11月23日にTRC東京流通センターで開催されたスモールスケールの立体創作物即売会「AK-GARDEN【20】」へ初潜入。小さな模型や小さな人形好きが集まるお祭りの熱気を体感してきた。

 「AK-GARDEN(エーケーガーデン)」は、可動キット、ガレージキット、ミニドール、ミニチュアなどを中心とした立体創作物の即売会イベントで、2010年11月の初開催以降、今回で20回目を迎えた。
 展示、販売されている造形物は、1/12スケール前後のミニチュア、1/12前後の可動フィギュア、ドールハウス関連商品、人形等の洋服、ジオラマ関連商品、ペーパークラフト、服飾小物、オプションパーツなどで、「可動」「小サイズ」「領域横断」「創作系」の4つのテーマが軸となっている。

 イベントを運営するAK-GARDEN準備会は、開催目的として「業界や活動範囲が異なるディーラーや企業が一堂に会することで、それぞれの属するコミュニティの垣根を超え、小さいサイズの物が好きな人たちの領域横断的な新しい場を提供すること」、さらに「創作系フィギュアや創作ドール、立体表現物などの自己表現としてのスリーディメンショナルな物に挑むクリエーターを応援する」と発表している。

 

 当日は、TRC東京流通センターの2フロアに、ホビーメーカーや販売店、ミニチュア工房、個人サークルなど200以上の展示・販売ブースのほか、製作体験などができるワークショップエリアやイベントスペースなどが設置されており、老若男女多くの模型・ドールファンが来場していた。開場後1時間経った13時ごろに訪れたが、入口には入場を待つ50人近い行列が出来ていた。

 足元のフィギュア、ドール市場はどのような状況であろうか。
 矢野経済研究所のXビジネスチームが9月に発刊したマーケットレポート「クールジャパンマーケット/オタク市場の徹底研究2021」にてリリースした2020年度の国内フィギュア市場は、前期比4.8%増の327億円(メーカー出荷ベース)と推計した。
 2020年度は、コロナによる外出自粛で自宅での時間が増え、既存ユーザーのネット通販の機会が増加したことに加え、「鬼滅の刃」などの人気タイトルの効果や外出できないストレスを緩和するアイテムとしての需要が拡大したことが背景にある。
 一方、2020年度の国内ドール市場は、同12.1%減の102億円(メーカー出荷ベース)と推計。2020年度は、コロナの影響で「ドールショウ」などの即売会イベントの中止や店舗の休業により、ユーザー同士の重要なコミュニケーションの場や交流の場が失われ、新製品の販売に大きな影響を受けた。

 AK-GARDENで展示・販売されているフィギュアやドールはスモールサイズが中心であるため、手に取って楽しむだけでなく、手軽に目の届きやすい場所に置けたり、持ち運んで愛用している人も多い。コロナで人と人との距離が離れている時期が続いていることからも、作品やコンテンツの人気としてだけでなく、心の拠りどころとしての需要も高まっているのではないだろうか。

 

 キャラクターフィギュアやドールだけでなく、精巧なミニチュア造形物も目を引いた。ドールハウスのいちアイテムとしてだけでなく、主役アイテムとして創作できないものはないのではないかというほど多様な作品が表現されていた。小さいながらも動かせて遊べたり、見えないところにこだわりが詰まっているなど、奥深い世界観に溢れていた。
 近年はSNSとの相性も良いことから人気が再燃しているようである。カプセルトイの製作に注力している模型メーカーも増えており、2020年6月にオープンした世界最大の屋内型ミニチュア・テーマパーク「SMALL WORLDS TOKYO」が大きな話題を呼ぶなど、新たなミニチュアブームの再燃を期待する声も少なくないようである。

 ドールをはじめとしたホビーメーカー「アゾンインターナショナル」のブースに併設されたイベントスペースでは、同社が展開する1/12アクションドールとフィギュアのハイブリットコンテンツ「アサルトリリィ」のメディアミックス作品のストーリーに登場する「ルドビコ女学院」を舞台化した「シュベスターの秘密」に出演している中村裕香里さんと梅原サエリさんとの交流会イベントが開催されていた。

 

 「アサルトリリィ」は、アクションフィギュアとドールの融合を目指し、武器と美少女、戦いの物語をテーマに、本編シリーズのほか各種ノベルシリーズや私立ルドビコ女学院での舞台化など、「アクションドール」「アニメ」「舞台」「アプリゲーム」といった各メディアにて広大な世界観を描き展開している。同イベントでも、多くのブースで「アサルトリリィ」に登場するキャラクターのアクションフィギュアやドールが展示・販売されていた。
 「武器×美少女」は、フィギュアやドールだけでなく、プラモデルやトイガンの市場などでも人気の組み合わせとなっており、ここ数年模型業界を牽引している。美少女アクションゲームの人気も継続しているほか、海外での人気も高まっていることから、今後も底堅い需要が続きそうである。

※上画像は(中心)アゾンインターナショナル早園代表、(右)「福山・ジャンヌ・幸恵」役の中村裕香里さん、(左)「黒木・フランシスカ・百合亜」役の梅原サエリさん

 次回のAK-GARDEN【21】は、2022年6月に都立産業貿易センター浜松町館で開催する予定とのこと。
 X ビジネスでは、引き続きフィギュア、ドール市場の動向をウォッチしていきます。

片岡 一豊

関連資料:

2021 クールジャパンマーケット/オタク市場の徹底研究
https://www.yano.co.jp/market_reports/C63111100

プラモデル(キャラクターモデル)市場の動向2021
https://www.yano.co.jp/market_reports/R63200901

関連リンク:

AK-GARDEN(公式)
https://ak-garden.com/

アゾンインターナショナル
https://www.azone-int.co.jp/

アサルトリリィ
https://assaultlily-pj.com/

私立ルドビコ女学院
http://for.fool.jp/ludojyo/wp/

中村裕香里さん(Twitter)
https://twitter.com/yukarin_bluesky

梅原サエリさん(Twitter)
https://twitter.com/Saeri_Umehara

ミニ厨房庵
https://minityuan.ocnk.net/

SMALL WORLDS TOKYO
https://www.smallworlds.jp/

矢野経済研究所「クールジャパン/オタク市場の徹底研究2021」プレスリリース
https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/2836

矢野経済研究所「プラモデル(キャラクターモデル)市場の動向2021」プレスリリース
https://www.yano.co.jp/market_reports/R63200901