生涯未婚率という用語がある。これは、一生独身の人の率、と誤解されることが多いが、正確には「50歳までに一度も結婚したことのない人の率」と定義されている。内閣府「男女共同参画白書」によれば、2022年10月時点で、生涯未婚率は、男性の28.3%、女性の17.8%となっている。男性は4人に1人以上、女性は5人に1人弱が、ずっと「おひとりさま」の状況ということになる。ちなみに、20年ちょっと前の2000年の生涯未婚率は男性9.0%、女性5.8%に留まっており、僅かの期間に、急速に未婚化が進んだことが分かる。
ここで矢野経済研究所が注目しているのが、未婚率の男女差だ。男性の方が未婚率が高いのだが、その格差は、2022年においては、男28.3%÷女17.8%=約1.6倍となっている。結婚は、現行の制度では基本、男女が1対1で行うので、これは、言い換えれば、男性はそもそも、女性よりも単純に言えば再婚している人が1.6倍多い、ということでもある。(男性の方が人口が多い分、あぶれる人が多いとも言えるが、男性人口は女性の1.7%程度だけ多いだけであり、60%も違っていない!)
戸籍法上は一夫一婦制であっても、事実上、日本においては、1夫1.6妻制(再婚等して1人の夫が1.6人の妻を娶っている)となっているのである。猿の世界で、ボス猿が複数のメス猿を娶ってハーレムを構築する、というレベルではないにせよ、競争を勝ち抜いた(≒ある程度稼ぎがある)男性が、再婚する等して、事実上、1.6倍、女性よりも結婚回数が多い状況になっているのである。
矢野経済研究所の予測では、2030年までに、生涯未婚率は、男性は約34%、女性は約21%にまで上昇するものとみられている。生涯未婚率の男女差は、縮まることはないと見られており、1回でも結婚できた男性は、再婚する確率が多くなる一方、全く結婚できずに、生涯未婚に留まる男性の比率が高まる構図となってゆく。
お見合い制度等が完全に無くなった昨今では、強いオスが複数のメスを複数支配する、という、動物本来の世界が顕在化している、とも言える。
あまりこれまで、生涯未婚率の男女格差は社会的に注目されてこなかったが、政府がもっと結婚数を増やして少子化対策をするのであれば、この男女格差を是認して、強い男性にもっともっと、妻を娶らせ子を産ませるハーレム型社会を推進するか、弱い男性に対して政府が補助金を出す等して(例:初婚の男性と結婚する女性に、膨大な手当てを出す)、生涯未婚率の男女格差を是正するしかないのではないか。
関連資料:
2024 クールジャパンマーケット/オタク市場の徹底研究 ~消費者調査編~
https://www.yano.co.jp/market_reports/C66108200
関連リンク:
スナックヤノケイ で詳しい話が聞けます!
https://www.yano.co.jp/xbusiness/sunatama/