本稿は、前稿「 年齢層がくて情報収集と拡散をしない? -鉄道模型市場-(1) 」の続編である。未読の方はまずそちらをご参照願いたい。
反応は二通りに分かれることと思う。ひとつは「ふーん」、もうひとつは「 なんだとぉ!? 」であろう。鉄道模型 オタ のコラムで「年齢層が 高くて 情報収集と拡散を しない 」と言われれば、当然面白くないであろう。しかも前稿のどこを読んでも、それらについての記述がない。
そう思った皆さん、お待たせ致しました。続編となる本稿では、前稿と本稿のタイトルである、鉄道模型ファンは「 年齢層が高くて情報収集と拡散をしない? 」について斬り込んでいく。

  1. 道模型もいろいろあるけれど、やっぱり主力はこれ(前稿)
  2. 四季島」に続け、これが鉄道模型の市場規模と構造(前稿)
  3. 鉄道模型のブランド -金額には出てこないブランドのポジショニングマプ-
  4. その資料、「Xビジネスショートレポート」

3. 鉄道模型のブランド -金額には出てこないブランドのポジショニングマップ-

ポジショニングとは、ターゲットとなるユーザーの(イメージの)なかに、商品や企業、サービスやブランドなどについての存在を築き、差別化されたイメージを植えつけることである。差別化された自社製品の価値をユーザーに認識してもらうことで、競合製品に対して優位に立つことを目的にしている。
ある商品が、その市場において競合に対してどのような位置付けにあるのかを、2つの軸線上に置いて視覚化したものがポジショニングマップとなる。

と、まじめにマーケティング講義をしてしまったが、この評価軸を「価格」「品質」などではなく 「魅力度」「温度」 などとしたらどうなるか。概念的な言葉を軸とした場合、客観的な事実もであるが 「ユーザーがどう思っているか」 という 「ひとの気持ち」 が如実に表れてくるようになる。しかも 視覚として である。

≪鉄道模型ブランドの比較 by「Xビジネスエンジン」≫

鉄道模型ブランドを弊社の解析手法( Xビジネスエンジン )を用いて分析したところ、以下のようになった。

一般的に鉄道模型のユーザーは年齢層が高いのであるが、アニメやゲーム、フィギュアなど他のオタク分野(ここでは掲載省略している)に比べて、インターネットやSNSによる情報収集や情報拡散をする傾向が低い(=バブルの大きさ)ことが表れる結果となった。

各ブランドを分析すると、ユーザーが主体的にブランドを支持し、かつブランドが浸透している状況である「理想ZONE」に位置するのは、トミーテックの「ジオラマコレクション」のみが当てはまった。
2大ブランドであるトミーテックの「TOMIX」と関水金属の「KATO」を見ると、「TOMIX」は「魅力度」(=メディアに左右されず自主的に反響しているユーザーの度合い)は高いものの、「温度」(=情報の拡散度合い)が低く、いわゆる「冷めた魅力」に位置する状態となっている。
一方、「KATO」は自主的に情報を発信しているユーザーの比率が低く、且つ情報自体が拡散していない状況にあり、魅力度、温度ともに低い「課題ZONE」に位置している。

この集計期間には、車両ではKATOの「四季島」、下回り品ではTOMIXの「TNOS(ティーノス)」といった話題性の高い商品が市場の主役となっていたが、メディアを通じた情報の拡散具合は高くない状況であった。言い換えれば、市場の底上げに貢献している製品を提供してはいるが、 ユーザーが主に実店舗で情報収集などをしている傾向が高いか、人気が高いが決して一過性の製品ではないという見方もできるのだ。

その他のブランドでは、バンダイスピリッツの「Bトレインショーティー」がジオラマコレクションと同じくらい「魅力度」が高い状況となり、反響数も上記2大ブランドに次ぐ多さであった。これは、2018年4月に「Bトレインショーティー」がバンダイから新たに設立されたバンダイスピリッツ社に事業譲渡されたことによる影響が考えられる。
顕著な例では「PLATZ」の「温度」が他ブランドと比べて圧倒的に高く、一定期間に同ブランド商品の情報が広く拡散されたことが伺える。

4. その資料、「Xビジネスショートレポート」

鉄道模型ファンの方々は、上記のバブルチャートを見てどう思ったであろうか。分析の元ネタは、矢野経済研究所が保有する産業ビッグデータと独自に開発したリサーチAIである。きっとツボに入る分析内容があったことと思う。

Xビジネス開発室では、「Xビジネスショートレポート」として、各市場の分析レポートを新体裁で掲載・販売している。ショートといっても体裁はA4サイズで30ページにわたるものであり、今回掲載した内容も、さらに深く掘り下げて解説している。

XビジネスショートレポートVol.1 鉄道模型市場
https://www.yno.co.jp/market_reports/R60200901

しかも価格は10,800円である(矢野経済研究所の通常マーケティングレポートは15万円程度するので、ピンポイント情報の欲しい方には破格のお値段)。企業のマーケティング担当者はもちろん、大学の先生やゼミの学生、メーカーや販売店、 その金額で動力車が一台買えてしまうことを厭わない 鉄道模型マニアの皆さんなどに、肌感覚でご納得いただける内容になっていると自負している。もちろん購入前の内容問い合わせも随時受け付けているので、ぜひご検討頂きたいのである。

(依藤 慎司)

関連資料:

XビジネスショートレポートVol.1 鉄道模型市場
https://www.yano.co.jp/market_reports/R60200901

2019 おひとりさま市場総覧
https://www.yano.co.jp/market_reports/C60123900

関連リンク:

鉄道模型市場の実態と展望
https://xbusiness.jp/model-railroad/marketing

関水金属
https://www.katomodels.com/

トミーテック
https://www.tomytec.co.jp/

マイクロエース
http://www.microace-arii.co.jp/