占めているのも事実である。その点は「オタク」なんだろう。
 ハッと思ったのだが、これ、若い時に、何かの勉強とかで応用してたら、司法試験とかも軽く受かってたんじゃね?あんま応用力が試されない、知識偏重型の資格試験なんか、ピッタリですな~。もっと違うことに応用すれば良かったな・・。
 思えば、この私、大学受験生の頃は、別に、歴史好きでもなんでも無いのだが、やけに世界史だけは、飛びぬけて偏差値が高かったことを思い出した。学校の定期試験は全く点数取れないんですけど、なんか、枕元に、山川出版の「世界史用語集」というのを置いていて、意味も無く、用語を毎日、日課として読んでいたんですな。で、面白い名前の皇帝とか、変な事件の年号とか、少しずつ、意味も無く、15~20分、暗記というよりは、ただ読んで、全クリ(通読)すること何十回、そうすると、「世界史用語集」を、全部、覚えきっていて、全国模試みたいなもので、いつでもトップ10入り・・(世界史だけです)。

 これ、全教科でやれば、無敵だったかと思うけど、漫画も年間3冊しか読めないように、キャパが狭くて、横に広げられないんすね。当時、受験勉強も「世界史」のみに(結果としてですが)集中、あとは、漫画「北斗の拳」くり返し、ゲーム「ドラクエ」全クリのくり返しで生活時間が埋まってしまい、肝心の数学、英語等の受験勉強に余力を回せなかった。どの大学も「世界史」の配点低いし・・。「北斗の拳」と「ドラクエ」の「歯磨き」が、「数学」「英語」だったら、東大とか行けたかな??
 どうです?「オタク」の人は分かってもらえると思いますが、このように、人生とか社会的な意味とか全く関係なく、なんか、どうでもいい知識とかを、膨大な時間をかけてただ、ただ全力で吸収して丸暗記、その吸収自体が目的化、ひいては歯磨きのように自動化されてゆく・・。これが、「オタク」の一面なんす。(私の個人的意見ですけどね)

松島 勝人

関連資料:

2021 クールジャパンマーケット/オタク市場の徹底研究
https://www.yano.co.jp/market_reports/C63111100

関連リンク:

「鬼滅の刃」公式サイト │ 集英社
https://kimetsu.com/comics/

メトロイド ドレッド | Nintendo Switch | 任天堂
https://www.nintendo.co.jp/switch/ayl8a/

ファイナルファンタジーポータルサイト | SQUARE ENIX
https://jp.finalfantasy.com/

世界史用語集 山川出版社
https://www.yamakawa.co.jp/product/03304