カーボンはまだわかる。炭素であるところの素材をビジネスでなんとかしていくのだろう。それをニュートラルに取り扱うとは、いったいどういうことなのであろうか。身近なカーボン素材の製品といえば、素材である炭素よりも、コピーの一種であるカーボン紙が思い浮かぶのだが、関係があるのだろうか。

1.    そもそもカーボンって何?
2.    カーボンがニュートラルって、こういうこと?
3.    その名前、「カーボンニュートラルビジネス研究所」(次稿)
4.    「カーボンニュートラルビジネス研究所」が「Xビジネスフェス2020 in 池袋」に降臨!(次稿)

 

1.そもそもカーボンって何? 

カーボン。バカボンではない。言われて想像できるのは「黒いアレ」であろう。元素としては、炭素。カーボン紙の上から文字を書くと、下の紙にその文字が転写される。電子メールのナイショ同報機能のBCC:は「バックカーボンコピー」の略である。釣りをする人ならカーボンロッドが身近であろう。カーボンロッドは素材の特性上、伝導率がとてもよい。落雷の際に使用しているとラオウのような最期を迎える可能性がある。

カーボンはさまざまな部品や製品に用いられるが、カーボンそのままではなく、カーボンファイバー(炭素繊維)やCFRP(炭素繊維強化プラスチック)などの素材として利用されるのが一般的である。
カーボンファイバーは、アクリルの繊維を約1,000℃もの高温を加えて焼き上げ、炭化させた繊維である。よくボロボロにならないものだと。。この繊維をから作られる生地がカーボンクロスである。そのカーボンクロスにさらに樹脂を染み込ませて硬化させた素材がCFRPと呼ばれる。こうまでして焼いたり固めたりするには理由がある。カーボン繊維で作られた強化プラスチックは、鉄と比較した場合、まず重さが四分の一程度になる。さらに、引っ張られる力に対する強度が鉄の約10倍(の象が踏んでも壊れない素材)になるのである。
 

 

2.カーボンがニュートラルって、こういうこと?


ニュートラル。言葉の意味をそのまま追えば「中間的な様子」「どちらにも偏らないさま」「中立的なこと」となる。これがクルマなら、シフトチェンジをする前のギアの入っていない状態であり、電気なら中性の、電荷を帯びていない状態である。化学分野では、酸性でもなくアルカリ性でもない中性の状態を指す。

・・・下手な考え休むに似たり。

カーボンは素材であるから、上記のなかでは電荷云々がなんとなく近い気もする。だがそもそも本稿のテーマは「カーボンニュートラルビジネス」である。中立的なスタンスで利用されるということであろうか。とすれば思想や方針なのであろうか。おとなしく種々の資料をあたると、環境省の資料に行き着く結果となった。曰く、

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(カーボン・ニュートラルとは)
カーボン・ニュートラルとは、社会の構成員が、自らの責任と定めることが一般に合理的と認められる範囲の温室効果ガスの排出量を認識し、主体的にこれを削減する努力を行うとともに、削減が困難な部分の排出量について、クレジットを購入すること又は他の場所で排出削減・吸収を実現するプロジェクトや活動を実施すること等により、その排出量の全部を埋め合わせた状態をいう。 

引用元:
環境省HP 地球環境・国際環境協力 カーボン・オフセット
https://www.env.go.jp/earth/ondanka/mechanism/carbon_offset.html
我が国におけるカーボン・オフセットのあり方について(指針)第2版2014年3月31日 環境省
https://www.env.go.jp/earth/ondanka/mechanism/carbon_offset/guideline/140331guideline.pdf

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となっている。カーボンニュートラルとは、どうやら環境問題のことのようである。その環境問題がビジネスとして展開される「カーボンニュートラルビジネス」とは、いったいどういうものなのであろうか。次稿ではその正体に迫ってみる。

(依藤 慎司)


関連リンク:

「カーボンニュートラルビジネス研究所」を設立、メンバーを募集開始!
https://www.yano.co.jp/market_reports/industryNews.php?id=99