今までにない技術を使った、アイウェア。用途は、以前にあったGoogle Glassと類似しているが、視覚支援とAR(拡張現実)を目的としているという。簡単にいえばそうなる。だがその実態は「今までにない」と簡単に流せないほどの革新的な(というかよく思いついたものだと。。)技術が用いられているのである。Xビジネスでは、この謎の製品を解明してみることにした。

 

  1. 網膜にレーザーを投影!?
  2. 「VISIRIUM(ビジリウム)」という技術
  3. その企業、QDレーザ
  4. ビジリウム、「ザ・ビジョナリー」に出てます

 

1.網膜にレーザーを投影!? 

そんなことしたら目がつぶれる!!

と思うのが普通だろう。目にレーザー光線なんか当てたら網膜が焼けて目がつぶれるに決まってる。どこかのマナーの悪い国のサポーターが、グラウンドの選手に向かってレーザーを照射して大問題になったではないか。オフィスや学校にあるレーザーポインターだって、「ひとの顔に向けてはいけない」が取り扱い上の当然の注意である。
ところがこの製品は、そのレーザーを目に直接照射して映像を見るという「アイウェア」、つまり眼鏡として世に送り出されているのである。その名も、網膜走査型レーザアイウェア「RETISSA® Display」。この恐ろしいまでに革新的なテクノロジーの「眼鏡」は、簡単にいうとAR(拡張現実)体験が可能な、ディスプレイとして使用される眼鏡である。だがその大きな特徴は、本項目の冒頭に3倍角で叫んだように、目の奥にある網膜に直接映像を照射する、もっといえば網膜にレーザーを照射して画像を見るという製品なのである。通常は眼鏡であるとしても、目の前に超小型ディスプレイやスクリーン等を置いて、そこに投影された画像を肉眼で見る。だが開発陣が考えたのは、もっと極短距離での結像、つまり網膜に直接画像の光線を照射するという方法だった。きっと追い詰められ疲れていたのだろう。

 

画像は「QDレーザ」サイトより引用

 

この製品を世に送り出しているのは、神奈川県にある株式会社QDレーザである。

 

2.「VISIRIUM(ビジリウム)」という技術

網膜に直接映像をレーザー照射する。このような「仕様」を実現するには、素人考えにも「なにより安全性はどうなのか、そして網膜をディスプレイとして結像できるのか」という疑問が起きる。
安全性に関しては、レーザー光の出力は蛍光灯の光よりも微弱であるという。厳密にいうと、本技術に使用しているレーザーの出力は、レーザーの安全に関する国際/国内規格(IEC60825-1/JIS C 6802)もしくは米国FDA(食品医薬品局)の基準 (21CFR1040.10)において、クラス1相当に分類される。(クラス1のレーザーは目に入れても害がない強さと定義されている)
そして、眼球内部の角膜や、レンズの役目となる水晶体の状態に左右されずに、投影光を網膜に直接届けることができる。言い換えると、視力やピント位置にほぼ関係なく、鮮明な画像が結像され、それを認識できるのである。
同社では、三原色レーザー光源からの微弱な光と、高速振動する微小な鏡を組み合わせて、網膜上に映像を描き出すレーザー網膜走査技術「VISIRIUM®テクノロジー」を開発し、網膜走査型レーザアイウェア「RETISSA® Display」として製品化したのである。

 

画像は「QDレーザ」サイトより引用

 

技術的・生体科学的なことをつらつらと書いたが、これはつまり、弱視者でも、ものをはっきりと見ることができる可能性がある、ということである。単に視力が弱いというひとだけでなく、角膜や水晶体の病気であったり、老化により各種の視覚機能が低下したひとに対しても、この技術によって鮮明な視力を取り戻せるという可能性があるのだ。
上記、「可能性がある」と、多少もってまわった言い方をしたが、それには理由がある。じつは本製品は医療機器ではないのである。それはQDレーザ側も意識しており、「本製品は医療機器ではありません。視覚障害の方の利用を意図するものではありません。」とプレスリリースにも明記している。医療機器ではないので、購入と使用はあくまで自己責任となる。

ちなみにこの「RETISSA® Display」、個人向け価格は64万5,840円(税込)、出荷時期は2018年の秋となっている。個人を対象とした販売は、アスキーストア(http://ascii-store.jp/newly/p/4589893930169/)で予定されている。

 

3.その企業、QDレーザ

株式会社QDレーザは、富士通と、三井物産傘下の Mitsui & Co. Global Investment, Inc.出資により、2006 年 4 月に富士通からのスピンオフベンチャーとして設立されている。富士通研究所と東京大学との 10 年以上にわたる産学連携による共同開発を基に、可視光領域から波長 1300nm 帯までの量子ドットレーザーをはじめとする半導体レーザーの開発・製造・販売を行っている企業なのである。

 

画像は「QDレーザ」サイトより引用

 

また同社では、「レーザ網膜走査技術」を軸に業界を横断した協働活動による様々な応用製品の検討を行い、新たな「市場の創出」と「ビジネス化」を行うためのコンソーシアム「MERIT」主催している。コンソーシアム参加企業全体の交流ならびにQDレーザからの各種情報提供を行う総会と、具体的なビジネスをテーマとした分科会を開催し、一社では到達できないビジネスを立ち上げていくことを目的としている。

 

4.ビジリウム、「ザ・ビジョナリー」に出てます

この革新的な技術「VISIRIUM(ビジリウム)」について、放送回も重ねてお馴染みとなったテレビ番組「ザ・ビジョナリー ~異才の花押~」で紹介している。放送予定日は7月31日火曜日、東京MXTVで19:58~20:27の時間帯である。番組中の「Xビジネスコーナー」で、Xビジネス的な視点から考察・紹介しているので、ぜひ本稿と合わせて視聴してもらいたい。

 

ザ・ビジョナリー~異才の花押~
http://the-visionary-project.com/ 


関連サイト:

2017年版 量子技術市場の現状と展望
https://www.yano.co.jp/market_reports/C59120800

2017年版 コンタクトレンズに関する市場動向調査
https://www.yano.co.jp/market_reports/C59111700