来たる5月31日には後楽園ホールで「ジャンボ鶴田23回忌追善興行」が行われる。

 鶴田さんにゆかりのあるレスラーが参列したり、かつて所属した全日本プロレス、そして関わりが深い新日本プロレスから主力選手が集まって試合をする。すでに当日の対戦カードが発表されているが、なかなかのメンツが揃った。プロレスファンであれば「お!」と思うカードがあるに違いない。もちろん私はチケットを購入している。

 そんなわけで今回は、タイトルにあるように「プロレス団体の垣根が崩れる」かもしれない。「かもしれない」という含みを持たせているのには訳がある。この鶴田さん興行だけでなく、すでに今年は数回も団体同士が絡む対戦が行われているのだ。

新日本プロレスVSノア

 まず、1月8日に「新日本プロレスVSノア」の対抗戦が行われた。全試合、新日本VSノアという図式になったのは凄いが、結果だけ見てしまうと新日本プロレスが優勢、という感じであった。これは仕方ない部分もある。特にメインイベントはオカダが清宮を圧倒、というような“見せ方”をしてしまった感があった。実際、確かに実力は新日本側に分があるという感じだったが、“見せ方”さえ変えれば、もう少しノア寄りの展開になってもよかったのではと思う所もあった。まぁこう言うことを書くと、これを読んでいる新日本プロレスファンは「はぁ?何言ってんだ、ノアなんか目じゃねーぜ!」と思うかもしれない。

新日本プロレスVS全日本プロレス

 そして4月16日には、後楽園ホール60周年を記念して開催された「還暦祭」というイベントで、やはり新日本プロレスと全日本プロレスの選手が入り乱れたカードが組まれた。ノアほどのガチガチな対抗戦ではなかったが、なかなかしっくりくるカード編成だったと思う。もちろん、このイベントも私は“参戦”してきた。勝敗は、団体のファン目線で感情が異なるため何ともいえないが、全日本プロレスファンの私個人の意見としては「勝敗よりも新日本プロレスの主力選手と相交えたことの方が(全日本プロレスレスラーにとっては)大きい」という印象であった。それだけ、新日本と全日本に大きな差が生じているのだが、決して全日本は新日本に「プロレス」としての技量やスタミナなどの差は負けていない。しかし、結局、一番は認知度(人気)の差であると、このイベントでも痛感した。その“差”をいまは語る必要ないが、つまりは「新日本プロレス(ファンも含む)に対して爪痕残せただけでも収穫」と思っている。1月のノアの時のような「点」で終わらないように、「線」になってつながっていってほしいと願うところだ。

新日本プロレスVS全日本プロレスVS・・・

 そして冒頭に書いた「ジャンボ鶴田23回忌追善興行」である。ここでも新日本プロレス、全日本プロレスの主力選手がこぞって出場するが、さらに他団体の主力選手(知名度の高い選手)も数名出場する。ある意味、紅白歌合戦的な感じである(年末のような特別感のあるイメージ)。全日本プロレスファンの私にとってはエコヒイキして応援してしまいがちだが、やはり継続的に他団体、それも最大手の新日本プロレスと絡める場を作っていかないといけない。新日本プロレスは海外の人気プロレス団体とも交流するなど、その活躍の場はワールドワイドになってきている。新日本プロレスとその他団体という図式を、どうにかして覆させるためにも、このような交流戦は途切れないようにしていくべきである。これによってプロレスファンのすそ野を広げ、新規ファン獲得、レスラー個々の認知拡大とつながっていくはずだ。

プロレス業界を盛り上げる一番手っ取り早い方法は交流戦

 今年前半は上記のような大きいイベントによって団体同士の垣根を超えた戦いが例年になく多く見られることとなった。プロレスファンには嬉しい出来事だったに違いない。しかし、プロレスファン以外には何も響いていないのが実情である。ただ、今のプロレスファンを満足させないと、世間にすら広がらないことも承知だろう。業界を盛り上げたい思いはどの団体も一緒だ。ならば、交流戦(対抗戦ではない)を継続的にすべき。そのためには何かしらの「集まる理由のあるイベント」を定期的に作っていく必要がある。

 ただ、こればかりやってしまうと新鮮味もなくなってしまうという側面もある。そのバランスが実は難しい。対抗戦もカード編成に頭を悩ます。各団体のスケジュールも重要だ。その様々な障壁をどうにかしてクリアし、我々プロレスファンに夢を運んでいってほしいと願うこの頃である。

(グレート・ガミ)

関連資料:

2021 クールジャパンマーケット/オタク市場の徹底研究
https://www.yano.co.jp/market_reports/C63111100

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