前稿では、「カーボンニュートラルとは、どうやら環境問題のことのようである」と書いた。そして、その環境問題がビジネスとして展開される「カーボンニュートラルビジネス」について追ってみることが本稿の目的である。あとちょっと宣伝もある。

1.    そもそもカーボンって何?(前稿)
2.    カーボンがニュートラルって、こういうこと?(前稿)
3.    その名前、「カーボンニュートラルビジネス研究所」(本稿)
4.    「カーボンニュートラルビジネス研究所」が「Xビジネスフェス2020 in 池袋」に降臨!(本稿)

3.その名前、カーボンニュートラルビジネス研究所

カーボンニュートラルは、素材としてのカーボンの特性ではなく、カーボンを取り扱う際の周囲環境的な、環境問題である、らしい。
種々いろいろ調べたところ、カーボンニュートラルとは、排出されるCO2(二酸化炭素)量と、植物などが吸収するCO2量がイコールである状態のことを指している。ニュートラル=(環境域に)プラスマイナスゼロ、ということらしい。
化石燃料を消費するとCO2排出量は増えるが、植物由来の原料を用いれば、排出されるCO2は植物の光合成で再び取り込まれることから、CO2の総量は増加することはない。そのために、植物材料を利用しようとする試みが世界各国で行われているのである。

・・・これか。

しかし環境問題は、どこかで何らかの(経済的な)負担をしなければならないのが常である。もっと言えば環境問題はカネが掛かる。それをどうやってビジネス=利益追求としていくのか。


実際の事例をいくつか追ってみることとする。フォーラトム(ヨーロッパ原子力産業会議)は2019年の6月、経済成長や雇用を維持しながら、ヨーロッパが2050年までに脱炭素化を達成するには、新たに約1億kWの原子力発電設備設置への投資が必要であるなどの、ヨーロッパの原子力産業界の共同マニフェストを公表した。原発の是非はさておき、投資となれば、当然ビジネスの対象となる。

フォーミュラワン(F1、F1世界選手権)は2019年11月に、温室効果ガスの排出量を実質ゼロとする「カーボンニュートラル」を2030年までに達成することを目指す計画を発表した。温室効果ガス排出量をゼロにするという目標は、サーキットを走るF1カーだけを対象としたものではなく、チームスタッフの陸路や空路での移動や、機材の輸送などのレース巡業全体を対象としている。F1レースもモータースポーツ・ビジネスである以上、これもビジネスの対象となる。

また、身近なところでは、いわゆるリサイクルがそうである。言い換えると「再生可能エネルギー」であり、ペットボトルのリサイクルや、家庭から排出された生ごみを分別して畑の土壌改良材や肥料成分として利用することは、環境ビジネスとして知られているところである。

ほかにも、現代の企業は気候や環境の変動への適切な対応が求められている。低/脱炭素化の大きなうねりの中にはいくつものビジネスチャンスが潜んでいるが、それに気づいて取り組みをスタートさせている企業はまだ多くはない。カーボンニュートラルをビジネスチャンスとして捉え、事業化を検討する領域を見出すための知恵がいま必要とされているのである。
 

2.「カーボンニュートラルビジネス研究所」が「Xビジネスフェス2020in 池袋」に降臨!

改元の翌年、令和二年であるところの2020年4月に行われるイベント「Xビジネスフェス2020 in 池袋」に、「カーボンニュートラルビジネス研究所」がやって来る。同フェスにおいて、イノベーションイベントとして「CO2削減に関するビジネスピッチ」を行うのだ。
同研究所の担当者は「カーボンニュートラルビジネス研究所は、脱炭素へ向けた社会・産業構造の転換を先取りし、これをビジネス機会として新たな事業・サービス、価値を生み出すための集会所のような場です。カーボンニュートラルビジネスに関心のある方はどなたでも自由に参加可能です」と語る。

取り扱うテーマが環境問題である。通常のシンポジウムやイベントであれば、幾分堅苦しい内容となっていくであろうが、なにしろ舞台はオープンイノベーションを謳う「Xビジネス」フェスである。「面白い」「熱がすごい」「技術が尖りすぎている」「魅力がありすぎる」、そういう「時にはあまりに尖りすぎて、時にはあまりにニッチ過ぎて、時にはあまりに社会からの認知が低すぎて」そのパワーを産業界で充分に発揮できないケースなどの登場を大いに期待したい。

(依藤 慎司)


関連リンク:

「カーボンニュートラルビジネス研究所」を設立、メンバーを募集開始!
https://www.yano.co.jp/market_reports/industryNews.php?id=99

Xビジネスフェス2020 in 池袋
https://www.yano.co.jp/xbusiness/fes/