韓国発の縦読みデジタルコミック「ウェブトゥーン」について取材でも話題になることが出てきました。今回はこれからさらに拡大すると思われるウェブトゥーンの動向について解説していきます。

ウェブトゥーンとは?
 韓国発のデジタルコミック、ウェブコミックの一種で、スマホに適した縦スクロールマンガ。紙の単行本にすることを前提とした旧来のマンガと異なり、左の画像のようにスマホやPCなどで閲覧することを前提としたレイアウトになっています。
(右図表参照)

 本場韓国では「梨泰院クラス」「わかっていても」「キム秘書はいったい、なぜ?」などウェブトゥーン作品がドラマ化されており、日本を含む世界各国で人気となりました。
また、これらの日本語翻訳は人気マンガ配信プラットフォームの「LINEマンガ」「comico」「ピッコマ」などで配信されて人気を集めるほか、欧米などでも人気が広がっています。

 調査会社のQYResearchによると、世界のウェブトゥーン市場規模は2021年36億7347万ドル(約4400億円)に対し、2028年には262億1359万ドル(約3兆1500億円)に達し、2022年から2028年の間に30.99%のCAGR(年平均成長率)で伸長すると予想されています。(『Global Webtoons Market Size, Status and Forecast 2022-2028』より)。
 このような韓国産ウェブトゥーン人気を受け、国内でも「ソラジマ」や「LOCKER ROOM」「KADOKAWAタテスクコミック」などがWEBTOON国産化を行っています。

考察
 ここからは仮説なのですが、ウェブトゥーン市場急拡大は、日本よりも海外で、今まではあまりマンガを読んでこなかった超ライト層を取り込んだことによるのではないかと考えています。というのも、マンガ文化に親しんでいない非日本在住者にとって、日本マンガのコマ割りやモノクロマンガがとっつきにくさになっていたと言われており、縦スクロールのコマ割りや、印刷を前提としないことによる全コマフルカラーがハードルを下げたことが普及の要因であるという説があるようなのです。

 日本独自の「オタク」文化も熱狂的なファンがおり、洗練されているという利点はあります。しかし、分母としてより大きいライト層をいかに獲得できるかという視点も持続可能なカルチャーの発展に必要なのかもしれません。

ライター:土井輝美

関連資料:

2021 クールジャパンマーケット/オタク市場の徹底研究
https://www.yano.co.jp/market_reports/C63111100

関連リンク:

Global Webtoons Market Size, Status and Forecast 2022-2028
https://www.marketresearch.com/QYResearch-Group-v3531/Global-Webtoons-Size-Status-Forecast-31504590/

ベテランマンガ編集者が、ウェブトゥーンに(縦読みマンガ)の世界に飛び込んだワケ 武者正昭×江上英樹
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/95174

2028年には3兆円市場の予測も──韓国発「ウェブトゥーン」はなぜ世界を席巻しているのか
https://signal.diamond.jp/articles/-/1119