水先案内人といえばカモメだったか。何のテレビで見たのだろう。水先案内人というその言葉だけで海のロマンを感じてしまう。
名前の通り、水路・海路の案内人である。その生鵜を聞いたことはあっても、職業として具体的にどういうことをしているのかを知っている人は少ないであろう。「学校で習わない職業一覧」に出てきそうなこの水先案内人、実はかなりのプロフェッショナル集団なのである。

1.そもそも水先案内人って、なに?
2.日本水先人連合会のビジネスモデル
3.日本水先人連合会、ココがX(エックス)!

1.そもそも水先案内人って、なに?

読んで字のごとしではあるが、船舶が多数行き交う港や海などで、その船舶に乗り込み、安全に航行・入港・着岸などをする補佐役(つまり船長ではない)が、水先案内人である。安全や人名に直結する仕事でもあり、国家資格が必要な職業なのである。

下の画像にもあるように、水先案内人は「パイロット」と呼称される。パイロットというと航空機の操縦者を思い浮かべるが、歴史はこっち(水先案内人)が先である。なにしろ航空機が発明される前、コロンブスが大海を航海していた大航海時代からある職業名なのだ。

2.日本水先人連合会のビジネスモデル

前項の水先案内人(パイロット)たちをとりまとめている団体が存在する。それが「日本水先人連合会」である。何やら物々しい響きの名前だが、決して海の暴走族や海賊などではない。むしろ逆で、水先人の人材確保や政治の整備を行っている法人団体なのである。

ビジネスモデルと銘打ったが、利益追求団体ではない。そもそ水先人の団体は明治時代に施行された「水先法」によって設立された水先人組合に端を発している。以来、各組合はそれぞれ業務を行うなかで全国的な連携の必要を感じ(海上の戦いでもあったのだろうか)、昭和初期に各水先区の代表が全国組織の具体化について協議し、結果、昭和5年に任意団体の「日本水先人協会(任意)」が結成されたという経緯がある。

(任意団体:仲間等が集まって作られた団体であり、法人格ではない。預金保険制度の預金者の扱いなど法人及び権利能力なき社団・財団以外の団体を「任意団体」という場合もある)

日本水先人連合会は、全国に35ある「水先会」を束ねている。業務としては、
・業務体制の整備、改善、合理化に関する検討
・水先人の研修等

を行っている。

3.日本水先人連合会、ココがX(エックス)!

水先人は、ただ航路の支持をすればいいという仕事ではない。操船技術はもちろんのこと、語学力、各地域の水域事情に精通しているプロフェッショナルである。
国家資格である水先人は、1~3級の区分のなか、扱える船舶の大きさや職務範囲が設定されている。ちなみに破格があるからといって、全国の水域で仕事ができるわけではなく、地域(各水域)ごとに免許が交付される、地域限定の職務でもある。
安全と人名に直結する業務であり、業界では人手不足の資格となっている。

そんななかでXビジネス認定したい要素としては、「高度技術者である水先人(=秀でたX)」であるが、地域限定の地場密着「ビジネス」でもあるという点だ。まさに鋭利に突き抜けているという点で、Xビジネスとして注目している職務なのである。

(依藤 慎司)


関連リンク:

Xビジネスインサイト:日本水先人連合 「パイロットと呼ばれる職業人集団」
日本水先人連合会
ヤノ・レポート2020年7月10日号(【特別連載】物流市場実態シリーズ PART6 一般港湾運送及び海運市場の実態 (55~67ページ)~世界規模のSCMを担う港湾・海運市場 世界経済や政情の影響を受けながらも堅調に拡大~)